目次
- 目次
- 見事な銃撃戦の臨場感&笑えるおバカ映画の『フリー・ファイヤー』
- スタッフ・キャスト
- ストーリー・あらすじ
- みんな銃撃つのヘタすぎ!!おかげで泥仕合に…
- ジョン・デンバーの爽やかな歌とのミスマッチ感が凄くいい
- 劇中の舞台は70年代?
- 映画館に銃声が延々と鳴り響く!!映画館で見てよかった
- FPS、TPSあるいはステルスゲームっぽくもある
- 廃倉庫の3D空間をマインクラフトで作成!
- 過ぎた欲は身を滅ぼす
見事な銃撃戦の臨場感&笑えるおバカ映画の『フリー・ファイヤー』
4月29日から上映している『フリー・ファイヤー』を見に渋谷のTOEIへ。
んー、これは見てよかった!おバカ系映画なのかな?って思ってたけど、完全におバカ映画だった。
でもバカやってるんだけど、銃撃戦や人体へのダメージとかちゃんとやってて臨場感があって劇場で見てこそ、という映画になってる。
銃撃ちまっくて殺し合ってるのに笑える(不謹慎)。
見に行ってよかった。
スタッフ・キャスト
【スタッフ】
監督:ベン・ウィートリー
製作:アンディ・スターク
製作総指揮:マーティン・スコセッシ ほか
脚本:エイミー・ジャンプ、ベン・ウィートリー
音楽:ベン・サリスベリー、ジェフ・バロウ
【キャスト】
アーミー・ハマー:オード
キリアン・マーフィ:クリス
シャルト・コプリー:ヴァーノン
ジャック・レイナー:ハリー
サム・ライリー:スティーヴォ
マイケル・スマイリー:フランク
バボー・シーセイ:マーティン
エンゾ・シレンティ:バーニー
ノア・テイラー:ゴードン
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製作総指揮としてなんとマーティン・スコセッシが関わっている!
スコセッシは17年1月に上映されて話題になった『沈黙-サイレンス-』の監督でもあるけど、『タクシードライバー』や『グッド・フェローズ』、『ディパーテッド』などのバイオレンスやギャング色の強い映画を多く作っているひとなので、この『フリー・ファイヤー』はギャング系列のスコセッシの作風を濃くしたような映画になっている。
監督はベン・ウィートリーというひと。
J・G・バラード原作の『ハイ・ライズ』や、エドガー・ライト製作総指揮の『サイトシアーズ~殺人者のための英国観光ガイド~』を撮っている。
キャストのキリアン・マーフィが個人的に好きで、この人が出ていなかったら見ていなかったかも。
クリストファー・ノーランの『バットマン』や『インセプション』に出演していて好きになった俳優。
王道のイケメンという分けではないけどカッコよくて、冷めた感じの風貌や喋り方。
『フリー・ファイヤー』はバトルロイヤル形式の映画みたいなところもあるので主役というのはしっかり決まっていないけど、キリアン・マーフィは重要な役でなかなか良い雰囲気のキャラクターを演じていた。
ストーリー・あらすじ
とある倉庫に集まった二組のギャング。
それは簡単な銃取引のはずだった…。
ある揉め事から交渉がこじれ、突如として壮絶な銃撃戦に!
全員瀕死の発狂状態の中で、最後まで生き残るヤツは一体誰だ!?
銃の取引のために倉庫に全員が集まってからは、あとはそこで銃撃戦をやるだけ!!
ほとんど、こんな映画であらすじもなにもない。
みんな銃撃つのヘタすぎ!!おかげで泥仕合に…
ほぼ倉庫で撃ちまくるだけの映画なんだけど、なんでそうなっちゃうかっていうとみんな銃を撃つのがヘタすぎるからなんだよね。
狙うのヘタだから、ひとに当たってもほとんど腕や足ばかりなので致命傷になりにくい。
致命傷でもなかなか死なないし!
映画も冒頭に監督からのメッセージで「FBIの資料をいろいろ読んだけど、人間は致命傷を受けても意外と死なない。その人間のしぶとさを見てほしい」というよなものが出る。
まさにこのメッセージの通り、みんなシブとい!
最初は元気に銃を撃ち合っているけど、段々とまともに立って動ける者が減っていて、最後には子供のケンカみたいになっていく、その愚かしい姿がおかしすぎて笑える。
しかし、こんなにもひとに弾が当たらずになかなか死なない映画があっただろうか。
あと、みんな「クソ!」的な意味で「FUCK!」連発しすぎね。
ジョン・デンバーの爽やかな歌とのミスマッチ感が凄くいい
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ジョン・デンバーの曲が重要なシーンで流れる。
アメリカのシンガーソングライターで70年代に活躍した、とか。
自分は全然知らなかったけど、古臭いながらもベトナム戦争とかヒッピーとかの時代を感じさせる曲で意外と好きだ。
銃撃戦をやってボロボロになっているところに、空気を読まずジョン・デンバーの爽やかな曲が廃倉庫に響き渡るミスマッチ感、それが凄くいい。
劇中の舞台は70年代?
劇中の舞台となる時代はおそらく現代ではない。
ケータイがなく、車にカセットテープを挿していることや、ジョン・デンバー好きがいる時代だから70年代くらいなのかな。
キャラクターたちの服装も時代を反映したエリがやたらデカくて派手なスーツとか、肩パッドが大きかったりと、今から見ればダサいんだけど作中で統一されているファッションなので、この映画では良い味になっている。
映画館に銃声が延々と鳴り響く!!映画館で見てよかった
最近家でアクション系の映画を見ていて気になるのが、アクションシーンと普通の会話シーンの音量の差。
銃撃やカーチェイスシーンは音量がかなり大きくて、会話シーンは音量が絞られていて聞き取れない。
そんな「お前はクラシック音楽のCDか!」とツッコミたくなる映画が多い。
もっとも、映画のせいというよりソフト化やウェブ上のストリーミング用に調整したときの問題かと思うけど。
劇場と家庭では環境がちがいすぎるから、そこら辺の音量の調整はちゃんとやってほしいとおもうけど。
銃撃音とか結構音漏れがしそうで隣家を気にしながらビクビクして見てしまうし、でも会話は聞き取りたいし、という困りどころ。
『フリー・ファイヤー』はというと、銃声や弾がぶつかった音が延々と鳴り響いている!
人によるだろうけど、『フリー・ファイヤー』の銃声などは不快に感じなくて、むしろ気持ちよかった。
銃撃音を心地よく思うってのは倫理的にはよくないけど、娯楽映画なのだから、製作側も意識して銃撃音を堪能してもらうためにこだわって作っているように感じる。
弾を撃った直後の残響や、金属に弾が当たって弾けた後の残響など、銃撃のなかの静寂に緊張感もあって、臨場感をうまく作り出している。
FPS、TPSあるいはステルスゲームっぽくもある
一人称視点のシューティングゲーム、FPS『CoD(コールオブデューティ)』シリーズや三人称視点のシューティングゲーム、TPSなどの銃撃ゲームがいろいろ世の中にはあるけど、意外にも『フリー・ファイヤー』の銃撃戦はそういうゲームを思い出させるものになっている。
また、位置はだいたいバレているけどみんな物陰に隠れて銃撃したり、こそこそ隠れて移動して敵を襲ったりしているので『メタルギアソリッド』シリーズなどのステルスゲームっぽくもある。
最近プレイしたPS4の『デウスエクス マンカインド・ディバイデッド』はFPS・TPSでもありステルスゲームでもある一応RPGだったので、そういう観点からも面白かった。
廃倉庫の3D空間をマインクラフトで作成!
この「WIRED.jp」の記事がおもしろい。
マインクラフトで廃倉庫の3D空間を作成してスタッフ全員と共有したとか。
「銃の発砲とカメラの撮影がすべて同期して行われるようにするために、監督は1,700枚の絵コンテを描き、映画の撮影に使う倉庫の実物モデルを建設した。それだけでなく、すべての撮影を正しく行うために、サンドボックスゲーム「Minecraft」(マインクラフト)の空間に3Dシミュレーションまで作成した。」
たしかに映画を見ていると、誰がどの位置にいて、何の物陰に隠れていて、オードからクリスは狙えるけど、ヴァーノンからはクリスを狙えない、などかなり緻密に計算しないと作れないような映像になっている。
実際に倉庫の実物モデルを作ってしかもマインクラフトで3D空間をスタッフで共有していたということだけど、たしかにそれだけしないと作るのは難しそうな映画だ。
過ぎた欲は身を滅ぼす
「過ぎた欲は身を滅ぼす」とか「過ぎたるは及ばざるごとし」とか「二兎を追うもの一兎を得ず」というような言葉がいろいろあるけれども、『フリー・ファイヤー』の主要キャラはみんな欲が強すぎる!
始めはみんな冷静だけど、中盤からはアドレナリンのせいなのか、我欲が高まっちゃってその欲を追求していくものだから、結局は何も得られない、みたいな。
欲張りはいけないね、というのがこの映画の教訓でしょうか。