2014年9月まで放送していた『スペース☆ダンディ』というなんだかテキトーな宇宙人ハンターたちが主役のSFアニメ。
で、今更な感じではあるけど、押山清高さんという方が脚本、絵コンテ、作画監督などを担当した第18話(シーズン2の第5話)「ビッグフィッシュはでっかいじゃんよ」を見たら、なんだか神がかっていて正に神回だった。20数分の一話なのに映画一本見ているような世界観やアニメらしい演出の濃さ。すばらしい。
雰囲気が『マインドゲーム』っぽかったし第16話の「急がば回るのがオレじゃんよ」は湯浅政明さんなので、また担当しているのかな?と思ったら全く知らなかった押山さんだった。ジブリ、特に『崖の上のポニョ』や『千と千尋の神隠し』っぽくもあり、『老人と海』や『海流の中の島々』などのヘミングウェイの釣りの話のようであり、『まんが日本昔ばなし』のようもであり、土台にある『スペース☆ダンディ』を越えつつ磨きをかけていた。
今まで見た中で『スペース☆ダンディ』の第18話は特によかったけど、シリーズ全体として意外で奇妙な面白さがあるアニメだ。いろんなクリエイティブなスタッフが参加して、作家性をもろに剥き出しにしていろいろな話が作られていくのだから、オムニバスアニメのようでもある。
『スペース☆ダンディ』は総監督の渡辺信一郎さんを始めとして、脚本の佐藤大さん信本敬子さんや音楽の菅野よう子さんなど、『カウボーイビバップ』を作ったスタッフが再集結したアニメなので、根底には『カウボーイビバップ』があるわけだけど。
その『カウボーイビバップ』も一話完結の回がけっこう多くてオムニバス的な要素はあったものの、主人公スパイクの過去の因縁という大筋はあった。けれど、『スペース☆ダンディ』の場合はそういう大きなストーリーがないので、より自由で枠にとらわれないはちゃめちゃなアニメになっているように思える。
というようなことをツイッターでつぶやいたら、思いのほか『ダンディ』ファンの方々から反響があって驚いた。ちょうどAT-Xというチャンネルで再放送が始まったり、根強い人気があるシリーズだと知ってちょっと嬉しい。
正直言うと、『カウボーイビバップ』が好きだからこの『ダンディ』もシーズン1の頃からヒマつぶしのようにダラダラと見続けていたのでした。だから大して期待はせずこの時期になってシーズン2も見始めたのだけど、こういう18話目みたいな驚きのある回もあるシリーズと知り、意識を改めようと思った次第なのでした。
押山清高さんは「作画@wiki」によると、『電脳コイル』の作画監督が代表作で、『借りぐらしのアリエッティ』と『風立ちぬ』のジブリ作品にも原画で参加しているとのこと。『電脳コイル』もすごくタイプなアニメで今も記憶にこびりついているし、ジブリも言わずもがなだし、この『ダンディ』第18話が自分好みなはずだ。
このエシメという女の子のキャラがやっぱり好き。神秘的。トップに貼ったアイキャッチもこのエシメ。声は子役の子が演じていて、仕草なども含めてポニョと宗介を混ぜたようなキャラになっている。ダンディに怒った時の表情は、昔話に出てきそうな、風の又三郎のような、子供に秘められた恐ろしさを感じさせるものですごくよかった。
「スペース☆ダンディ Opening ビバナミダ」
岡村靖幸「ビバナミダ:2 minutes version」
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
- 発売日: 2014/04/25
- メディア: Blu-ray
- この商品を含むブログ (18件) を見る