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『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』の感想 - ただの無法者かヒーローか

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 前作『アウトロー』(原題:Jack Reacher・2012年製作)が好きなので、2016年11月11日に公開した『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』も観てきました。

 ちなみに前作と話は繋がっていないので、観てなくても今回の映画は楽しめるとおもいます。でも、前作を観ているとより一層楽しめる部分もあります。


トム・クルーズ主演『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』 第一弾予告映像

 

 

あらすじ

己の正義を貫くジャック・リーチャー(トム・クルーズ)が、『アウトロー』待望の続編『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』で帰って来る。 ターナー少佐(コビー・スマルダーズ)は、リーチャーがかつて所属していた陸軍内部調査部の軍人。彼女は、身に覚えのない国家への反逆行為の罪で逮捕される。リーチャーは、ターナーを脱獄させ、巨大な政府の陰謀の裏に隠された真実を暴き、彼女の身の潔白を証明しなければならない。彼らは逃亡犯として捜査網をすり抜け、重大な秘密を知ることになる。リー・チャイルド原作による全世界で1億部を売り上げたベストセラー、「ジャック・リーチャー」シリーズの18作目を映画化。

http://www.outlaw-movie.jp/

 

 スタッフ・キャスト

監督:エドワード・ズウィック

製作:クリストファー・マッカリートム・クルーズ、ドン・グレンジャー

原作:リー・チャイルド

 

トム・クルーズ:ジャック・リーチャー
コビー・スマルダース:スーザン・ターナー少佐
ダニカ・ヤロシュ:サマンサ
オルディス・ホッジ:エスピン大尉
ロバート・ネッパー:ハークネス将軍
パトリック・ヒューシンガー:ハンター

 

 前作とは監督がかわっていてエドワード・ズウィックという『ラストサムライ』で監督、製作、脚本をしていたひと。再びトム・クルーズとのタッグになる。

 前作と同様、制作に主演のトム・クルーズも加わっている。

 

感想(ネタばれなし)

 期待していたのとは違ったけど、全体的には前作より映画としてよくできているように思える。前作がミステリーとかハードボイルド寄りのサスペンスだったのに対して、今回はドラマ寄りのサスペンス

 

 ジャック・リーチャー役のトム・クルーズはもちろん、佇まいも格闘シーンも素晴らしい。相棒のターナーもアクションも演技も十分で、ライバルの殺し屋のパトリック・ヒューシンガーも狂気が混ざったキャラがしっかり立っていてよかった。

 

  リーチャーの娘(仮)役のダニカ・ヤロシュは初めて見たとおもうけどどっかで見た顔だなとおもったら、マコーレー・カルキンとか前田敦子に似た系統の顔なんだった。とびきり美人なわけではない少女役だけど、ワルガキでありながら繊細な精神面を抱えたキャラをしっかり演じていてよかった。

 

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 今回の格闘シーンもよかったんだけど、やっぱりトム・クルーズのアクションシーンで自分の中で一番は『コラテラル』だなーというのも思うところ。次に前作の『アウトロー』。

 それでもやっぱり、ジャック・リーチャーの荒々しい「喧嘩殺法」とでも呼べそうな戦いぶりは、その生きざまやポリシーとも重なるところがあって大好きなんだけど。

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ただの無法者かヒーローか

 ジャック・リーチャーはアウトロー(無法者)なんだけど、やっぱりヒーローでもあるとおもう。だから、古いたとえで言えば西部劇の主人公みたいに憧れるキャラでもある。

 また、目的は人助けだとしても、そこに至るまでの過程がえげつなくて、犯罪も平気で起こしまくるのが面白いキャラクターでもある。

 ウォッチメン』のロールシャッハとかみたいなダークヒーロー系統か

 今作でもミリタリーポリス(MP)に捕まったのにMPを殴り倒して逃亡したり、車で逃げたと思えばそれMPのパトカーだし、という具合で。

 正義と悪がわからなくなる。

 わからないんだけど、読者や鑑賞者としてはヒーローのジャック・リーチャーを信用できるし応援したくなる。

 不思議で魅力的なキャラクター。

 また、今作ではパトリック・ヒューシンガーがリーチャーを狙う殺し屋として登場するけど、ヒーロー対アンチヒーローみたいな対決になっていて結構好きな二人の関係になっているのもいい。

 

リー・チャイルドによる原作小説

 2016年7月に刊行された『61時間(下)』の「訳者あとがき」によると、「2016年現在、原作は21編書かれている」とのこと。

 で、『61時間』は7冊目の邦訳本で、原書としては14作目。変なことになっているように思えるけど、全体として邦訳は半分も至っていないし刊行の順番がめちゃくちゃなのでこういうことになっている現状。

 2016年11月15日頃に刊行されたこの映画の原作の邦訳である『ネバー・ゴー・バック』は2013年に書かれた18作目らしい。

 前作の映画になった『アウトロー』も邦訳が出ているけど、原題は「One Shot」で原書はたぶん2005年発表でシリーズ9作目。

 映画『アウトロー』は9作目で映画『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』は18作目だから、原書の順番で言うと間に8個のストーリーが挟まっていることになる

 日本での映画の宣伝としては今作はタイトルを変えたり(というか映画の原題に戻したり)して、前作との続編というニオイを出さないようにプロモーションしているようで不可解なんだけど。

 原書の間でこれだけ、8個のストーリーの間があるっていうイビツな事情の影響もあるのかなと思える。

 ちなみに、原作の『61時間』はネバー・ゴー・バック』のちょうど一個前のストーリーで、実はスーザン・ターナー少佐も登場する

 登場するんだけど、ミッションとして大きな役割があるけど、ほとんどリーチャーと電話で話すだけで直接会うことはない。

 その電話越しだったターナーにリーチャーが直接会いに行く、という原作読者にとってはちょっとした感慨深い作品にもなっている。

 原作もなかなか面白いんだけど、さっき書いたようにやっぱり邦訳がうまく進んでいないのが残念。それでも映画が二作続いているせいか刊行ペースが早くおもえるけど。

 品切れでプレミア化してしまっている邦訳もあったりするので、ぜひ重版するか電子書籍化したりしてほしい。

 原作を読み始めるなら、シリーズ第一作目の『キリング・フロアー』がオススメです。暴力の描写があまりにも残酷でビビったけど、シリーズで一番出来の良い作品かもしれない。大分前に読んだのでうろおぼえだけど、また読もうかな。

 これからも原作のジャック・リーチャーと、できればトム・クルーズ演じるジャック・リーチャーを楽しんでいきたい。