『マネー・ショート 華麗なる大逆転』予告編
ブラッド・ピット製作・主演の『ジャッキー・コーガン』は表面的にはギャングの闘争を描いていて、予備知識なしで観た日本人には全く分からないくらいに、サブプライム住宅ローン危機からのリーマン・ショックを暗に仄めかしていて、インタビューでも監督と共にブラピは銀行や格付け会社、政府などの欺瞞とか詐欺的なシステム、言動を静かにそして激しく非難している。
それを(意識はしていなかったけど)踏まえて観た『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(原題:The Big Short)には興奮した。サブプライム住宅ローン危機を予測して儲けようとしたアウトローな投資家たちの物語だけど、ブラピが脇役だけど出演していてまた制作にも携わっている。
『ジャッキー・コーガン』だけでも十分インパクトは凄かったけど、ブラピの主張は一時的なもので終わらず、『マネー・ショート』へと続いている。意志の強さと、俳優としても映画人としても握っている力、どちらの強さも感じる。
金融危機で儲けられると浮かれている若者二人組に向かって、支持者のブラピが「金は儲けられるけど、一般の多くの人々が家を失って、自殺する人もいるかもしれないんだぞ」と協力者でありながら悲観的なセリフを言う。
この映画でブラピの存在はかなり控えめだけど、金融危機を題材に映画を作って儲けてる側でもあり、問題視している一人の人間でもある、という現実世界での複雑な立場が表れているし、映画上では金儲けの裏にある犠牲になった人々への視点を持っていく意味があって、ブラピの存在とこのセリフには、なかなかシビれるものがあった。
『ジャッキー・コーガン』と『マネー・ショート』。合わせて観るとよりおもしろい。内容はちょっと離れるけど関係者が重なっている『マネー・ボール』もおもしろくて、これが一番一般的な娯楽映画。『ジャッキー・コーガン』は個人的に大好きだけど、それでもキワモノ映画と言わざるを得ない。
映画『ジャッキー・コーガン』予告編
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