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sibafutukuri

音響系音楽、文学、アニメ、映画などについて書こうかなとおもっています。

2015年2月の読書

文学
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2015年2月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:2880ページ
ナイス数:107ナイス




■フィクション


エリアーデ幻想小説全集〈第1巻〉1936‐1955エリアーデ幻想小説全集〈第1巻〉1936‐1955感想
  分厚いのにしかも全三巻、ということで手に取るのを躊躇していたがこれは読んでよかった。読むべき本だった。透明人間になるとか過去の追体験をするとか巨人になるとか、起きていることは突飛で荒唐無稽なのだけど説得力があったり比喩として効果的だったりして幻想文学という枠外でも通用する作品群。特に鮮烈だったのは「ホーニヒベルガー博士の秘密」。書庫に籠って謎を解いていく登場人物の姿は映画『ドラゴンタトゥーの女』を思い出させる。手記から読み取れるオチはファンタジックなのだけれど、切なくしかもそれが全て嘘である可能性も残る。
読了日:2月26日 著者:ミルチャエリアーデ





脳髄工場 (角川ホラー文庫)脳髄工場 (角川ホラー文庫)感想
  ホラーやSFの短編集。『忌憶』収録の腹話術人形の人格に身体を奪われる「器憶」に近い「友達」が好き。学校でいじめられている少年の妄想が暴走し、想像で生み出した理想の自分に生活の主導権を奪われるという話。表現も想像の具現化というガジェットもコミカルだけど、自分が考えた理想に応えられない現実の自分が押し潰されるという現実にある挫折の比喩的な表現とも考えられて面白い。オチも捻りが効いている。想像の人物の現実での暴走という展開は映画『ファイトクラブ』を思い出させる。玉石混交気味だけど「玉」の部分が煌めく短編集。
読了日:2月16日 著者:小林泰三




忌憶 (角川ホラー文庫)忌憶 (角川ホラー文庫)感想
  記憶にまつわるホラー三作品。幽霊や死とはまたちがった、自分が誰かわからなくなるような、人格が別の器に移るような、三分前の出来事がわからなくなるような怖さがある。コミカルな描写だけど、二作目の「器憶」では男の身体が腹話術人形に奪われ入れ替わる話が特に不思議な驚きがあってよかった。仮に人形に身体を奪われたとしても外見はどちらも全く変わらず、他人には見分けがつかない。人間の男になった人形が男を演じれば、第三者から見れば彼は男でしかない。そうなると人格が自分の意思か他人の目に基づくのかわからなくなるという恐怖。
読了日:2月16日 著者:小林泰三





プリズム (幻冬舎文庫)プリズム (幻冬舎文庫)感想
  「『プリズム』と『モンスター』は実はお互いが『対』になっている小説なんです」と百田さんの言葉が帯に書いてあるけど、確かに恋愛と復讐劇とかの点で中心になっているものが近いように思える。多重人格の男の一人格に恋をしてしまう女の話で、なかなかに切ない。多重人格(解離性同一障害)のキャラってだけでマンガっぽくなりがちだけど、この『プリズム』はギリギリのところで真面目に読める小説になっていて上手い。ただ主人公の聡子は純愛を通り越して色情狂みたいになってるのは現実味があるようでないような……と思うところ。
読了日:2月16日 著者:百田尚樹





お目出たき人 (新潮文庫)お目出たき人 (新潮文庫)感想
  話したこともない娘に惚れるのはまだいい。が、人を介して結婚を申し込んで自分の妻になるべき人だと勝手に盲信し、すれ違うためにわざわざ娘がよく通る場所に行き、目が合えばおれに惚れているのだと喜ぶ。実にお目出度く、思考が変態的だ。途中、あれ田山花袋をまた読んでいるのだっけ?と思い違いしてしまうほどに、「蒲団」や「少女病」に通ずる表現のヤバさとこれを小説という形にした素晴らしさがある。男の娘への餓えや盲信は気持ち悪くもあり病的でさえあるのだが、みんな言わないだけで普遍的でもあるのだからいろいろな意味で凄い作品だ。
読了日:2月8日 著者:武者小路実篤





イリヤの空、UFOの夏〈その1〉 (電撃文庫)イリヤの空、UFOの夏〈その1〉 (電撃文庫)感想
  セカイ系の代表作の一つ。ボーイミーツガールであり少女が兵器なわけだけど、この一巻目では『最終兵器彼女』ほど意外性な爆発力が足りないので物足りなかった。あとあとヒロインのイリヤがどうなるかはわからないけど。夏休みやプールなど、青春っぽい雰囲気がいい。
読了日:2月16日 著者:秋山瑞人






文學界 2015年 2月号 (文学界)文學界 2015年 2月号 (文学界)感想
  筒井康隆さんと佐々木敦さんの対談が面白かった。テーマはメタフィクションなど。佐々木さんの『あなたは今、この文章を読んでいる。―パラフィクションの誕生』や筒井さんの数々の実験的な小説などを読みたくなった。短いけれど濃度の高い情報の詰まった対談。又吉直樹さんの「火花」は小説として一定のクオリティには達しているものの、如何せんおもしろくない。話題性意外の点で読む価値は低い。他に、円城塔「プロローグ」、永井均哲学探究」、伊藤たかみ「母を砕く日」、伊藤比呂美さんと山浦玄嗣さんの対談などを読んだ
読了日:2月11日 著者:


「又吉直樹さんのデビュー中編小説『火花』について」(2015.1.21)





文學界2015年3月号 (文学界 2015年 03月号)文學界2015年3月号 (文学界 2015年 03月号)感想
  矢橋透さんの「輪部の世界劇場―ジャック・ドゥミ試論」はドゥミという20世紀のフランスの映画監督についても映画も観たことないのに、読んだらメタ演劇という観点が面白かったりして映画を観たくなった。伊藤比呂美さんの「切腹考」はまさかの実際に切腹する現場を目撃した回想でエログロキワモノで劇物的刺激。穂村弘さんの「も詩も詩」は散文の中に発見された短歌形式の文章「偶然短歌」を扱っていて、短歌の可能性の鋭さに驚く。なんだか個人的に今回は、気づくと文学から少し離れたところですごく楽しんで読んでいた『文學界』であった。
読了日:2月16日 著者:





■ノンフィクション


メディスン・ホイール―シャーマンの処方箋メディスン・ホイール―シャーマンの処方箋感想
  ネイティブ・アメリカンが人生を旅と見立てて考えた世界の法則、メディスン・ホイール。東西南北に四体の動物が位置し、またスピリット・キーパーも別に四体いる。そして、一年は12等分されそこには動物、植物、鉱物などの性質が決められていてその月に生まれた者はその性質を持つと考えられている。形式としてありふれていて、星座占いにかなり近い部分もあるのだがやはりその中身が文化特有のもので自分がこれらの存在を全く知らなかったということも含め、興味深い世界の一つの解釈方法として読めた。
読了日:2月11日 著者:サン・ベア,ワブン





マザーネイチャーズ・トーク (新潮文庫)マザーネイチャーズ・トーク (新潮文庫)感想
  7人の科学者への立花隆さんのインタビュー集。90年代前半に行われたものなので情報は古くなってるかもしれない。完全に文系の私は科学系の本をほとんど読まないのだけど、サル学や動物行動学、精神分析学、昆虫の話が面白くて、あと樹木などの植物に関する話が多く特に記憶に残っている。どれも比較的素人でも分かり易いように立花さんがうまく質問したりしている。集まった科学者の専門とする分野が幅広く、どれか一つか二つにでも興味があれば楽しめそう。たまには科学方面に好奇心を向けなければいけないなと思わされた。
読了日:2月22日 著者:立花隆,日高敏隆,多田富雄,河合雅雄,松井孝典





賢治の旅 賢治への旅賢治の旅 賢治への旅感想
  賢治にゆかりのある地を訪ねた記録など。岩手県の花巻などが中心かと思っていたが、意外に東京、京都、秩父など賢治が旅行や地質調査で訪ねた土地なども取り上げている。ちょっと関連性の薄さが感じる部分もあるが。しかし、特に賢治の詩だけを読んでもいまいち意味がわからないことが多いの一つの理由に、書かれた文脈がわからないから、ということがあるだろうから、こうして訪ねた土地や会った人々がわかると、自ずと作品の解説になる。花巻とか遠野とか秩父とか、読んでいると行きたくなる。
読了日:2月12日 著者:三上満






読書メーター


忌憶 (角川ホラー文庫)

忌憶 (角川ホラー文庫)

脳髄工場 (角川ホラー文庫)

脳髄工場 (角川ホラー文庫)

プリズム (幻冬舎文庫)

プリズム (幻冬舎文庫)

モンスター (幻冬舎文庫)

モンスター (幻冬舎文庫)

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