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ゲームの攻略情報・感想、音響系音楽、文学、アニメ、映画などについて書こうかなとおもっています。

2014年8月の読書

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2014年8月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3813ページ
ナイス数:84ナイス





■フィクション


ギフテッドギフテッド感想
  一気読み系の面白さ。謎の臓器を持った少数の子供たちが見つかり「ギフテッド」と名付けられ、しかも超能力を使えるんじゃないかと噂されるようになる。気味悪がられて差別されるようになる。良い具合にエンターテイメント。人類を「ニュータイプ」と「オールドタイプ」に二分してそこに差別問題が生じる展開は『X-メン』のミュータント問題と同じで、超能力を持った少年たちという設定は『AKIRA』(そのオマージュ映画である『クロニクル』も思い出す)みたいだ。そういうコミカルな設定でありながら『ギフテッド』はシリアスで説得力もあって巧く書かれている。いいものを読んでいい気分です。
読了日:8月31日 著者:山田宗樹


映画「クロニクル」予告編





悪の法則悪の法則感想
  リドリー・スコット監督によって映画化された脚本。映画は万人受けはしないが個人的にはハマった。悪の法則に巻き込まれていく理不尽さと無情さが見事。この脚本は映画と異なる部分もあるが大筋は同じ。セリフが哲学とか心理学めいていて好みだったので、こうして文章で読めるのはよかった。弁護士と有力者の会話が独特で凄い。「みんなは待ってる。何を待ってるんだろうな。ある時点でこの新しい世界がついに世界そのものになったってことを認めざるを得なくなるだろうに。ほかに世界はない。この新しい世界はただの中断じゃない」。
読了日:8月18日 著者:コーマックマッカーシー


映画『悪の法則』予告編





妖精たちの夜〈1〉妖精たちの夜〈1〉感想
  理解や常識の外にある小説だった。自動車が魔術みたいになくなり、恋愛の話かと思っていたら戦争や政治の話になり、空襲に巻き込まれ女スパイが出てきて自分もスパイ容疑で尋問にかけられて、一巻目の最後は痴話喧嘩で終わる。一体なんだったんだこの本は、と理解が追いつかない。おそらく現実的に戦争が日常と溶け込んでいた時代、土地。1941年頃のロンドン大空襲(通称、ザ・ブリッツ)の場面はその破壊と恐怖と現実逃避にとてもリアリティがあって読みごたえがあった。戦争の物語ではないが日常を書くことが戦争を書くことなのだろう。
読了日:8月9日 著者:ミルチャエリアーデ





封神演義〈上〉妖姫乱国の巻封神演義〈上〉妖姫乱国の巻感想
  児童書版。読みやすくておもしろい。読むきっかけは三田誠さんの『クロス・レガリア』の元ネタにちょくちょく『封神演義』が出てくるようなので。藤崎竜さんのマンガはまだ読んでいないけど、それを原作としたアニメを見ながらなので二つの相違を見比べる面白さもある。中国古典文学としてはなかなか評価してもらえない作品らしく、確かに荒唐無稽な部分はあるが民話も混ざったりしているようでそんなに悪いものではないとおもう。
読了日:8月31日 著者:許仲琳





レンタルマギカ  魔法使いの妹 (角川スニーカー文庫)レンタルマギカ 魔法使いの妹 (角川スニーカー文庫)感想
  <アストラル>現社長の妹がついに登場する話もあって、シリアスな本筋からは離れた短編集ではある。と思っていたら、最後の一話が意外な人物を主人公にした話で不意を突かれる。その人物とは吸血鬼のツェツィーリエ(名前覚えられない)。<オピオン>の一員であり、数巻前で<アストラル>に入社したオルトヴィーンの元師匠でもある。殺し屋が要人を暗殺しにアジトへと潜る、といようなサスペンス映画風のストーリーでツェツィーリエがダークヒーローにさえ見えるシリーズ異色の短編。たまにはこういうのもいい。
読了日:8月31日 著者:三田誠





レンタルマギカ  ありし日の魔法使い (角川スニーカー文庫)レンタルマギカ ありし日の魔法使い (角川スニーカー文庫)感想
  <アストラル>先代社長・伊庭司の頃の過去編。<オピオン(螺旋なる蛇)>が本格的にストーリーに絡んでくる巻と言えるのかな。<オピオン>の構成員はネクロマンサー、幽精(ジン)術の使い手、密教僧など<アストラル>と同じく多彩な魔法使いがいて、敵であり凶悪でもあるが魅力的なキャラクターが多い。こうして分かり易いストーリーを読みながら、いろんな魔術関係の説明を読めるのはなかなか稀有な本で個人的に嬉しい。
読了日:8月31日 著者:三田誠





レンタルマギカ―魔法使いの記憶 (角川スニーカー文庫)レンタルマギカ―魔法使いの記憶 (角川スニーカー文庫)感想
  短編集。この巻くらいから<アストラル>の面々過去が明らかになっていく。猫屋敷も柏原も多重人格かってくらいに時間と状況で人格が変わる。時間という縦軸に広がりが出てきたことで物語に更なる深みが生まれるようだ。
読了日:8月31日 著者:三田誠





レンタルマギカ―魔導書大全 (角川スニーカー文庫)レンタルマギカ―魔導書大全 (角川スニーカー文庫)感想
  11巻『妖都の魔法使い』と12巻『魔法使いの記憶』の間に刊行された本編とはあまり関係のないファンブックのようなもの。イラスト多数、短編と絵本調のお話、ラフ集。イラストは綺麗で『レンタルマギカ』の世界観が詰まっていていい。今はなき『ザ・スニーカー』に載って文庫に収まってないものもあるんじゃないかな。猫屋敷と四匹の猫たちの出合いから始まる絵本みたいなお話がなかなかよかった。
読了日:8月31日 著者:三田誠





精霊の守り人 (新潮文庫)精霊の守り人 (新潮文庫)感想
  神山健治監督のアニメは良い出来でストーリーは知っていたが、原作も面白かった。というかアニメが全26話なのにこの一冊で完結していることに驚く。異界も含めて創造された世界観が味なのだろうが、シリーズものと言ってもオリジナルの世界というのはどこか読むにあたって虚無感が残る。上橋さんの場合は経歴による説得力もあり、民族・民俗学的な深みが多少はあるが。朝鮮文化をアレンジしたような作品内の文化は少し嫌悪感もあるがやはり新鮮。機会があればつづきも。
読了日:8月31日 著者:上橋菜穂子





GOTH 夜の章 (角川文庫)GOTH 夜の章 (角川文庫)感想
  初乙一。単行本を二分冊した文庫の一冊目。エグくてグロい。ライトノベルともミステリーともホラーとも言い切れない、良くも悪くも中二病小説。これを純粋に楽しめるのは、リアル中二病世代くらいじゃないのか。悪趣味な少年と少女はダークヒーローとヒロインとも呼べそうで、そうやって一歩引いて構造的に見れば面白くもあるが。これを読んだきっかけは『ミステリーの書き方』で触れられていて面白そうに思ったから。
読了日:8月22日 著者:乙一




GOTH 僕の章 (角川文庫)GOTH 僕の章 (角川文庫)感想
  単行本二分冊の二冊目。人間の振りをした妖怪少年と霊感が強いために妖怪が近寄ってくる女の子の妖怪大激突(作者談。半分冗談)。猟奇的な事件だらけ。読んでいないけど、乙一さんが『JOJO』の小説を書いているのが納得できる。犯罪者たちの猟奇的な行動や心理、残酷さの描写など。ミステリー自体がそうだけど、度を越すがゆえに殺人や殺戮行為のリアリティを欠いていて時に滑稽にさえ思える。「声」では主人公の「僕」が殺したと思っていガッカリしていたがちがったのかな。しっかり読み込む気が起こらない話だったが。
読了日:8月22日 著者:乙一





■ノンフィクション


2045年問題 コンピュータが人類を超える日 (廣済堂新書)  2045年問題 コンピュータが人類を超える日 (廣済堂新書)感想
 2045年にテクノロジカルシンギュラリティ(技術的特異点)を超えることによってコンピュータの能力が人類を超えるという説をテーマに、人間とコンピュータの在り方について。雑誌『WIRED』と映画『トランセンデス』の影響で読むことに。普段触れない分野だから知らないことだらけだったが、そういう人向けに解説も多く映画を例えにしたりして書かれているので面白く読める。しかし、2045年問題が本当に起こるとしたら深刻な問題だが、無知でそしてのんびりしていいいのかと不安に思う。常識というのは可塑性なものとは言え。
読了日:8月31日 著者:松田卓也





チベットのシャーマン探険チベットのシャーマン探険感想
  写真家によるチベット仏教圏のシャーマンへの取材と旅行記。エリアーデの『シャーマニズム』で様々なシャーマンや巫術を知ってはいたが、現代でも神憑りやエクスタシー(忘我)などの儀式が行われ、なおかつ病気治療、相談事などの依頼者である一般人もそれを信じていることに驚く。記録として貴重なものだろう。写真が豊富なのもいい。明確な年代が一切記されていないのが疑問だが、おそらく1970年代から90年代くらいの記録。この本の写真で見る限り、チベットは風景が綺麗で壮大なもので一度は行ってみたくなる。
読了日:8月22日 著者:永橋和雄





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ギフテッド

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悪の法則

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