sibafutukuri

ゲームの攻略情報・感想、音響系音楽、文学、アニメ、映画などについて書こうかなとおもっています。

『化物語』第十話とかについて

スポンサードリンク


  今季話題の『化物語』というアニメがあるのだけど、実は自分も結構楽しんで観ていたりする。原作がライトノベルであり、内容は民話や昔話に関する「怪異」というものが憑依したりする伝奇小説となっている。自分はこのアニメを観始める前にまず、作品の概要などを知る前にキャラデザインなどを確認してみたのだけど、どう見ても萌えアニメのような感じで敬遠していた。萌えアニメライトノベルは自分の中で二大NGワードみたいなものではある。それで、一時的に興味を失ってはいたものの、やはり話題は絶えないのでせっかくだから観始めた。


  観始めはいろいろな意味で衝撃だった。始めの二話くらいまでは、衝撃とともに称賛の念を覚えたのが、映像面での美しさと、斬新な演出法だった。貶すわけではなく、このアニメ程の規模から考えると二流アニメだと捉えているし、そういったアニメにはあまり興味が今までは湧かなかった。一流アニメを漁るのに飽きたからこちらに興味が向き始めてきたようなものだろう。もうひとつの衝撃が、キャラの台詞回しが如何にも萌えアニメ的で反吐が出そうになる感覚を覚えたこと。日常会話で「けれども」を連呼する高校生って・・・みたいな心境であった。おまけに声優の演技もこてこてに萌えアニメ的とくる。次に、なんの臆面もなく下ネタワードを展開し始めるキャラたち。マイナスイメージも強いのだけど、それでもやはり映像と演出は凄いと思っていた。そういうアニメ。


  それで、おそらく先日の金曜日に第十話が放送されて、自分は先ほど観た。まぁ、とりあえずOPについて言うと、理性的にはキャラ萌え的気持ち悪さを感じた。が、本能的にあの可愛さには理性を遥かに優るものが湧いてくるものがあった。「神OP」と呼ばれるのも肯けてしまう。


それで、本編はというと。


もはやアニメーションとは呼べない代物であった・・・。


  作画崩壊とかそういうレベルじゃなくて、「紙芝居」と呼ばれるのが妥当なくらいに、画が動かない・・・。


  画が動かない、赤駒、黒駒、白駒、「諸事情により削除」、などによる画面隠し、もうお決まりになっているキャラの目をドアップの演出、喋ってるのに口が動かないなど、いろいろと凄まじい。富樫のジャンプ掲載時の『ハンター×ハンター』並みの手抜き具合であり、この漫画にはもう然程思い入れはなかったから笑って過ごせたが、『化』の場合はそれなりに今後の展開を期待していたり、アニメ自体に思い入れがあることから本気で神経を疑いたい気持ちになった。



  観賞中の心境としては、「あれ、画面止まってね?喋ってるのに口動いてない・・・」→笑→なんか腹が立ってくる→「あれ終わった」→唖然。


  2ちゃんの本スレの現行スレを覗くと、放送から既に数日経っているせいもあるのか、レスは意外に穏やかであり違和感を覚える。過去スレを遡るにつれて、レスがカオスに陥っていくのが分かるのだが、それは放送直後くらいで制作会社のシャフトではよくあることらしく、時間が経つとそのカオスも落ち着いていた。部外者的存在としては、この回の手抜きっぷりにはもちろん衝撃を覚えたが、それと同じくらいに本スレの住人たちの落ち着きっぷりに驚いた。


  レスをいくつか読んだところ、シャフトでは同時に二作のアニメを掛け持ちしたりなどで、スケジュールがギリギリとかでこういった事態が起こり得るのだそうだ。こういった現場の状況を知ってしまうと、こっちまで気が萎えてしまう。アニメーターの方々は本当につらそうだ、と同情してしまう。紙芝居化がそこまで懸念されていないのは、シャフトでは日常茶飯事ということと、DVD,BD化される際に修正されるだろうという見込みがあるからということが分かる。しかし、確かに修正されればそれはそれで良いのだけど、ギリギリのスケジュールで来季などもアニメを作るのなら、本当に修正出来るのかという疑問が湧かないでもない。


  仕事を怠けていて(推測)肝心の作品が疎かになっている富樫と、仕事量の過多による作品の紙芝居化を起こしたシャフトとを同列に語るのは、後者にとっては少し不憫にも思える。でも、結果として作ってしまったものというのが手抜きされたものなのだから、やはり同様に非難されるべきだと思うんだ。漫画は連載誌から単行本へ、アニメはテレビ放送からソフト化へというように、後の工程があるわけだけど前の工程には間に合えばいいやと手を抜いて、後で埋め合わせれば大丈夫という取り組み方は程度が低いように見えてしまうものだ。これだから所詮は二流のようなアニメしか作れないていないのかと納得してしまう。


  まぁでも、一番おかしいのは、こんなに切羽詰まって二流アニメを量産しなくちゃならないアニメ業界だと思うのだけど。量産したなかで当たりが稀にあったとしてもだ、それはやはり所詮、市場の規模や視聴者の層からいって二流でしかない。キャラ萌えアニメなんてのを観る層というのは決まっているわけだし、それを必死になって量産しているのは滑稽だよ。それをするのならば、『時をかける少 女』とか『サマーウォー ズ』の様な脳が溶けている人たちに喜ばれるような「一般向けアニメ」ではなくてもうちょっとマシな、一般人も安心して観られるアニメというものを、制作力を集中させて作ってほしい。スィーツやゆとりやアニオタに媚びへつらうのは大概にしてほしい。


  『化物語』も所詮はキャラ萌え(蕩れ)アニメではあるけど、それなりに質が高く見ごたえもあったものの、回が重なるごとに段々と質が下がっていき今回で崩壊したのには正直残念に思う。だが、個人的にライトノベルではあるけど原作を読みたくなったのは少し自分でも意外な作品だ。そして、二流アニメでも一応は観ておく価値もあるかなと思えるきっかけになった。