『マリアンヌ』を見てきた。ブラッド・ピットとマリオン・コティヤールがスパイ夫婦役で出演。監督のロバート・ゼメキスは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『フォレスト・ガンプ/一期一会』のひと。
あらすじ
カサブランカで出逢い、一瞬で恋に落ちた。
孤独だった人生に、初めて幸福を感じた。
このままずっと続くと思っていた。
愛する妻マリアンヌに向けられた、信じられない“疑惑”
疑いを晴らせなければ、妻の命はこの手で奪うことになる。
愛する妻マリアンヌは何者なのか―?
若返ったブラピ
『ジャッキー・コーガン』では殺し屋、『悪の法則』では長髪を束ねた闇社会の人間、『フューリー』ではタフな軍人、『マネー・ショート』では浮世離れして千人じみた金融界の変人、と近年ではアウトロー側な役を多く演じている印象の強いブラピ。
でも、この『マリアンヌ』では『セブン』や『ジョー・ブラックをよろしく』、『ファイト・クラブ』などの美男子系の役にブラピが戻ってきた、という驚きが強い。
ウィキペディアによると1963年12月18日生まれなので、撮影が2016年だとしても当時53歳ということになる。
実年齢を感じさせない容貌はさすがブラッド・ピット、というところ。演技も熱がこもっている。とはいっても、役の設定が現場で仕事をするスパイとかパイロットなので、50代がやる仕事じゃないだろ、とは映画を見ながら違和感を覚えてしまう。
ビシバシと人を殺しまくるブラピは不謹慎ながら見ていて爽快だったけど。今まであんまりこういう役はなかったような。新鮮に感じた。
設定の年齢は知らないけど、30代かよくても40代くらいのキャラクターでないといろいろと不自然。現場で働いているし未婚だし妹も若いし、と。カサブランカでの登場時の設定も30代なのかもしれない。
だから、本当は高齢なブラピではなくて一回りか二回り若い若い俳優を使うべきなんだろう。ブラピに似てるし10歳ほど若くて40歳前後のコリン・ファレルは適役だったかもしれない。
とはいっても、ブラピほどスター性があってなおかつ若い俳優ってのはやっぱり難しそうだ。30代でそういう人がいればいいんだけど。
あるいは『フューリー』でブラピと共演したシャイア・ラブーフなんかもありかもしれない。ちょっと若すぎる気もするけど、スパイ役が似合いそう。
この映画はストーリーが平凡な分、ブラピのスター性とマリオン・コティヤールの妖艶なキャラがあってこそ、大作映画として成り立っているところがあるから、どちらかが欠けたらだいぶキツイ。
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信用できないマリオン・コティヤール
ブラピの妻役であり元スパイを演じたマリオン・コティヤール。あまりこの人が出てる作品は見ていないけど、『インセプション』のモル役は強烈だった。
『インセプション』ではレオナルド・ディカプリオの妻役だったわけだけど、夢の世界に取り憑かれていて完全に精神を病んでいるひと。ディカプリオ役のコブの精神面も影響しているわけだけど、何度も自殺をしようとしたりして恐怖しかない。
そんな闇のあるイメージで今回のマリオン・コティヤールを見たものだから、最後まで「こいつ信用できない」っていう気持ちのまま映画を観終わった。
やっぱりスパイ映画かつドラマ映画としてストーリーが平凡な分、「何を信用すればいいかわからない」っていう要素はこの映画で重要で、小説でいう「信用できない語り手」みたいなもので、物事は目の前で起こっているけど、「本当は裏側で逆のなにかが動いているのでは?」とどう思わせるかがカギになっている。
そういう観客の疑惑の気持ちを引き立てるという点でマリオン・コティヤールの怪しさと美貌の混ざったキャラクターはかなり効果的だったとおもう。やっぱり自分は『インセプション』のモルの影響が強いからそう感じるだけかもしれないけど。
おわりに
ストーリーも演出も平凡!というところは残念だったなー。スパイものなんだから、もうちょっと捻った話でもよかったのでは。
戦時中、戦後の話なので衣装や街並みが時代ものになっているわけだけど、そこらへんは二人の恋愛や結構生活のシーンなどと合わせて美しい、と言えるものになっていた。
自分はブラピが好きだから見たようなものだけど、ちょっと無理がありながらも、もう一度美男子系列のブラピを見られてよかった。これに尽きる。