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『WIRED』日本版プリント版が刊行休止 定期購読を終了 - ひとつの文化の終わりを感じる

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『WIRED』近刊4号

 

『WIRED』の終わり

ふと郵便受けを開けたらA4サイズの用紙が入る封筒が入っていた。

WIRED』からだった。

「定期購読者のみなさまえ」と大きく書かれている。

購読料の支払いの件かな?と思っていたけど。

開けてみたら、

雑誌『WIRED』日本版 刊行未定による定期購読ご解約に関するお知らせ

と書かれていて驚く……。

『WIRED』日本版はVOL.30(2017年12月9日発売)で定期購読を終了。

すくなくとも3月刊行予定だったVOL.31は出ない。

もともと刊行の間隔がころころ変わったりと不安定には見えていた雑誌だったけど。

2017年は年4回で刊行していた。

これは、なかなかショックなお知らせだった。

 

目次

 

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封筒の中身 宮崎夏次系のイラストなど

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封筒の中身は、

・定期購読終了、刊行未定、返金についてのお知らせ

・宮崎夏次系のイラストのポストカードのようなもの

・数ページの冊子

だった。

 

宮崎夏次系は『WIRED』の中で去年くらいからイラストを描いている、漫画家・イラストレーター。

このポストカードのようなものはなかなか記念になる。

この人のマンガはまだ読めていないけど、繊細な画風がけっこう好き。

 

もう一つは冊子。

いつも未来に驚かされていたい 『WIRED』日本版プリント版刊行休止に関するお知らせ」と題された文章。

編集長の若林恵さんのインタビュー形式の文章が数ページにわたって載っている。

内容は、刊行未定になった経緯、『WIRED』関連の事業について、予定していた企画、これまでとこれからの総括など。

グチっぽくもあり、未来への希望を語っている内容でもあったり。

この文書は全く同じものをウェブでも世まめすが、刊行未定に関する大事なことや、心に残った部分を抜粋させてもらいます。

 

いつも未来に驚かされていたい 『WIRED』日本版プリント版刊行休止に関するお知らせ

 

●──『WIRED』日本版のプリント版、なくなるんですか?

少なくとも来年の3月発売号は出ないことになりました

 

●──えー、なんで休止なんですか?

ぼくが編集長を下りることになったんで。

 

●──あれま。でも編集長が辞めると、なんで雑誌が出なくなるの?

さあ。そこは会社の判断。

 

●──で、なんで編集長辞めるんですか?

例によって短気をおこしたのね。

 

●──しかし、急ですね。

そこは、外資だから。契約が切れる5営業日前に通達。とはいえ、プリント版の一時休止と、定期購読の停止の件を、なる早で読者のみなさんにアナウンスしとかないとマズいかな、と。で、急ぎこの原稿をつくったわけ。最後のおつとめ。

 

●──ちょうど30号でおしまいってことですね。

編集長としてつくったのは、実質28号だけど、まあ、結果的にいえば、いい区切りなのかもしれない。

 

●──また、しかし、売れなさそうな(苦笑)。

そお? 定期購読も順調に増えてはきてたし、広告もうまくまわりはじめて、全体としてビジネスはかなり好調になってきてたんだよ。

 

「道を新しくつくる人は儲からなくて、結局は、道を舗装するヤツが儲けるんだ」ってスタッフにはずっと半ば負け犬の遠吠えのように言ってて(笑)

 

「イノヴェイション」って、シンプルに獣道を進むことでしかないから。

 

『我々は人間なのか? デザインと人間をめぐる考古学的覚書き』っていう滅法面白い本があって、これ、デザイン論でありながら優れたテクノロジー論でもある、めちゃいい本なんだけど、そこに「ポスト・ヒューマンという思想は20世紀の近代デザインのあとに起こるものではない。それどころか、ポスト・ヒューマン思想への反応が近代デザインだった」って書いてあるの。

マーシャル・マクルーハンの引用があるんだけど、それがめちゃくちゃいいの。

──ほお。

「機能するということは時代遅れであるということである」。よくない?

 

「読者はバカだからテキストを読まない」なんてことを平気で言うヤツがいるんだよ。出版の世界でも。

 

「ってかそれってオマエがバカなだけだろ?」ってずっと長いこと思ってて、『WIRED』で証明したかったのは、大きくは、ひとつそれだったの。だってアメリカに『ニューヨーカー』みたいなテキストだらけの雑誌をちゃんと読むヤツがいるんだよ。日本にだっているに決まってんじゃん。それがマジョリティだとは思わないけれども、いつから日本では客ってものをこれだけ見くびるようになったんだろう、とは思う。

 

「東京拘置所でVol.1からずっと定期購読してました」って青年もいたよ。

──拘置所から定期購読できるんすね。

そうなんだよ。自分もそれで初めて知ったんだけど(笑)。「世界に開かれた唯一の窓だったんす」って言われて、ちょっと泣きそうになった。

 

●──ちなみにプリント以外の事業は残るんですか?

旅とか、スクールとか、コンサルとかは、ノウハウをもっているスタッフが関わるかどうか次第だろうなあ。少なくともウェブは続くよ。言ってもUS版初代編集長にケヴィン・ケリーを、日本版初代編集長に小林弘人さんを仰ぎ、そして守護聖人としてかのマーシャル・マクルーハンを奉る重たいメディアブランドだからね、軽はずみになくすわけにもいかないでしょ。

 

●──ちなみに、『WIRED』日本版の守護聖人って誰だったんですか?

公式にはいないけど、自分のってことならイヴァン・イリイチだよ。

──『コンヴィヴィアリティのための道具』の人ですよね。思想家というか、社会学者というか。

 

『WIRED』初代編集長のケヴィン・ケリーは『ホール・アース・カタログ』に関わっていたわけだから、スチュワート・ブランドを介してイリイチと『WIRED』は細い糸でつながっていて、思想的に近いわけでなくとも問題系は重なりあってた。だからこそ、根っからのテクノロジー嫌いでも、自分なりにテーマをみつけることができて、ここまで熱をこめて『WIRED』にコミットすることができたんだよね。

 

 ●自分が手がけたプリント版の最後の号になる最新号のなかで、熊谷晋一郎先生が、ヴィクトール・フランクルっていう精神科医の考え方を説明してて。「あなたが人生に何かを期待するのではなく、あなたが人生から何を期待されているのか考えること、(フランクルは)、それが『責任』 なんだと言ってるんです」。言われてみれば、そういう意味での「責任」を果たそうとがんばってきんだなって感じはする。

 

驚いたことに、メジャー・レイザーのキューバ公演を追った『Give Me Future』っていうドキュメンタリー映画を観てたら、映画に登場するあるキューバ人女性がまったく同じことを言ってるの。「わたしは人生に多くを期待はしない。むしろいつも人生に驚かされていたい」って。

 

イリイチは晩年に「『未来』などない。あるのは『希望』だけだ」って言い遺しているんだけど、これも、なんかだか似たようなことを言ってるようにも思えて。

 

メジャー・レイザーのこの映画の配信がはじまったのが今年の11月だったんだけど、2010年の冬にアートディレクターの藤田裕美くんと新宿の喫茶店で、どういう雑誌にしようかって最初の打ち合わせをしてから実質丸7年間『WIRED』に関わり続けてきて、最後にたどり着いたのがこの言葉だったっていうのは、ちょっと、なんか、気分がいいんだよね。

 

 

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次号の企画は「発注を考える」だった

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最新号のVOL.30の特集は「Identity デジタル時代のダイヴァーシティ 〈わたし〉の未来」。

前号が「ワイアード、アフリカにいく」で、実は内容が繋がっていたりする。

ダイヴァーシティ、つまり多様性にまつわる記事などがいろいろあって面白かった。

そのVOL.30で予告されていたのが次号の特集「発注を考える 新しい働き方の<エコノミクス>と<倫理>」だった。

「発注」と言われてもパッとこないしイマイチ興味もなかったけど、上に載せた文章を読んだら興味がわいてきた。

若林さんの文章に「外資だから。契約が切れる5営業日前に通達」と書かれている通り、けっこう急なスケジュールで刊行未定が決定したんだろう。

これからも読んでいきたい雑誌だけに残念だ。

 

やはり雑誌は紙で読みたい

紙版とダウンロード版の『WIRED』は刊行未定。

ウェブ版の『WIRED』は運営を続けていくようです。

ウェブ版の記事も面白いものが多いけど、『WIRED』に限らずパソコンの画面で

きっちりした長文を読むのはツライ。

雑誌版は出せないとしてもダウンロード版は残してくれればなと思ったけど。

まぁ、ただタブレットはFireのHD8を使っているけど、雑誌を読むのには適していない。

記事に内容ももちろん、パラっと紙をめくったときに目に飛び込んでくる写真や色のデザインがどんな雑誌よりも優れていたので、眺めているだけで楽しい雑誌でもあった。

なので、やはり紙の雑誌で『WIRED』を読みたい。

編集長の若林さんは序文を自分で書いたり前に出るタイプだったので、この人ありきの日本版『WIRED』だったのかなと推測できる。

そうなると、今後復刊してもどうなるかはわからないけど、似たような「イノベーション」を扱った雑誌をまた手に取ることができたら嬉しい。

追悼文を書いているかのような気分ではあるけど、未来はないかもしれないけど希望はある、と思うことにする。

 

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『WIRED』との出会い

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初めて読んだ『WIRED』は2014年のVOL.11。

コンビニで立ち読みしてなんとなく手に取ったのが始まりだった。

それから店頭で買い続けて、定期購読するようになった。

『WIRED』はイノベーションとかスタートアップとかITとかテックとか、そんなワードに関するテーマを扱うことが多いけど、ビジネスに偏らず文化的であったり哲学的な側面もある、珍しい雑誌だ。

最近は新しく雑誌を読み始めることがほぼないけど、今後、『WIRED』がないとなるとどこから同じような情報=栄養を摂取すればいいかわからない。

ただ読むだけでなく、たまにここにネタとして取り扱うこともあっただけに存在が大きい。

ひとつの文化の終わりを感じる。

 

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