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メビウス&谷口ジロー 『イカル』

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サイズは一般的なノートと同じB5版。




  メビウス(ジャン・ジロー)原作、谷口ジロー作画のマンガ『イカル』を読んだ。『週刊モーニング』での連載が1997年頃で、手元の単行本は2000年刊行となっている。一冊で完結するものと読んでいたのだけれど、最後のページに「第一部/完」と書いてあってガッカリした。長編になるのはいいけれど未だに完結していないようだし、こういうのは鶴田謙二の作品でよくあるように完結しない流れのように思える。


  半分くらいまで読んで、「これ一冊じゃ終わらないスケールだろ!」って思っていたら案の定で。これは簡単に言えばSFモノで、付け加えると超能力モノ。そして大友克洋の『AKIRA』にそっくり。作者たちの知識に疎いから影響関係がよくわからないけれど、谷口ジロー大友克洋宮崎駿手塚治虫(?)などはメビウスに影響を受けたのだという認識をしている。だから『イカル』が『AKIRA』に似てるのはパクリとか云々ではなく、メビウスから発すると仮定して、その周辺の一ジャンルのようなものなのだとおもう。


  谷口ジローのSFモノでは『地球氷解事紀』という1988年頃のマンガがある。これも読んでいてやはり『AKIRA』を思い出さずにはいられなかった。記憶が曖昧だけれど超能力系でもあったような。ともかくスケールがデカくて、地球全体に影響を及ぼす力とか宇宙に飛んでっちゃうとかそんなかんじだったとおもう。ちなみに『AKIRA』はWikipediaによると掲載誌が『週刊ヤングマガジン』で、発表期間が1982-1990年となっている。


  『AKIRA』は大好きな漫画の一つで、ぼくはアニメの方も好きなんだけれど、やはりこの金字塔的作品が前提として立ってしまっているから同じ系統の『イカル』や『地球氷解事紀』などは霞んでしまうのかもしれない。後者二つは単純に読んでいて面白いというものではかった。それでも好きだけれど。単品ではなく、作者たちの影響関係という観点では面白いとおもう。あるいはこういう、ぼくは名前を知らないけど、ひとつのジャンルとして。


  『AKIRA』などはちょっと前に流行った「セカイ系」という(定義が曖昧なようで、ぼくも曖昧な認識をしている)ジャンルに近い気もする。けれども、セカイ系と『AKIRA』などでは大きな違いがあって「セカイ系」が可愛らしい絵柄なのに対して、『AKIRA』などは劇画調ということだ。そこはすごく違う。パッと見でわかる。でも、それ以外の部分は似ているかも。「セカイ系」自体に詳しくないので保留しておきたいが。




  個人的にこの『イカル』を読んでいて、主人公のイカルがやはり『AKIRA』の鉄雄たち超能力者たちと印象がかぶってそれが面白かった。イカルが「力」を思い切り使う場面で、「もうこれ鉄雄じゃん!」とツッコミたくなるような描写があったりして。具体的には、血管が浮かびあがったり眉間のシワが寄ったり、目ん玉が飛び出そうな状態など。


  ということで、谷口ジローの『イカル』の『地球氷解事記』(上下巻の二冊)はSF好きにはオススメです。どちらも手に入り難いのが難点だけれど。


  イカルという鳥が実際にいるのは読み終わってから知った。「斑鳩」と書くそうだ。(http://ja.wikipedia.org/wiki/イカル)




イカル

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地球氷解事紀 上   アクションコミックス

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