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2014年9月の読書

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9月は21冊読了。
ぼくとしては多い方だ。
なぜこんなやたらめたらと本を読んだかというと、
8月までプレイしていたPS Vitaが故障して動かなくなったせいだろう。
確実に。
その反動で、余った時間はほとんど本へと向かった。
良くも悪くも、という感じだが。
このペースを続けていければいいが。
(でもゲームもしたい……)



しかし、なぜかフィクションが多くノンフィクションは
小林紀晴さん・竹内洋岳さんの
『だからこそ、自分にフェアでなければならない』の一冊のみ。
すごくいい本でいい刺激を受けたのだが、
9月末に起きた御嶽山の噴火により複雑な気分になった。
被害に遭われた方々は残念だと思うが、
やはりそれでもぼくは山に魅力を感じ続けている。
不謹慎ながら、あの噴火でもうもうと昇る煙などは写真で撮りたくなった、
というのが正直なところ。





2014年9月の読書メーター
読んだ本の数:21冊
読んだページ数:6038ページ
ナイス数:146ナイス





■ノンフィクション


だからこそ、自分にフェアでなければならない。 プロ登山家・竹内洋岳のルールだからこそ、自分にフェアでなければならない。 プロ登山家・竹内洋岳のルール感想
  写真家・小林紀晴さんによる登山家・竹内洋岳さんのインタビューとお二人で八ヶ岳の天狗岳に登ったエピソード、そして写真。いい本だった。山に登りたくなった。そしてもっと写真を撮りたくも。雪崩に巻き込まれて死にかけた竹内さんは、人に助けられて山でもらった命だから、自分は一度死んでいるから山で使っていいと言う。別の箇所では次の山に登りたいから死ぬわけにはいかない、とも言っていた気がするが。登山はしたいと思うが、死のうか生きようかとか常々考える、考え続ける世界って凄いなと思い覚悟がいるなと思う。山の魅力を感じた。
読了日:9月15日 著者:小林紀晴





■フィクション


最重要容疑者(上) (講談社文庫)最重要容疑者(上) (講談社文庫)感想
  ここ数カ月読んだ中で、ジャック・リーチャーシリーズで読んだ中で最も面白い。スピーディーな展開、先が気になる、予想を裏切られるという快感。スラスラと読めてしまって、読むのがもったいない。リーチャーは頭脳明晰で身体能力も高い。が、放浪者であり社会の外にいる人間。でもその部外者の立場からだからこそできる事件へのアプローチがある。どうして赤の他人の女性被害者を助けたいのか?とFBI捜査官に問われた時の返答は「どうしてだって?わたしは人間だからだよ」。彼なりの正義感が込められていて好きなセリフだ。
読了日:9月30日 著者:リー・チャイルド





文学界 2014年10月号 (文學界)文学界 2014年10月号 (文學界)感想
  円城塔「プロローグ」、永井均哲学探究」、穂村弘「も詩も詩」、宇野常寛與那覇潤「ベストセラーで読む平成史」などが読んだ中で面白かったかな。現代のというか今書かれていて読まれている最新の文学も読みたいと思うがなかなかうまくいかない。知りもしない作家の中編などが目の前にドンといくつもあってもまずなかなか読む気がしない。価値がわからない。この10月号は読み終えてからも思うがほぼ読みたいものなどやはりなかった。が、やはり円城さんの意味不明な知的にふざけた連載は楽しみになっているのだった。
読了日:9月29日 著者:





夢の木坂分岐点 (新潮文庫)夢の木坂分岐点 (新潮文庫)感想
  極度の無秩序さ故に小説のルール、それを超えた現実にさえあるそれを支えるルールを自覚させる。シュールで夢想的で魅力を感じる部分はあるのだが、全体的にはまとまりがなく混沌としすぎていてちと辛い。ジャンルとしてメタフィクションものの面白さはあるが、これの場合は土台としての現実があやふや過ぎて、ふつう小説にあるような感情移入もなにもかもが成立しにくい。ただ、序盤の会社内と終盤の講習会であるサイコドラマの場面はお気に入り。登場人物たちが心理療法のために別々の役をロールプレイする様が小説としてとても新鮮。
読了日:9月28日 著者:筒井康隆





フォークナー全集 6 死の床に横たわりてフォークナー全集 6 死の床に横たわりて感想
  フォークナーは難解な印象があるがこれは驚くほど読み易い。とは言え、意図的に読者を誤読させるような罠が仕込まれていてこの人らしいが。そして、彼の読んだことのあるものの中で純粋に一番面白いと思える小説でもある。母親を亡くした一家が、数日経ってからその遺体を何日もかけて村へと運ぶという正気ではない一本道の物語。複数の人物の一人称で語られるのだが、大抵の人がまともでない。しかも最も回数が多く観察者として語るのがダールという詩人とも言える青年だが、最後には家を放火して精神病院行きだ。狂ってるけどそれがいい。再読。
読了日:9月24日 著者:ウィリアム・フォークナー





さみしくなったら名前を呼んでさみしくなったら名前を呼んで感想
  地方ガールズ短編集。初出を見ると『ユリイカ』、『BIRD』など種々雑多な雑誌に載っていたようで。キラキラポップでガーリーなお話が多いけどたいてい絶望していて暗い、んだけどなんか開き直っちゃうからアッサリ味。LINEなどの最先端ガジェットを組み込みつつノスタルジーな部分もあり。社会学的でもありファストフード的でもあり軽薄でもある短編群。最後の「遊びの時間はすぐ終わる」の東京と地方の温度差などが『ここは退屈、迎えに来て』に近くて一番好き。どストライクでも何でもないけど流行みたいにやっぱり気になる作家。
読了日:9月24日 著者:山内マリコ





土漠の花土漠の花感想
  ソマリアの国境付近で本隊から孤立してしまった自衛隊員たちが、ゲリラ襲われて追われて延々と逃げ続ける。そういう事態に陥ったらどうなるか、というシミュレーション小説という感じか。銃撃戦に格闘技。自衛隊員がなかなかカッコいい。ほぼ民間人のアフリカの人々が銃を持って襲ってくるので、リドリー・スコット監督の『ブラックホーク・ダウン』を思い出す。この市街戦を撮った映画もソマリアが舞台だったみたいだ。ソマリアというのは壮絶な土地なのだろうから、小説で知識として済ませてしまうのはいい気持ちがしない。
読了日:9月24日 著者:月村了衛





百年法 上百年法 上感想
  近未来、科学の発達で人間の不老不死化が成功し普及もしたが、次第に人口が増加するばかりなので100歳で死んでもらうという「百年法」が立案される。っていう設定はおもしろいのだが……。なんだか教科書的SF小説という印象。ストーリー重視で記号的に動かされるキャラクター、説明的で無機的な文章。同じく山田宗樹さんの『ギフテッド』がよかったので期待していたが。下巻はいいや。
読了日:9月24日 著者:山田宗樹





黒冷水 (河出文庫)黒冷水 (河出文庫)感想
  17歳での文藝賞作。若いって点で凄いし巧い。ただ一方で幼くてイタい。兄弟喧嘩とかお互いの不毛な憎しみ合いとかの話。身近なネタで書くっていう点ではジャンルに合ってるけど、あまりにも卑近ではないか。だから思うのは、下品でくだらなくて薄っぺらくてチープで読んでられないな、というところ。
読了日:9月24日 著者:羽田圭介





アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))感想
  再読だけど全然覚えてなかったし、全然内容を読めてなかったんだなと気づく。映画『ブレードランナー』も名作だし原作も名著。アンドロイドは悪として世間的には思われているようだが、人類にとって脅威なのは彼らの武力ではなく彼らの人間性だろう。最新のネクサス6型はあまりにも人間的過ぎて賞金稼ぎのデッカードは共感し同情し、女性型のそれと寝るところまでいく。善と悪、生ものと作りもの。そういう二元論の中での正解を見つけようとするが目の前のアンドロイド以前に、その二元論を疑いだして思考は混沌へと突き進む。面白く、奥深い。
読了日:9月24日 著者:フィリップ・K・ディック





猛スピードで母は (文春文庫)猛スピードで母は (文春文庫)感想
  第126回芥川賞「猛スピードで母は」、第92回文學賞「サイドカーに犬」の二篇収録。男性作家だから男が主人公だろうと読んでいたら、実は女性の視点で語られていてその少女時代がメインの「サイドカーに犬」。二篇ともなんとなく江國香織 さんっぽい。でも、だったら江國さん読んでりゃよくね?って思っちゃうね。適度に気の利いた文章を入れて、読者が共感するようなあるあるネタを鳩の餌みたいにまいておいて、まぁ現代文学だよねっていう感じだ。そういう標準的、という意味では勉強になる。初長嶋有さんだったが。
読了日:9月24日 著者:長嶋有





クロス×レガリア 王威の決戦 (角川スニーカー文庫)クロス×レガリア 王威の決戦 (角川スニーカー文庫)感想
  8巻目。決戦!「西王母(シーワンムー)はすごい強敵でまるでラスボスみたいな奴だなぁ、これ以上の戦いなんてあるのか?」と思って読んでいました。そしたらあとがきに「これにてシリーズ最終巻」書いてあって驚くとともに納得し落胆した。が、また三田さんは別の何かを書いてくれそうな感じなので次を楽しみにする。予定より短く終わってしまったようで、端折り感は否めない。もうちょっとキャラクターたちの生活や言動を眺めていたかった。日本に崑崙山をつくる、という発想は面白いな。
読了日:9月24日 著者:三田誠





ドグラ・マグラドグラ・マグラ感想
  これをちゃんと読める人はすごいと思うし、書いた本人もすごい。アホらし過ぎて、超越してすごい。「息子が『ドグラ・マグラ』という本を持ってます。表紙のイラストが怪しげです」というネタなのか本気なのかわからない知恵袋に投稿された相談でも有名だが、まぁ逆に言うと狂ってでもなきゃ読めないとも思ってしまうな。精神疾患者の書いた文章なんてアホらしくてそれが仕事でもない限り読んでいられないように、趣味でこんなの読んでなんていられないね。その破綻性に一種の価値はあるのだろうけど、ぼくは付き合いきれないね。
読了日:9月24日 著者:夢野久作





仮面の告白 (新潮文庫)仮面の告白 (新潮文庫)感想
  大学生が書いたイカ臭い独りよがりな文章みたい。そして極端な西洋コンプレックスの塊。久々に清々しいほどの自己愛に満ちた文章を目にしたよ。もう、数ページ読んだだけで自分が今読むべきものではないと感知してザーッととして読んでいないので浅い読みしかできないのだが。しかし、それ自体の価値とは全く別に、その人が読む必要のない文章、あるいは読んではいけない文章というのがあって、ぼくにとってこれはそれだったのだろう。そんなものを真面目に読んでも悪態をつくか水を笊で掬う気分になるだけなのだから。
読了日:9月22日 著者:三島由紀夫





レンタルマギカ  旧き都の魔法使い (角川スニーカー文庫)レンタルマギカ 旧き都の魔法使い (角川スニーカー文庫)感想
  社長いつきたちの修学旅行の行き先は京都。同時期に京都での依頼があったので、猫屋敷たちも付いていくという奇妙な旅に。同級生たちとの、のほほんとした京都旅行は楽しそうでうらやましい。でも、第二部クライマックスということで、その依頼とはとんでもないもので猫屋敷の出自にも物語の本筋にも繋がるもので……。これからシリアス続きになるのだろうか。最終巻辺りは読んだが間を読んでいなくて抜けているので、楽しみ。ただ、この巻の日常感とシリアスさのバランスが巧いためにいっそう名残惜しくなるのだった。
読了日:9月15日 著者:三田誠





こちらあみ子 (ちくま文庫)こちらあみ子 (ちくま文庫)感想
  あみ子は狂っている。解説を書いている穂村弘さんに言わせれば「『ありえない』の塊」。自分が狂ってはいけないと思うし、身近に狂った人なんていてほしくない。でも、狂った人にはそれ以外の人に見えない世界が見える。なぜ狂った人に興味があるのかと考えると、自分に見えない世界を見せてくれるからだろう。フォークナーの『死の床に横たわりて』を読んで、特にあみ子と同じ子供のヴァーダマンの思考を読んでいてそんなことを思った。「こちらあみ子」と応答を願うあみ子の姿が切ない。しかし、あみ子の世界とこちら側は繋がりそうにない。
読了日:9月13日 著者:今村夏子





見るまえに跳べ (新潮文庫)見るまえに跳べ (新潮文庫)感想
  初期作品集。動物と人間の前半と政治と性の後半、という感じでテーマが分かれている印象。読み始めから数編、動物が殺されていく同じような話が続いてそして孕んだ胎児を堕胎する話が置かれて、これは転機のように思える。しかし、生命の虐殺と捉えたとき、人間の胎児さえ犬や蛇や鳥とそう変わらないように思える。いやそればかりでなく、快楽によって生じた生命の否定と言える堕胎という行為が屠殺以上に理不尽で残虐だと気づくはずだ。大江が小説の書き始めに安部公房を模倣せざるを得なかった、と書いた文章を読んだが確かに前半は特に近い。
読了日:9月10日 著者:大江健三郎





封神演義〈中〉仙人大戦の巻封神演義〈中〉仙人大戦の巻感想
  まさに「仙人大戦」。ほぼ全編戦闘シーンで次々に仙人が登場し、新たな宝貝(パオペイ)が投入されていく。しかし、人数も宝貝の数も多すぎて省略されているせいかいろいろと説明や描写がそっけなく、面白味に欠ける。ただまぁ、仙人などの元ネタが民間説話などの民間に浸透している中国の仙人たちっていうのはいいなとおもう。触れたことのない「神話」をもっと読んでみたいものだ。読み物としての面白味には欠けるものの、仙人の特殊能力や宝貝の能力の多彩さなど、アイデアに溢れていてもっと奥深く知りたくなる。
読了日:9月10日 著者:許仲琳





漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)感想
  デブでブサイクで不幸を不幸とも思わない能天気で大阪弁の肉子ちゃんと、その娘の大人びて一見常識人なキクりんの親子のお話。めちゃくちゃポジティブで笑いながら泣けるようなタイプの小説。わかりやすいし面白いし満足。西加奈子は初めて読んだが、これはよしもとばななとか綿矢りさとか川上未映子とかそういう現代の女流文学の系列にピッタリと沿った作品で、読み終わって思い返すと文学としてのオリジナリティや新鮮さは全くないなと思うのだった。キクりんが虫や動物たちの声が聞こえるっていう設定も好きだが、ぜんぜん新しくはないしね。
読了日:9月6日 著者:西加奈子





妖精たちの夜〈2〉妖精たちの夜〈2〉感想
  ある森で出合った男女の神秘的な(妄想的とも言える)話から始まり、12年後の同じ場所、同じ男女の会話によって物語は終わる。しかし、その間に挟まっているのは戦争、亡命、政治、反政府運動、スパイ疑惑、拷問などのエリアーデの経験を利用した自伝的な話だ。ストーリーにまとまりがなく、語り手がいつの間にか代わり名前が覚えられず、いつの間にか何人も登場人物が死んでいる、という書かれていることを把握するのが大変で読むのにも苦労する小説だった。でも、神秘性と現実性のどちらにも魅力がありその二面性がまた意外で類い稀な小説だ。
読了日:9月5日 著者:ミルチャエリアーデ





たのしいムーミン一家 (講談社文庫)たのしいムーミン一家 (講談社文庫)感想
  ニョロニョロ!毛むくじゃらで死んだような目をしたモランも不気味だが、蠢いて大量に押し寄せてくるニョロニョロの圧力と恐怖には勝てないだろう……。生物なのだろうけど言葉なんて通じないし、機械的に迫ってきてそして逃げていったりと生物を超えた災厄に近い抗うことのできない問答無用さがあって不気味だ。トフスランとビフスランの夫婦はやってることは悪意がないながらも最低だったりするけど、やはり可愛い。原作を読んだのは初めてだけど、これは確かに言葉で表せない魅力を持った世界だ。
読了日:9月1日 著者:トーベ・ヤンソン






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アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

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