映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』を見てきた - ため息がでる映画
12月9日公開の映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』を見てきました。
監督、脚本、VFXは山崎貴。
堺雅人と高畑充希が親交夫婦役で競演。
上映時間129分だけど物凄く長く感じた。
見ている間に時計を何度も見たくなり、上映中にため息が出てくる稀な映画だった。
以下、ネタバレあり。
目次
- 映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』を見てきた - ため息がでる映画
- 目次
- スタッフ・キャスト
- 監督、脚本、VFX監督の山崎貴
- 新婚夫婦役の堺雅人と高畑充希 - 高畑充希の演技があざとすぎる
- 時代設定がよくわからない
- 前半は短編集の合成のようなダルさ
- 黄泉の国へ行くまでが長すぎる
- 『千と千尋の神隠し』で見たような映像
- 笑えそうで笑えない、泣けそうで泣けない
- まとめ - 言ってしまえば駄作
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スタッフ・キャスト
スタッフ
監督・脚本・VFX:山崎貴
原作:西岸良平
製作:今村司 ほか
企画協力:奥田誠治
音楽:佐藤直紀
主題歌:宇多田ヒカル 「あなた」
キャスト
堺雅人
高畑充希
堤真一
安藤サクラ
田中泯
中村玉緒
市川実日子
ムロツヨシ
要潤稲荷
大倉孝二
神戸浩
國村隼大
古田新太
鶴田真由
薬師丸ひろ子
吉行和子
橋爪功優子
三浦友和
映画のできはどうであれ、山崎貴も期待できる監督ではあったし、役者の人たちも知名度が高かったり作品によってはすごく良い演技を見せている人たちが集まっています。
監督、脚本、VFX監督の山崎貴
山崎貴の代表作は『ALWAYS 三丁目の夕日 』、『永遠の0』、『海賊とよばれた男』など(自分がわりと好きな作品を列挙)。
2020年の東京オリンピックで演出を担当することを決定しました。
大昔に見た『ジュブナイル』(2000年)でも山崎貴が監督を務めていますが、その頃からVFXを重視した映画をいろいろと作っているひと。
明らかに地雷っぽい作品を作っているけど、日本のVFXとかCG作品として高い水準にある映画もつくっているかと。
一方で、脚本や演技演出などの面をおろそかにしている部分が目立つ作品も多いのだけど。
『DESTINY 鎌倉ものがたり』では後半に黄泉の国に行くシーンがありますが、その映像に関しては異界らしさが強くてなかなか見ごたえがありました。
新婚夫婦役の堺雅人と高畑充希 - 高畑充希の演技があざとすぎる
堺雅人は特にコミカルな演技をすることが多い印象で、今作でもそうだった。
でも、シリアスな嫁さんとの別れのシーンなどはちゃんと泣かせるような演技になっていてさすがだなと思わされた。
高畑充希はまだ若いけど落ち着いた演技もしっかりこなす人なのではと思っている。
でも、今作では高畑充希のキャラクターは落ち着きがなく甘えん坊で、夫にデレデレするコミカルで可愛らしいキャラクターになっていて、 高畑充希は可愛いんだけどかなりクドイ演出になってしまっている。
高畑充希が演じる一色亜紀子は23歳という設定だったけど、小学校低学年みたいな振る舞いが多いので痛々しさもあるし、顔を直視するのがツライ程でもあった。
高畑充希の少女らしいかわいさだけで価値はあるとはいえ、高畑充希に頼りすぎな面も大きい。
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時代設定がよくわからない
鎌倉は時間が止まった場所なんだ、と劇中で言われています。
とはいえ、この映画の時代設定がイマイチ定まらないように気がして見ていてモヤモヤします。
ぱっと見はこの映画の昭和のいつかの時代、と受け取れます。
昭和中期~後期くらいなのかな。
時代設定を判断できる材料としは以下のようなものがあります。
原作のマンガは1984年から。
道を走る自動車が古い。
お手伝いさんのキンは日露戦争(1904年ー1905年)で夫を亡くした。
100円ショップがある。
携帯電話がない。
ファッションや家具が古い。
など
キンの本当の年齢は?
漫画の設定ではキンは日清戦争(1894年ー1895年)で夫を亡くし、142歳という設定になっているようです。
映画は確か日露戦争(1904年ー1905年)と言っていました。
また、亜紀子が「キンさんって実は100歳を超えてるんじゃ?」とも言っていました。
日露戦争時にキンが20歳だとすれば100歳になるのは80年後の1985年。
30歳だとすれば70年後の1975年。
100円ショップはいつからあったのか
「100円ショップで買ったお茶碗」、というセリフは自分も疑問がありました。
ウィキペディアによると、愛知県で「日本初の固定店舗による100円均一店をオープンし『100円ショップ』と命名して販売を開始した」と書かれています。
「催事販売を依頼するスーパーや百貨店の信用を勝ち取り、1991年に最初の(100円ショップの)常設店舗を開設した」とも。
以上のことから、80年代にも100円ショップが日本にはあったと言えそうです。
ただ、全国展開したのは90年代以降のようです。
なので、80年代に鎌倉周辺に100円ショップがあったとはちょっと考えにくいです。
100円ショップの有無は現実はどうであれ、観客の混乱を招くだけなので敢えてあのセリフを入れた意味がわかりません。
人間がベタベタしすぎ
この映画では夫婦も親子もやたらとベタベタしています。
現代の実生活や映画ではベタベタ人間同士がくっつくのは普通かもしれません。
しかし、80年代の映画の撮り方として、そんなに人間がベタベタするっていうのはかなり不自然なんじゃないかと思います。
人間同士の距離関係が80年代にしては不自然に近いので、その感覚との食い違いも観客に違和感を覚えさせている一因なのかなと思います。
なぜか時代設定が気になる
この映画に特別な思い入れもなく、言ってしまえば「駄作」なのでどうでもいいのですが、なんだか時代設定がいつなのか気になる映画になっていました。
そういった設定の緩さは時代だけではなく、妖怪や幽霊、異界と鎌倉の関係など、至るところにあるので、すべてが緩かったということでしょう。
前半は短編集の合成のようなダルさ
予告編を見た印象だと、堺雅人とが高畑充希を助けに黄泉の国に行くのがストーリーの主軸なのかな、というものでした。
ですが、実際に黄泉の国に行くのは映画のかなり後半。
それまで、黄泉の国へ行く伏線以外にも意味不明な日常的な不要なエピソードがダラダラと続きます。
原作漫画は既刊が37巻と量が膨大ですが、おそらく長編漫画ではありません。
いくつかの短いエピソードが連続しているスタイルだとおもうので、そのいくつかのエピソードを再構成して一本の映画にしたのだとおもいます。
前半から中盤までは、映画に入れる必然性を感じられないエピソードが続くせいでかなり不安定で退屈な内容になっています。
後半は筋が通っているからまだマシですが、これは映画にする形を間違えたか、映画にすべきではなかった原作だった、と思えます。
黄泉の国へ行くまでが長すぎる
終盤になってようやく堺雅人が黄泉の国に行きます。
黄泉の国の世界観はけっこう好きです。
ごちゃごちゃとして、『千と千尋の神隠し』に出てきたような和風異界感があって。
でも、あの黄泉の国は見た人の意識によって見え方が変わるようです。
せっかく良い景色なのに、この幻想世界はただの幻想だよ、って再び叩き壊す必要があるのでしょうか?
そして、黄泉に国へ行ってからはやたらと展開が早くドタバタアクションが繰り出されて一件落着して日常世界に戻っておわり。
ドタバタアクション部分もどこかで見たようなアクション(ジブリや細田守作品など)で、アクションしているCGはしょぼく、CG部分に対して役者が浮いて見えてしまう、など。
後半は特に実写でやる必要性が感じられず、アニメで良いんじゃない?という気持ちが強い映像になっていました。
『千と千尋の神隠し』で見たような映像
黄泉の国の映像は好きですが、やはりどこかで見たようなものになっています。
予告編を見た瞬間に思う人はいるでしょうが、『千と千尋の神隠し』の異界に似ています。
『千と千尋の神隠し』では水面に浮いた線路、ごちゃごちゃした和風+中国テイストのような町並みなど。
見た目は好きですが、あまりオリジナリティを感じられる世界観ではありませんでした。
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笑えそうで笑えない、泣けそうで泣けない
コミカルな演技が多いので笑えるのかな、と期待してずっと見ているわけですが、なぜか不思議と全然笑えません。
あれだけコミカルに演じさせて、ドタバタっぽくしてりしているのにこれだけ笑えないのは逆に凄いですよ。
また、泣けそうな場面もあるのですが、そこまで涙腺への刺激が強いわけではないです。
中には泣いている人もいましたが。
「死の扱いが軽い」と言っている人もいるようですが、その通りでもあって、こんな生き死に程度で泣くのはどうかな……、みたいなところもあります。
まとめ - 言ってしまえば駄作
「スター・ウォーズ」ならね、大作だし広告も大々的だしみんな期待もしているので、それがフタを開けてみればクソであれば駄作と言ってしまえるところがあります。
まぁでも、『DESTINY 鎌倉ものがたり』の場合ははなからそんなに期待していないのでね、敢えて言う必要もないのですが、言ってしまえば駄作です。
とは言え、VFXやCGで見ごたえのある映像もありますし、カップルで見るにはそこまで悪くない映画かもしれないです。
そんなところです。
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