sibafutukuri

音響系音楽、文学、アニメ、映画あるいはゲームの感想、攻略などについて書こうかなとおもっています。

トランス

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trance

[名]

1 夢うつつ;ぼう然自失;忘我(の境),恍惚(こうこつ)

2 人事不省,失神,催眠状態

3 [U][C]トランス(状態),入神(状態):霊媒が神・死者の霊からの交信を媒介する際に陥る一時的な自失状態.

(「英語辞書 - goo辞書」http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/ej3/87768/m0u/)


  2013年に公開されたイギリスのサイコスリラー映画『トランス』を観た。これほどの脳を掻き回されるような興奮を感じる映画を観たのはひさびさで嬉しい。監督は『トレインスポッティング』で有名なダニー・ボイル


映画『トランス』予告編


  タイトルの「トランス」は「トランスファー」とかの接頭辞のtransの方かと思っていたが、始めに引用したtranceの方だった。たしかに「夢うつつ」とか「茫然自失」という言葉が合う世界だ。でも、作中の字幕でたぶん心理学用語の「転移 transfer」が出てきていたので、どちらかでしかないわけではないだろうが。transには「越えて」や「別の状態(場所)へ」という意味があって意味深いのだし。そういう点でカタカナ表記の邦題『トランス』は深読みできてなかなかいい。


  主演のジェームズ・マカヴォイトビー・マグワイアユアン・マクレガーを混ぜてマッチョにした感じでカッコいいが、強盗集団のリーダー役のヴァンサン・カッセルもいかにも悪役らしくて好きだ。たしか『オーシャンズ12』と『オーシャンズ13』ではダニー・オーシャンたちのライバル的立ち位置の泥棒でカッコよさとバカっぽさが混ざった役で愛嬌があったが、この『トランスファー』でも純粋に悪人と言うには程遠く、主人公と二人の場面はなかなかいいコンビに見えたり。ヒロインのロザリオ・ドーソンは熟した美しさがよい。




  観ていてまっさきに思い出したのが、こちらも2013年公開でそしてイギリス製でもあるクライムアクション映画『ビトレイヤー』だ。それはどちらも主演がジェームズ・マカヴォイだから、という点が大きい。が、それ以外にも『トランス』の非現実的なキラキラした映像や黄緑色あるいはエメラルドグリーンの光があたっているような映像は、『ビトレイヤー』に近いものがある。主要なスタッフを見比べても共通する人物は見つからなかったが、不思議な相似点がある。


映画『ビトレイヤー』予告編


  そして次に思い出すのがクリストファー・ノーラン監督のインセプション。『トランス』の場合は催眠で『インセプション』の場合は夢という点で微妙に異なるが、どちらも現実を離れて夢想する空間でキャラクターたちが動き回るという点で一緒。そして、動き回るだけでなく現実(と観客が思っている世界)と夢(催眠世界)が何度もしつこくしつこく映像と映像がミックスされるので、観客は主人公のマカヴォイやディカプリオと一緒に世界の足場を失う。この浮遊感が快感だ。


  だからこそ『インセプション』のストーリーは何が起きているのかわからず難解でもあった。それは『トランス』も変わらない。夢(あるいは妄想)と現実の境界があやふやということで言えばデヴィッド・フィンチャー監督の『ファイト・クラブ』がそうだったように、最後にネタばらしをされても「いや、凄いけど、これって辻褄あってんのか?」と思うところはどの映画でもあるように思う。『トランス』も例外ではないが、終盤はこれでもかっていうくらいにコインの表と裏をひっくり返しひっくり返す怒涛の展開で、とりあえずこの驚きは賞賛に値する、と思うのだった。


  あと最後には『ステイ』という映画を思い出した。主演は『トレインスポッティング』と同じくユアン・マクレガー。これもまた夢の中の夢の中の妄想の中を迷走する、みたいなお話。若かりし頃のライアン・ゴズリングが素敵。地味な作品ではあるけれど、個人的には大好き。


Stay - Trailer




  作中でゴヤの名画『魔女たちの飛翔』を探し求めるわけだけれど、途中から主人公の記憶を探すことの重要さが徐々に増していき、終盤は記憶と現実への回帰が目的として肥大化していく。だから、『魔女たちの飛翔』はヒッチコックが提唱した「マクガフィン」というものなのだと思ってくる。泥棒が盗むものはダイアモンドでも手紙でもいい。代替可能なのだから、その貴重なものは実は陳腐なのだ、という概念の「マクガフィン」。とはいえ、魔女と催眠術師という象徴的な繋がりがあるわけだけれど。


  『トランス』は音楽もなかなかよかった。映像のと音楽による浮遊感がうまく機能していた。というか、音楽を担当したリック・スミスはUnderworldの人だった、と気づく。自分みたいな音響系好きな人間が好むわけだ、と納得。


Trance Soundtrack 04.Here It Comes




トランス オリジナル・サウンドトラック

トランス オリジナル・サウンドトラック

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