sibafutukuri

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怒り

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 人気俳優大好きっ子みたいなミーハーみたいに思われそうでなんだか言い出しにくいもんだけど、公開初日に見てしまった李相日監督の『怒り』。
 
 とは言いつつも、いい映画だった。見てよかった、という感想。ストーリーはよくわからない、というかわかるけどミステリーとしては納得しづらいものだけど、豪華な役者陣みんな役になりきっていて圧倒される。演出面では稀に見る完成度の高さ。
 
 妻夫木聡綾野剛渡辺謙宮崎あおい森山未來と佐久本宝(新人)。それぞれの重なり合いと衝突がヒューマンドラマの面白さを思い出させる。あと、広瀬すずの孤独と慟哭。
 
 チャラチャラしてそうなイメージの役者からバックパッカー染みた役者になった森山未來には期待していたけど、その期待かそれ以上の演技、あるいは風格だった。こういう変なやついそうだなーって思わされる。危なそうな、でも魅力もあるんだろう。映画の中で、もっと見ていたいと思った。
 
 沖縄編の佐久本宝。まだ10代で今回がたぶん映画デビューの沖縄出身の少年。素人臭さと南国人の風貌とか喋り方が、今回の役にピッタリはまっていた。彼と森山未來との交流と衝突は、見ていてすごく楽しかった。
 
 宮崎あおい広瀬すずは、どっちも「弱い女」の役どころで二人とも痛々しかった。見ていて不快でもあるけど、良くも悪くもその痛々しさが映画のなかでの生々しさにもなっていて夢中になる。
 
 宮崎あおいは増量の指示が監督からあったらしく、7キロ太ってメイクもほとんどしていないくらいで、見た目は醜くはなっていたけど、上っ面が剝がされたことで演技がより際立つようになっていたとおもう。
 
 音楽は坂本龍一だったけどクラシカルな曲もあれば電子音楽アンビエントの混ざったエレクトロニカ的曲もあって、今回は結構好みだった。音源よりなぜか映画で聴くことばかりの坂本龍一。『怒り』、『レヴェナント』、『母と暮らせば』と、狙ってないけど続けて全部劇場で見ている。
 
 李相日の監督作品は今まで意外と見ていなかったけど、『許されざる者』だけは見ていた。渡辺謙佐藤浩市が共演している渋い北海道の映画でけっこう好きだった。また見たい。

 

怒り(上) (中公文庫)

怒り(上) (中公文庫)

 
怒り(下) (中公文庫)

怒り(下) (中公文庫)

 

 

 ポスターの白背景のほうは篠山紀信さんによる撮影。いいポスターだ。

 

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