『シン・ゴジラ』地上波初放送
11月12日の日曜日。
ネットを見ていて気づいたけどもう遅くて地上波初放送の『シン・ゴジラ』がテレビで放映されていたけど、もう23時でそろそろ終わりそうってところだった。
なので、結局見ることはなかった。
もう一年以上前の2016年夏に劇場で結局1度見た限りだ。
内容にはとても満足で3回くらい観にいってもいいくらいの出来だった。
テレビでは見なかったけど、ツイッターや5ちゃん(2ちゃん)で『シン・ゴジラ』の感想を読み漁ったり、ライムスター宇多丸の映画評を聞き漁ったり、衝動的に、本能的にそういうことで気づいたら時間を費やしていた。
シンゴジラのことを過去に「国民的というか、国民映画。」とまで言ってしまっているけど、思い返してみてもそんな映画。
ポスト3.11を代表する作品。
ただ感傷的なだけでなくて『ウルトラマン』的なメタファーが3.11以後の日本にうまく重なる。
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目次
- 『シン・ゴジラ』地上波初放送
- 目次
- ゴジラと巨神兵
- ライムスター宇多丸の『シン・ゴジラ』評
- 酷評されまくる『シン・ゴジラ』
- 『シン・ゴジラ』は実況に向かない
- ハイテンポが強みでもあり弱みでもあった
- 『オカルティック・ナイン』のアニメも異様に早口
- ハイテンポな会話劇だと理解できない?
- ハイテンポな会話劇は現代人に嫌われる
- 映画とテレビの共存
- 「シンゴジ」おじさんと「君縄」信者
- 2016年映画のインパクト
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ゴジラと巨神兵
『シン・ゴジラ』を見てきた。よかった。かなーり政治性が強かった。国民的というか、国民映画。「戦後」を越えて、ポスト3.11の今だからこそ意味のある映画。
ゴジラは凶悪な怪物で、まさに『風の谷のナウシカ』の巨神兵。作品としてもキャラとしても「エヴァっぽさ」もあるけど、結局そのぽさって特撮作品やナウシカから来ている気がして、エヴァ以前の要素が頭に浮かぶ。エヴァもそうだったけど、巨神兵に固執し続ける庵野秀明の姿が見える。
上映当時に書いた感想。
ライムスター宇多丸の『シン・ゴジラ』評
宇多丸単独の『シン・ゴジラ』評
宇多丸と映画史・時代劇研究家の春日太一の『シン・ゴジラ』評
話している内容はかぶっているところもあるけどどっちの動画も面白い。
酷評されまくる『シン・ゴジラ』
劇場上映時はお客さんもいっぱい入ったし見た人の満足度も高かったはず。
でも、面白いことに今回のテレビ放映時はネット上だと酷評する声がかなり目立つ。
主に嫌われているのが、
●役者が早口でなに言ってるかわからない
●会議シーンがつまらない
●ゴジラが暴れまわらない
●役者の演技が下手
●石原さとみいらない
という点だったかと。
最後の石原さとみは自分も納得。
でも、それ以外はそんな気になるマイナス点ではないし、「庵野風特撮ゴジラ」の味になっていてそれらがなかったら全くの別作品になってしまう。
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『シン・ゴジラ』は実況に向かない
役者に関しては平均的にうまい、というわけではないけど、特撮畑の役者が多かった気がして、特撮風の演技を徹底させていて面白いと思っていた。
劇場上映時はあんなに好評だったのに、今のネットの意見を見てるとマイナスなものばかりで、この差はなんなのか。
政治色が強くてオタク向けのゴジラが『シン・ゴジラ』なんだと思ってるけど。
テンポが早い映画なのでテレビで集中せず見るのには向いていないってのもありそう。
ツイッターはあまり見てないけど、ツイッターに好意的な意見が集まるのは想像できる。
一方、5ちゃんは作品が酷ければ叩かれるのが当然の世界。
でも、怪獣映画なら実況向けなんじゃ?と思っていたのだけど、実況好きの5ちゃんねらーにはどうも『シン・ゴジラ』は合わなかったみたいだ。
ハイテンポが強みでもあり弱みでもあった
『シン・ゴジラ』のテンポの速さは特徴的だけど、間が伸びがちな日本作品が多いことへの反抗のように思えるしそういう時代の流れを感じる。
宇多丸の動画で春日太一が、「今の映画の潮流として間を詰める、ということがあるとおもう」と言っている。
北野武が『アウトレイジ』の編集の時に、間を詰めるように編集していたらしい。
庵野秀明もこの「間を詰める」ということは意識しているんだろう。
間の短さ、テンポの速さというスタイルが、この災害シミュレーション映画寄りの怪獣パニック映画である『シン・ゴジラ』に見事にマッチしていて、そこは譲れないスタイルだったとおもう。
『シン・ゴジラ』は緊迫感がありつつもギャグっぽいシニカルな場面も多くて、そのどちらにも軽妙さみたいな感じで「詰まった間」がうまく効いていた。
『オカルティック・ナイン』のアニメも異様に早口
『オカルティック・ナイン』はアドベンチャーゲームの『シュタインズ・ゲート』を作っている会社や製作者が同じメディアミックス作品で、アニメ、小説、マンガ、ゲームなどで展開している。
この『オカルティック・ナイン』のアニメも異様に早口でテンポの速い全12話だったけど、自分が合う合わない別として、情報過多な時代にマッチはしていると思う。
ただ、初見のお客さんにウケたか、というとそんなことはないとおもう。
今でも、この異様な早口は尖った部分と評されることが多いし、ブルーレイ&DVDは1巻目でさえ1000本に満たない売り上げでシリーズとして低調な出足になってしまった。
ハイテンポな会話劇だと理解できない?
他に最近のハイテンポ作品では洋画の『マネー・ショート』がある。
『マネー・ショート』は金融関係の話でそういった業界の専門用語が飛び交う。
他と比べて喋る早さは目立たない反面、内容の難解さは最も高い。
でも、それで楽しめないかというとそうではなくて、劇場で集中して見ればジェットコースターのような体感エンタメにさえなっている。
『シン・ゴジラ』も『マネー・ショート』もテレビでながら見をしていたら、理解するのは難しい作品かもしれない。
一方、早口度合いでは群を抜いている『オカルティック・ナイン』は意外と内容はスルスルと入ってきやすい。
アニメだから演技、演出がオーバーということもあるし、テンポが速く多少難解な用語があっても全部を追わずとも理解はできるつくりになっている。
逆に言うと、深く謎を追わない限りは『オカルティック・ナイン』はテレビにかじりついて集中して見るようなタイプの作品でもない。
ハイテンポな会話劇は現代人に嫌われる
ハイテンポスタイルはスリラー作品にはちょうどいいんだろうけど、必ず批判する人がいるし理解して楽しむのに集中力が必要だから、逆に言うとスマホ片手にテレビ見るような環境には全然合わなさそうだ。
情報も映画とかドラマも溢れてるからこそ、間延びさせずポンポンいろんな作品を見られるのがいいのかなとは個人的には思うけど。
映画とテレビ(ドラマ)では媒体がちがうし、見る場所、環境がちがう。
今回の『シン・ゴジラ』テレビ放映は、ハイテンポという観点だけで言えば、そういった環境のちがいがこうも映画の評価にかかわってくる、ということが分かる面白い出来事だった。
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映画とテレビの共存
玄人寄りの映画好きはハイテンポを好むのかもしれない。
実際に今の映画業界はハイテンポ寄りになっているのかも。
自分もムダに深みのない間がある邦画よりはハイテンポが好きだ。
映画もドラマも常に1.2倍速くらいで見たいくらいなせっかちなせいもある。
でも、映画好きばかりが映画館にいくわけではなく、普段テレビを見ている人が映画館に行くのであれば、テレビ好きも好む映画を作らなければならない。
映画のテンポとテレビのテンポ、それぞれ食い違うのはしかたない反面、映画側からすると痛いマイナスだ。
そういうテンポのバランスが難しいとおもう。
同じく2016年に大ヒットした『君の名は。』と同様に、『シン・ゴジラ』もまた、普段映画館に行かないような人を映画館に動因した映画だと思っていたけれど、今回の酷評の多さを見ると事情がちょっとちがうみたいだ。
そういう意味では、更なるヒット作の『君の名は。』をテレビ放映したときのみんなのリアクションが気になる。
ちなみに、ずっと気にはしていながらも自分はまだ『君の名は。』を見ていない。
「シンゴジ」おじさんと「君縄」信者
2016年のネット映画評と言えば、「シンゴジ」おじさんと「君縄」信者の痛々しいレスバトルが浮かぶ人もいるかもしれない。
上映が前後した『シン・ゴジラ』と『君の名は。』両作品のファン、あるいはどちらかを気に入らない第三者が、どちらかを褒め、どちらかを貶すという映画評合戦が繰り広げられていた(今もなおか)。
自分は『君の名は。』を見ていないので参加する資格がないとおもい、そういう合戦に参加はしていないけどスタンスとしては「シンゴジ」おじさん側だろう。
また、2017年6月に公開された『この世界の片隅に』もヒットしたことでこの合戦に加わったりして、不毛な戦いが繰り広げられている。
ちなみに『この世界の片隅に』もまだ見ていない。
まぁ、そういう映画評の「政治的」な派閥争いがあるので、ネット上の特に匿名の意見というのは真に受けることができない、という背景がある。
「シンゴジ」おじさん側からすると、今回の『シン・ゴジラ』バッシングも、蘇った「君縄」信者が元気に盛り上がっていたのかな、と思うところはある。
2016年映画のインパクト
そんなことを考えていると「今年の映画なにがあったけ?」なんて思ってしまう。
それくらい、2016年の『シン・ゴジラ』と『君の名は。』のインパクトが強すぎた。
その二作品が合わさって社会的な規模のインパクトがあった。
映画館が盛り上がっていたように見えた去年を想うと、今も同じ地球上なのか?と変な気持ちになる。
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