※たぶんネタばれを含みます。これを読む方はそのつもり読んでほしい。長文です。
『コクリコ坂から』予告編
本作は、2006年に『ゲド戦記』の監督を担当した宮崎吾朗が二度目の監督を担当しています。宮崎駿の実子。前作がよくない出来だったので、あまり期待しないようにはしていました。
数週間前に観に行ってきました。前売り券をタダでもらえたのでタダで観ました。つまらなかったです。上映開始20分くらいで時間が気になって時計を観てまだ20分しか経っていないことに軽く絶望し、もう帰りたくなった。
上映時間が91分と短いにもかかわらず、すごく長く感じました。退屈だったので。タダだからということもあるだろうけれど、途中で休憩があってジブリアニメでなければ途中で帰っていた。ひとつの映画としては、やはり低レベルで不快で腹が立った。それ以上に残念でもありましたが。
自分なりにダメだとおもうところを箇条書きしていこうとおもう。その前に、ぼくがとても共感できて参考になるとおもう2ちゃんねるのレスをひとつ引用しておきます。※ぼくがふだんどこの板を見ているかを、あまり知られたくないので名前欄を伏せてリンクも貼りません。すみません。
ダメな部分はホントに説明不足に尽きる
・旗の記号内容に説明が全く無く、何を伝えたかったのかがわからない
・中盤までカルチェラタンが何なのかが意味不明
序盤は何のデモなのかわからず、中盤で建物の名前かと理解
・キャラの学年(年齢)が不明なので同級生かと解釈
終盤で1学年上とやっとセリフ有りで学年は理解
・舞台がドコなのかまったく触れないから、東京に行くと言った時に違和感
一応事前知識で横浜と知ってはいたがそれでもわかりづらい
・母の説明が無く、死んだ父と夢に出てくるから死んだものと理解してたが
再登場でお前生きてたのかよw、と衝撃
なんか予め知識付けてから見てねって言われてるようだった
?
次にぼくなりの意見をざっと並べてみる。
■ダメだとおもうところ
・説明不足が多い。
例) 「メル」?なにそれ? 「カルチェラタン」?なにそれ? 母親はなにやってるの?など。
・最終的に明かされるとしても説明不足のまま進行するため、置いてきぼりのように感じられ不快。
・時代背景などを理解していない、あるいは理解できないと楽しめない。
・あえて説明不足や一度の観賞で観客が理解できないような作りになっているようにも思える。それがあざとい。
・主人公の海の髪型があまりにも不自然。
・食事がまずそう。
・そのわりに何度も食事のシーンを入れてくるのがあざとく感じられて不快。
・非ファンタジーでありただの青春物語にもかかわらず無理にアクションシーンを入れているところが痛々しい。
・アニメらしい演出を活かしきれていない。だから、「アニメでやる必要がなかった」というように言われてしまう。(クラブハウスである「カルチェラタン」の内装などはアニメらしいと言えるかもしれない)
・声優が全体的に淡泊すぎる。アニメらしさが嫌だからそうしているにしても、キャラに生気が感じられない。
・音楽がひどい。音楽単体では成り立っているとしても、映像との融合という点でひど過ぎる。
・映画館側の問題もあるかもしれないが、全体的に音響の重低音がきつく地鳴りのような音が終始聞こえて不快だった。
・近親相姦でもへっちゃらだ!みたいな一連の流れが気持ち悪い。
いま思いつけるところだけを挙げてみたけれど、けっこうな数になってしまった。個々を詳しく説明するのは大変だからここではしない。この映画にそれほどの情熱を持てなかったので、これからもすることはないかもしれない。
列挙して思ったのが、やっぱり先に引用した2ちゃんのレスでもあるように説明不足が目立つ。作中ですべてを説明し尽くすのは、それはそれで冗長になるかもしれないが、理解できなかった僕のような者はひどく不快になってしまう。
2ちゃんで意見をざっと見て、時代背景などを理解できないという意見はそれなりに多くあった。それに対する反発や意見がが、「ゆとりだから分からない」や「ジジババは喜ぶんだろう」みたいなものだった。たしかに、歴史を知らない観客にも問題があるというように言えなくはない。けれども、多くの人に気に入ってもらうために映画を作っているのならば、より多くの人がすんなりと理解できてキャラクターや物語内世界に感情移入できる環境を作ったほうがいいようにおもう。ジブリアニメのような大規模な作品なら尚更そうなんじゃないか。
ぼくがつまらなかったのは、説明不足により理解できずキャラクターの誰にも感情移入できず物語内世界に没入できなかったからだとおもう。入りきれない、入りたくないとおもえるような世界の映画を観るのは苦痛だ。
良かった点も、悪かった点よりは少ないかもしれないがあるとおもう。あまり思い出せないのだけれど。例えば岡田准一の演技が『ゲド戦記』に比べはるかに上手くなっていたことや長澤まさみの演技が棒演技と言うほどではなかったことなど。それでも、ジブリのような商業アニメで使えるレベルの演技だったとは思えないが。あー、他はもう良いところが思い出せない。あったのかは疑わしいけれども。
映画を観終わった数週間後に、再放送でNHKのドキュメンタリーの「ふたり『コクリコ坂・父と子の300日戦争〜宮崎駿×宮崎吾朗〜』」を観た。映画本編はつまらなかったし不快だったけれど、これはとても面白かった。このドキュメンタリーを楽しんだり、作品を評価をできるのでけっきょく観ないよりは『コクリコ坂から』を観た方がよかったのだけれど。話題作でもあるしアニメ好き、ジブリ好きは嫌でも観ておけばなにかしら得にはなるでしょう。
このドキュメンタリーを観て、吾朗を応援したくなった。「応援」というのはなんだか厚かましいけれども、ただ今の作品がダメだから観客として見放すというのはやはりもったいないように思えた。『借りぐらしのアリエッティ』の米林宏昌(通称、麻呂)さんにしても吾朗にしても、これからのアニメとスタジオジブリのためにがんばってほしい。そして期待している。
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