翻訳の紙版が2007年頃に出てて今年16年に「エッセンス版」が出たけど、紙版の電子版で読んだ。紙版のタイトルは「ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるとき」でこっちと結構違う。
読んで意外だったのは電子版のタイトルにある「人類が生命を超越する」というところ。コンピュータの発達によってナノマシンとかも発達すれば、人間の体内にナノマシンが共存するのが当たり前になり、それはもはや「生命」と言えるのか?という奇妙さ。生命を超越した種族に人類はなる。起こってもおかしくないとおもう。不労不死人類。
「不老不死人類」と書くつもりだったけど、シンギュラティとかAI総活躍な未来的には「不労」も間違っていなかった。ベーシックインカム時代の到来が待ち遠しい。この本では不労の話はそんななかった記憶だけど。AIの話も意外にほとんどないような。
レイ・カーツワイルが言ってて面白かったのは、「パターン主義」というもの。この言い回しは他者からの批判の意味があるけど、分かり易い表現。人間の体の細胞がどんどん入れ替わっているのなら、個体を保持するのはパターンだ、という主張。秩序とも言える。
なにが人間のパターンを保持し続けるのか、と言えばそれは量子かもしれない。量子が何なのかいまだによくわからないけど。
『脳と心の量子論』という本によれば、シュレディンガーは「生命とは量子論的な秩序」と言っているらしい。エネルギーのルールによって、怪我をしても眠って起きても、自分を自分として持続できる、というような印象。
脳と心の量子論―場の量子論が解きあかす心の姿 (ブルーバックス)
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仮に量子の秩序が人間を形作るとすれば、「魂が量子である」と文脈なしに言われたら頭おかしいんじゃと思うようなことも、飛躍を感じず納得できる考え方ではある。ただ、肉体と分離した魂の持続は通常なら有り得なさそうだけど、量子の秩序は世界中にあるわけでそれイコール魂とか、こうして論がまた飛躍していく。
シンギュラリティは近い [エッセンス版]―人類が生命を超越するとき
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