『レヴェナント:蘇えりし者』を観た。
『WIRED』Vol.22にさりげなく主演のレオナルド・ディカプリオと音楽の坂本龍一のインタビューが載っていてそれを読んでしまえば、観に行くしかなかった。
ディカプリオ「撮影中、楽だった日なんて1日もなかった。これまででいちばんきつい撮影だったよ。」(中略)
―「なかでも最悪だったのは?」
ディカプリオ「凍った川に何度も入らなければならなかったことだね(笑)。」
『レヴェナント』は凄い映画ではあった。スケールや撮影へのこだわりなど。でも、作り手が頑張ったものが観客にとって楽しいとは限らない。
撮影ではリアリティのために最適な天候を何日も待ったり、体当たり的な演技を特にディカプリオがやっているわけだけど。
また、坂本龍一にしても中咽頭癌を患い、快復後に山田洋二監督の『母と暮せば』の音楽を務めたけど、病気以降の大きな仕事としては『レヴェナント』が二つ目になるんじゃないか。
苦難とも言える撮影を感じさせるディカプリオと病み上がりの坂本龍一、大自然と格闘して撮り終えたような見事な映像。それらに感じるのは大変さの押し付け、という面もある。
『レヴェナント』は復讐の物語でもあって、観る前は漠然とそういうイメージだったけど、観てみると意外とサバイバル映画だった。しかも、熊に襲われながらも次第に回復していく、無敵とか不死身とも思わせるディカプリオ演じるヒュー・グラスの姿には思い出すものがある。
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最近読み始めてまだ5巻目だけど、なかなかおもしろい。
明治末期の北海道を舞台にした作品で、公式からは「冒険(バトル)」と「歴史(ロマン)」と「狩猟(グルメ)」と打ちだされている。アイヌ語研究者の中川裕が作中のアイヌ語監修を務めている。(ゴールデンカムイ - Wikipedia)
『レヴェナント』ではなんだかツワモノっぽいディカプリオが、意外と序盤でいきなり熊に襲われて、なんなく逃げ切るんかなと思いきや、ボコボコにやられて瀕死に陥る。
『ゴールデンカムイ』では何度も熊が出てきて、主人公の「不死身の杉元」も襲われたりする。
『レヴェナント』での熊のいたぶり具合や、治療シーンなどエグくて痛々しいシーンが多かったけど、『ゴールデンカムイ』では熊の引っ掻きによって人間の顔面の皮膚がぺラッと剥がれたり、ととんでもない描写になっている。絵柄やマンガなことからそこまで痛々しくはないんだけど、熊の恐さが伝わってくる。
ちょっと脱線だけど、熊の恐ろしさと言えば吉村昭さんの『羆嵐』 。『レヴェナント』も実話らしいけど、こちらもそうらしい。恐怖。
『レヴェナント』も『ゴールデンカムイ』、どちらも作品もサバイバル物語と言える。サバイバルの目的としては『レヴェナント』が復讐で、『ゴールデンカムイ』が宝探し、と異なっているんだけど。そして、どちらもサバイバル物語でありながらハンティング物語でもある。
最近読んでいる『亜人』も、ハンティング要素が強く、それよりは弱まるけどサバイバル性も感じさせるところがある。最後に気づいたけど、「不死身さ」という点でも繋がっているか。それぞれ、単品では面白味は広がらないけど、頭の中で混ざり合って繋がっていく楽しみが広がる。
音楽でいうと、『レヴェナント』は坂本龍一だけでなくAlva Notoなどが参加していたりして音響的に期待はしていたけど、その辺りはわりと普通かと思った。
ドローンっぽく音響っぽい音が多い映画ではあるけど、映画でいえば別に音響系アーティストでなくてもそういう音響っぽい音や音楽は作られているわけだから、別に特別なにかが良いということはないんじゃないかと思った。サントラがちょっと気になるけども。
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