sibafutukuri

ゲームの攻略情報・感想、音響系音楽、文学、アニメ、映画などについて書こうかなとおもっています。

自身が如何に異質な方向から穿つような見方を絵本に向けているかということ

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  『100万回生きたねこ』のアマゾンでのレビューを読んでみて非常に衝撃を受けた。全部で183件のレビューが書かれていて、そのなかの149件が最高の星五個を付けて書かれている。星四個から五個までのレビューの、なるべく短いものを以下に引用する。

悲しくなった。

しかし一方で愛の深さを感じた。

生とは

死とは

愛とは

輪廻とは

すごく深い本。

前半の当たり前のような死と投げやりさに対しての後半の白い猫との暖かさのコントラストが不思議だ。

何度も読み返していろんな意味を考えてしまう一冊。
(星4個)


自分以外の人を愛することの尊さ、
愛する人を失うことのせつなさが身にしみるお話です。
失うものがなければ、何も怖くない。
でも、ただ、時間を過ごしているだけ。
失うのが怖いほど愛する人がそばにいることの大切さを感じさせてくれます。
(星4個)


誰かに100万回、愛されることよりも、
ただ一度、心から誰かを愛し、失う。
そのほうが、心の底が深くなることを、
わかりやすく教えてくれる一冊です。
(星5個)


誰に愛されても、なんとも思わず生きてきた猫。
でも、誰かを愛することを知った時、初めてよろこびを知った。
そして、はじめて悲しみも知る。
猫は真実の愛をみつけ、生き返ることのない天国に行ったのだろう。
子どもはもちろんだが、大人に読んで欲しい童話。
愛のある人生って、いいなと思った。
(星5個)

(「Amazon.co.jp: カスタマーレビュー 100万回生きたねこ (佐野洋子の絵本 (1))、http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4061272748/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1)


  183件すべてのレビューを読んだわけではもちろんないのだが、ざっと目を通したところ「生きる」「死ぬ」「愛」「家族」「輪廻」「感動」「泣いた」などのワードが数多く目に入ってくる。一番上に出てすぐ目に入るレビューのタイトルが「愛することの大切さ・・・」というもので、それだけでこのワードやそのほかの言葉の並びを見て、心臓がわしづかみにされたような気がした。

  あれ、この本の読み方ってそんな簡単でいいのか、あれ?というように、自分が恥ずかしくなった。文学作品を素直に読めなくなった自分が恥ずかしかった。表面のテーマとして「愛」などがあるのはそれは分かっていたつもりでいた。けれども、そのことなどはこれらのレビューを読むまで頭の中から排除して作品を読んでいた。あまりにもアマゾンのレビューでは直に「愛」だの「家族」などの高温のワードが飛び交っているのでこちらの温度も上がってしまうのだった。

  それが分かったからといって、この作品のテーマとして例えば「愛の尊さ」があるのだ、というように認めるつもりはないのだが、それでも如何に自分がみなさんとは違った方向から見当違いにトンネルを掘っているのだろうと恥ずかしくてたまらなくなるのであった。

  以下の引用は別のサイトからだが、やはりこういう見方もあるようで少し胸を撫で下ろすことができた。

読み終えたあと、はて?作者の佐野洋子さんは、いったい何が言いたかったのだろうか?何を表現したかったのだろうか?と思った。いろいろと考えてみても、適切な答えは浮かんでこない。何かを風刺しているのか、自分勝手な生きざまをしていても、愛する対象ができて「家族」というものを持つと、180度転換するその様子を描きたかったのか、まったくわからない。そんな表面的なものではないのかもしれないし、逆にそんなに深く分析すべきことではないのかもしれない。書評通り、おもしろいと感じればいいのかもしれない。

(「100万回生きたねこ-独断でおすすめの1冊」、http://www.asahi-net.or.jp/~uz4s-mrym/page/osusume/osusum15.html)