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2015年5月の読書

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2015年5月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2619ページ
ナイス数:111ナイス




■フィクション


大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇 (幻冬舎文庫)大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇 (幻冬舎文庫)感想
  著者の前田さんが原作・脚本・監督を担当した『ジ、エキストリーム、スキヤキ』の映画が好きだったので、こちらを読んでみる。長い同棲期間を経て結婚した若いカップル。少し倦怠期気味ななか、五反田のデパートの屋上から地獄へ旅行に行くことになる。地獄だけどゆるい旅行。夫婦がどちらも鈍い人間だからか。「じごく」という感じ。深刻さはないがシュールさとこのファンタジックな物語は安部公房を思いだす。『カンガルーノート』で地獄へ行く話があったな。ほのぼのとしていながら、意外と結婚について考えさせられたりでおもしろい。
読了日:5月17日 著者:前田司郎




つめたいよるに (新潮文庫)つめたいよるに (新潮文庫)感想
  短編集の『つめたいよるに』と『温かなお皿』が一冊に収まって初期作品集というような形になっている。死んだ犬が人間の形で少女の前に現れる、というようなファンタジーというか子供だましの童話風の話が多い。幻想文学とも言えなくはないが、現実から飛び出るには読ませる説得力が足りないように思える。とは言え、この頃からほとんど「江國香織」としか完成しているように思える。ひと言でいえば文体なんだけど、洗練されて無駄のない文章はこの頃から変わらないのかもしれない。語り手が多様でまとまりがないが、色々挑戦した結果か。
読了日:5月21日 著者:江國香織




ドS刑事 桃栗三年柿八年殺人事件ドS刑事 桃栗三年柿八年殺人事件感想
  オチの良し悪しは別として、結末に至るまでの過程はけっこうおもしろい。被害者の名前に仕掛けがあったりラジオを使った犯罪予告など、一つ一つ真相に近づいていく快感。舞台が田舎でメディアを使った犯罪予告というだけだが、どうしてもゲームの『ペルソナ4』が頭にチラついてしまう。でも、それとは別の方向へ事件は向かい、より一層楽しめた。『ペルソナ4』は世界を支配しようとする神のような存在と対峙することになるが、ジャンルとしてのリアリティの差異で異界へ入るかどうか決まるだけで、この『ドS刑事』の4作目もオカルト性は近い。
読了日:5月31日 著者:七尾与史




邂逅の森 (文春文庫)邂逅の森 (文春文庫)感想
  狩り場としての森の風景描写や熊などの狩猟の描写は、細かく取材されていて読み応えがある。詩的さはほぼなく取材した情報を並べてるだけに見えるのが欠点だが。一方、大河的に書かれたドラマだがなにも面白くない。なまぐさいだけだ。せめて半分の長さなら評価はできたが。しかし大正時代の山や鉱山の風景はぜひ映像で見てみたい。
読了日:5月11日 著者:熊谷達也




文學界2015年6月号文學界2015年6月号感想
  読:槙田雄司「雌伏三十年」、島本理生「夏の裁断」、板垣真任「声がわり」、伊藤比呂美切腹考」、穂村弘「も詩も詩」ほか。文學界新人賞を受賞した二作品が掲載されている。どちらも第一作にしては十分書けているとおもったが、だから面白いというわけではない。
読了日:5月25日 著者:


「第120回文學界新人賞受賞作、加藤秀行『サバイブ』と杉本裕孝『ヴェジトピア』の感想」




■ノンフィクション


陰陽師たちの日本史 (角川選書)陰陽師たちの日本史 (角川選書)感想
  夢枕獏の書く鬼や悪霊を退治したりする安倍晴明のような陰陽師を期待していたのだけど、この本で史実に沿って示される陰陽師はどちらかと言えば天文学者としての姿の印象が強い。晴明の場合、節分の豆まきの源流となった追儺という鬼を追う儀式などは実際に政府の役人としてやっていたらしい。役人を引退した後はフリーで儀式をしていたとか。また、『天地明察』の主役で天文学者渋川春海の周辺のことも多く書かれている。日本史の勉強みたいでちょっと読むのに苦労したが、史実へ目を向けることもたまにはしておかないと、とおもう。
読了日:5月31日 著者:斎藤英喜




現代仏教塾I現代仏教塾I感想
  仏教研究者二人とお坊さんの三回の公演を収めた本。面白いんだけど、なかなか本格的に学問っぽく仏教を語っている本で、信仰という感覚からはほど遠く研究対象としての仏教だった。輪廻転生と言えば仏教だと思っていたが、仏陀は史実として言ったとか言ってないとかいう論争があるらしく、また、死後の世界があると明言したかどうかでも宗派や研究者の間で見解の違いがあるらしい。個人的には仏陀の教えだけにとらわれず、その源流や周辺のヒンドゥー教とか密教とかの思想を広く知っていきたいと思う。
読了日:5月30日 著者:吉村均,三木悟,岩井昌悟




神と仏と日本人―宗教人類学の構想神と仏と日本人―宗教人類学の構想感想
  宗教人類学の観点から見た現代日本人の宗教観。仏壇は本来ほとけさまがいる場所なのにご先祖や故人がいるという意識で拝むことや、戒名の由来など、言われてみれば変な現代の習慣がいろいろある。葬式などへの意識も分析しているが、刊行が20年ほど前なので情報がちょっと古そうなのがもったいない。
読了日:5月19日 著者:佐々木宏幹




たった一人の熱狂-仕事と人生に効く51の言葉-たった一人の熱狂-仕事と人生に効く51の言葉-感想
  相変わらず情熱的で、暑苦しいくらい。だから平易な文章で面白くもあるのだけど、続けて読むと体力を奪われるようで読み終えるのに時間がかかってしまった。藤田晋さんとは共著で二冊書いているが、こちらはSNSの755での発言を元にインタビューをして再構成したものらしい。編集者でもある見城さんだが経営者でもあり、今回の『たった一人の熱狂』はどちらかと言えば経営者、起業家向けに思える。仕事にも人生に対してもあまりに熱狂的で、真似するのは難しい人だが少しでも見習えたらとおもう。
読了日:5月2日 著者:見城徹




恋するために生まれた恋するために生まれた感想
  『冷静と情熱のあいだ』が書かれた少しあとの、小説家二人による手紙のやりとりのような構成の本。内容は「恋する人は美しい説」や「不倫も貫けば最後は純愛」、「愛するが故の嘘の罪」などで、今でいうガールズトークのようなものだが、語っている男女が江國さんと辻さんというのが特別。お二人はもっと深い関係になったもおかしくはなさそうだけど、理想的な友情のある関係に見えてうらやましいし奇跡的とさえおもえる。『冷静と情熱のあいだ』、また読みたくなる。
読了日:5月30日 著者:江國香織,辻仁成




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大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇 (幻冬舎文庫)

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現代仏教塾I

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