sibafutukuri

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『風立ちぬ』を観た

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かつて、日本で戦争があった。
大正から昭和へ、1920年代の日本は、 不景気と貧乏、病気、そして大震災と、まことに生きるのに辛い時代だった。
そして、日本は戦争へ突入していった。 当時の若者たちは、そんな時代をどう生きたのか?
イタリアのカプローニへの時空を超えた尊敬と友情、後に神話と化した零戦の誕生、薄幸の少女菜穂子との出会いと別れ。
この映画は、実在の人物、堀越二郎の半生を描く――。


生きねば。

(「『風立ちぬ』公式サイト」、「ストーリー」より。http://kazetachinu.jp/story.html)




  観てしまった。いや、観てよかった。宮崎駿監督の最新作。宮崎駿という人に、アニメに、このアニメーションに、『風立ちぬ』という映画に感動した。幸福な時間だった。


  ストーリーは万人受けはしないだろう。でも、そんなのすっ飛ばして考えても、どう考えても、このアニメはアニメーションが素晴らしくて日本というか人類の誇りだろう、と観ながら考えていた。


  幻想的な演出がところどころあるのだけれど、風景や飛行機などの物の幻想性とか人間の表情などのアニメーションによる表現力というもの。この表現力の高さと豊富さに今まで出会ったことがなく、圧倒された。ジブリアニメの中でも最高に高いアニメーションの技術が集まっているのではないだろうか。


  宮崎さんの作品となると、ぼくはもうこれが最後なんじゃないかと思いながら観てしまうのだ。『崖の上のポニョ』は難解だったけれど、『風立ちぬ』はわかりやすくて面白かった。


  ただ、知り合いの女性に一言でこの映画を「難しい」と表現した人がいた。ぼくはそれが意外だったが、たしかに難しい部分もある。まずは、夢と現実の境目が曖昧な幻想的な演出とそれによる世界観だろう。これはけっこう困惑する人が多そう。また、関東大震災から始まって第二次世界大戦の終戦頃で終わる、という戦乱の時代を描いたものであるということ。


  この映画の感想と言っても、大震災と戦争という二大テーマが混ざったものでありしかもジブリに宮崎駿監督作品とあっては、語るのが難しすぎる。いくら言葉を繋いでいっても語り切れない気がする。


  いやでも、ぼくは観ていて物凄くわかりやすいストーリーだな、と思っていた。


  堀越二郎と菜穂子の純愛というラブストーリー、そして二郎が零戦を製作するまでの苦労譚、という二つがあるだけだ。そんなむつかしい話ではない。


  そのあまりに単純なストーリーと、彼らの純愛さにこの映画が面白いとか好きということが、なんだか小っ恥ずかしくもある。実際、面白いし好きだなんだけれど。


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  この映画は宮崎さんにしては珍しく「大人向け」の作品だろう。プロデューサーの鈴木敏夫さんが元は宮崎さんの漫画である『風立ちぬ』を映画化しようと提案したところ、「子供向け」ではない、という理由から反対したそうだ。


  それでも、プロデューサー室のある女性が「子供はわからなくてもわからないものに出会うことが必要で、そのうちにわかるようになるんだ」と言ったことなどがあり、最終的にはぼくらの目の前に映画化された『風立ちぬ』がある。


  この女性の発言は凄く納得できる。ぼくも、子供の時に観たりしてわからなかったけれど、大人になってから改めて触れると分かったり面白かったりすることがよくある。宮沢賢治の童話などがそうかもしれない。そういうことが度々あるので、幼いころにいろいろ体験をさせてくれたことを親に感謝することがある。


  子供が『風立ちぬ』を観ても面白くないし理解できないだろう。実際、子供が観て退屈だからと怒った親がいたとか、そんなニュースがググっていたら見つかった。


  退屈で映画館のイスを立って場内を歩き回ったりしてしまった子供たち!君らは幸せ者だぞ!とぼくは言ってやりたい気分だ。


  十代後半とか20歳とかになった頃、君らが改めて『風立ちぬ』を観て感じることは実に多いだろう。そして、かつて映画館に連れて行ってくれた母親に感謝することだろう。




  あ、主人公堀越二郎役の庵野秀明さんの声はわるくなかった。いや、むしろ好きだ。キャラの見た目とは合っていない気がするけれど、あの落ち着いた声質は好き。




  また数年後、宮崎さんの新作を観られるといいな。


  とりあえず、もう一度映画館に行って『風立ちぬ』を観てこようか。


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風立ちぬ・美しい村 (新潮文庫)

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