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『荒木飛呂彦の創作術』 - 『スティール・ボール・ラン』はいまいち燃えない

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  ジョジョの奇妙な冒険の作者・荒木飛呂彦さんの新刊荒木飛呂彦の漫画術』を読み始めたけど面白い。『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』と『荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟』に続く集英社新書の三作目。


  この『荒木飛呂彦の漫画術』は、「はじめに」でも書かれているように創作術として漫画以外の小説、映画などにも関連するし、受け手としても作者の意図や苦労がわかるので面白い。また、創作術として荒木さんの漫画や少年漫画、映画などが例としてよく出てきて紹介としてもいい。




  『ジョジョの奇妙な冒険』第八部ジョジョリオンは単行本で順次読んでるけど、実は第七部スティール・ボール・ラン(全24巻)は途中までしか読んでいなくて、いま19巻目を読んだところ。


  しかし他の部と比べるとやはり『スティール・ボール・ラン』はなんだか燃えないなー。この七部から掲載誌が青年誌に変わってるっていうのは、『ジョジョ』という漫画にとって大きな影響なんだろうけど、それだからかやたらと分かりにくくなってしまっているように思える。


  ジョニィとジャイロはなかなか良いコンビだと思うし、19巻の敵同士のホットパンツとディオが共闘して大統領と戦うところなんてけっこう燃えるものがあるのだけれど……。


  『荒木飛呂彦の創作術』を読むと少年ジャンプというジャンルを大切にしていて染み込んで漫画を描いているようにおもえるけど、『スティール・ボール・ラン』は少年漫画から離れて青年向けに偏りすぎているんじゃないか。バトルの勝負の行方にしてもスタンドにしてもわかりにくい。


  世界が一巡した世界、ということを読者は知っているからというのと、スタンドの能力がみんなトリックばかりで「実は死んでませんでした」みたいな展開が多い印象で、「キャラの死」というものを表現として信頼できない。だから、いまいち燃えないのだ。


  一方、『スティール・ボール・ラン』から反省してなのか『ジョジョリオン』は少なくとも今のところは、シンプルなスタンドやキャラクターとストーリーになっていてかなり分かり易い。主人公・東方定助の正体が明かされていくにつれてまたハチャメチャな漫画になりそうな面影は感じるけれど。