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2014年5月の読書

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森博嗣さんの『スカイ・クロラ』シリーズを三巻まで読んだ。
押井守監督のアニメもいいが、原作もいい。
鶴田謙二さんのイラストも。


しかし最近はゲームばかりして映画ばかり観て、
ほとんど本を読んでいない。
6月も読書量が少なそうだ。
反省。





2014年5月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2712ページ
ナイス数:53ナイス





■フィクション


道草 (新潮文庫)道草 (新潮文庫)感想
  自伝的小説。晩年の1915年に書かれたが内容は『吾輩は猫である』を書き始めた1905年頃と言われている。主人公・健三が親類などに金をたかられ続け、終始金の話で終わる。波がなく退屈ではあるが、逆に言えば平坦な物語でありながら読むに値する心理描写やテーマ性が濃く滲み出ていて漱石の凄さを感じる。表面的には金の話だが、それは家族とか人間関係、社会全体の仕組み、その中での信頼関係のことでもある。一見事実を私小説として書いているだけのようだが、その裏には読者が読み取るべきテーマ性も仕組まれている。『こゝろ』にも通じる。
読了日:5月10日 著者:夏目漱石





スカイ・クロラ (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)スカイ・クロラ (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)感想
  単行本と文庫も出ているが、敬愛する漫画家の鶴田謙二さんがイラストを描いているとなればノベルスで読むという選択肢しかない。青臭く気取った文体に以前は毛嫌いして読めなかったが、今ではこれはこれでいいかもと思えるようになった。村上春樹を思い出させる。押井守が監督でアニメ化されたが、ストーリーはほぼ同じ。ただ結末だけが違う。アニメのループ性に当時は嫌気がさしたが、東浩紀さんの批評を読みあれは救いのある終わりだったのだと思い直すことになった。どんどん続きを読みたくなるシリーズ。全六巻。
読了日:5月17日 著者:森博嗣





ナ・バ・テア―None But Air (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)ナ・バ・テア―None But Air (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)感想
  「スカイ・クロラ」シリーズ二巻目。読み始めるたびに語り手が誰なのか不安になり、自然と推理してしまう。今回の文体はサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』のホールデンを思い起こさせる。一巻以上に青臭く生き急いでいる。そして大人を毛嫌いしている。大人になれない、ならない<キルドレ>には許される言動なのかもしれない。戦闘機での戦いはキルドレたちにとって、特にクサナギにとってはゲームみたいだ。戦争なのに。非倫理的だが、ラノベらしさを強調したこういう戦争ものもあってもいいのかなと思う。不愉快ではないが道徳に背く。
読了日:5月17日 著者:森博嗣





ダウン・ツ・ヘヴン―Down to Heaven (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)ダウン・ツ・ヘヴン―Down to Heaven (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)感想
  戦争をやってるんだ。それがゲームみたいで彼女がゲームをやるみたいに戦っているとしてもそれには命がかかっている。で、操縦桿握って冷や汗かいているところに、ぜんぶ嘘で夢でゲームだと実はおまえはマトリックスの中にいるんだ、ということを支配者が耳に囁いてきたらそれは許せないだろう。怒るだろう。人の本気を遊びにするというのはふざけ過ぎだ。だからこの一冊の最後は切なかった。とは言え、永遠の子供<キルドレ>であるクサナギが理不尽な大人の仲間入りをするための「成人式」みたいな役割がこのふざけた遊びにはあるように思える。
読了日:5月29日 著者:森博嗣





All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)感想
  トム・クルーズ主演で映画化されるライトノベル。戦場でループを繰り返してしまう青年兵士と可憐な最強女兵士。ループ性と世界規模の侵略に対抗する戦争ものでありながらこの物語の狭さというのは、やはりセカイ系を思わせる。映画になるからこそ今話題になっているが、初版は2004年の刊行。同じくアニメはループものの森博嗣さんの原作『スカイ・クロラ』は2001年なのでそう変わらない。どちらもゼロ年代の作品らしさがある。この作品は特に当時に読めばもっと新鮮だったのかなと思う。映画を早く観たい。
読了日:5月17日 著者:桜坂洋





■ノンフィクション


職務質問―新宿歌舞伎町に蠢く人々 (幻冬舎アウトロー文庫)職務質問―新宿歌舞伎町に蠢く人々 (幻冬舎アウトロー文庫)感想
  元歌舞伎町交番巡査部長による職務質問の記録。読んで面白い事件ばかりを書いているからだろうけど、捕まる人は変なひとばかり。ジャンキーや売人、ヤクザなどドラッグ関連の人間が多い。シャブを打った直後にラリッて時計屋に突っ込むとか、警察に持っている覚醒剤が見つからないように雪の上で転がって隠したりと。あと正義感を持って働かない警察官を非難していて、そういう警察内部の裏事情なども面白い。歌舞伎町にこそたまにしか行かないが、新宿にはよく行く。身近で起こっていることだけど実感がなく不思議な感覚。
読了日:5月31日 著者:高橋和義





マリファナ青春旅行〈上〉アジア・中近東編 (幻冬舎アウトロー文庫)マリファナ青春旅行〈上〉アジア・中近東編 (幻冬舎アウトロー文庫)感想
  沢木耕太郎さんの『深夜特急』+ドラッグ、という感じの旅行本。著者はマリファナ至上主義者のようだが、いろいろ他のものを試した軌跡がここには書かれている。上巻は韓国から始まり、中国、インドなどを経てエジプトまで。マリファナは大体の国で違法なようだが、その罪の重さ、入手のし易さなどがまちまちで著者が時には命をかけて手に入れる過程が面白かったりする。大胆でふざけたタイトルや装画だが、薬物についての知識や国の情勢などが書かれていたりして意外とまじめで面白い。
読了日:5月31日 著者:麻枝光一





マリファナ青春旅行〈下〉南北アメリカ編 (幻冬舎アウトロー文庫)マリファナ青春旅行〈下〉南北アメリカ編 (幻冬舎アウトロー文庫)感想
  世界各国ドラッグの旅。下巻はギリシャ、コロンビア、ボリビアなど。基本的に著者の体験記だが、たまに他人から聞いた話が混ざるのはちょっともったいない。そして、いつの時期にどこへ行った、という時系列などが分かりにくいのも。下巻は上巻よりもさらに、国々の情勢や政治的な話が多くこれはこれでよかった。ドラッグを中心として語られているが、思っていたよりは一般人にも身近なことだと思ったり。コカイン、農作物、輸出物などをキーワードとして。広くドラッグと一言でまとめてしまっているがマリファナは別にいいだろうと個人的に思う。
読了日:5月31日 著者:麻枝光一





セカイからもっと近くに (現実から切り離された文学の諸問題) (キー・ライブラリー)セカイからもっと近くに (現実から切り離された文学の諸問題) (キー・ライブラリー)感想
  アニメ『スカイ・クロラ』を改めて観て、初めて原作を読むきっかけになった本。東さんの文芸批評。新井素子法月綸太郎押井守小松左京などがセカイ系の源流だと主張されている。明快であり面白い。作品を知っているのは押井守だけで、「第三章 押井守とループの問題」は非常に面白かった。特に『スカイ・クロラ』の解釈はとても納得した。あまりにもゲーム的なループの意味。第三者から眺めた物語と考え、語り手の死はプレイヤーが動かすキャラクターでしかなく、死という失敗を迎えてもクリアのためにリトライができるのだと。
読了日:5月17日 著者:東浩紀





読書メーター





スカイ・クロラ (中公文庫)

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All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)

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マリファナ青春旅行〈上〉アジア・中近東編 (幻冬舎アウトロー文庫)

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