sibafutukuri

音響系音楽、文学、アニメ、映画あるいはゲームの感想、攻略などについて書こうかなとおもっています。

2013年10月の読書

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2013年10月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:3369ページ
ナイス数:112ナイス


  こうして並べてみると、最近はフィクションよりノンフィクションをよく読んでいる気がする。意識している部分もあるのだが。小説類ももっと読みたい気持ちはあるが、目が追いつかない。





■フィクション


陽炎の。 (文春文庫)陽炎の。 (文春文庫)感想
  単行本の表紙はRineke Dijkstraというオランダ出身の写真家の作品が採用されている。浜辺に浅黒で異様に艶々とした質感の肌の少年が立っている。ぼくが藤沢周という作家を知る遥か前にその表紙を見たはずだが、ずっと記憶に残っていた。そんな本の表紙は他にない。しかし、文庫で変わってしまって非常に残念だ。内容は、表題作が失業者の話。個人的なイメージとして失業文学と言えば安部公房なのだが、あそこまでの幻想性はないとしても、藤沢周らしく妄想性と厭世的ではある。そして救いがなく、現実的。
読了日:10月27日 著者:藤沢周





家畜人ヤプー〈第2巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)家畜人ヤプー〈第2巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)感想
  ハードSFでありハードSM!全五巻中のまだ二巻目だけど、この本はすごい。悪趣味で変態的な内容でありなが、大真面目に変態的かつSF的設定を長々と語っていて、しかもその説明に説得力がある。著者の教養の深さも感じさせられる。まぁ、だいたいそういう細かいところは読み飛ばしてしまうんだけど。しかし大して金にも名声にもならなそうな趣味的文章を、ここまで長く細かく書く著者の姿勢は甚だしく変態的。実際、変態でないとこんな真面目に教養のあるものは書けないんじゃないか。読むのが大変だけど続きも楽しみ。
読了日:10月27日 著者:沼正三





草枕 (新潮文庫)草枕 (新潮文庫)感想
  『半藤一利宮崎駿の 腰ぬけ愛国談義』は意外にもいきなり夏目漱石の話から始まる。そこでお二人に賞賛されているのがこの『草枕』。一度読んだはずで再読してみるが、有名な序文以外はストーリーさえ覚えていない。読んだつもりになっていただけかもしれない。画家が山奥の宿に泊まって奇妙な女と出合う。会話場面はかなり読みやすいのだが、画家の独白部分が絵画や詩などのうんちくだらけで物凄く読みにくい。読みこなせはしなかったが、桃源郷へ逃げ込んだ物語の時代背景に日露戦争があるというのはおもしろい。
読了日:10月27日 著者:夏目漱石





レンタルマギカ 魔法使い、集う! (角川スニーカー文庫)レンタルマギカ 魔法使い、集う! (角川スニーカー文庫)感想
  シリーズの十冊ほど積んであるうちの一冊だった。『レンタルマギカ』は久々に読んだが、やっぱりこの世界が好きだな。<アストラル>の社内のなごやかな雰囲気、猫屋敷やみかんののほほんとした日常っぽさと起こる事件のシリアスさ。そのバランスが妙。あとがきにあるように、時系列的には一巻と三巻の間の出来事という短編集。幽霊の黒羽まなみや呪物調達会社<トリトメギス>社長のディアナが初登場。
読了日:10月27日 著者:三田誠





クロス×レガリア  双貌の王 (角川スニーカー文庫)クロス×レガリア 双貌の王 (角川スニーカー文庫)感想
  前巻くらいまで、正直な感想としては凡庸なボーイミーツガールかつアクションのあるライトノベルになってきているな、というところだった。しかし、この六巻目は読み進めるうちにぐいぐいと世界観に引き込まれていき、なかなか楽しめていた。人間関係について言えば、鬼仙や白凰六家などの歴史という縦軸があり、馳郎とジンや鬼仙たちという横軸もあり、更にキャラクターも増えてきて物語に広がりが出てくる。敵味方がころころ入れ替わる。勧善懲悪を徐々に否定していく展開がおもしろいのだろうか。
読了日:10月27日 著者:三田誠





夏の庭―The Friends (新潮文庫)夏の庭―The Friends (新潮文庫)感想
  なかなかよかった『ポプラの秋』を読んでから。死にそうなひとり暮らしのお爺さんを三人の小学生が観察するというあらすじ。読み始めてから思い出したが、大学の児童文学の授業で紹介されていて興味があった本だった。オチは読めるのだけど、それでも読み応えがある。本筋と関係のない主人公の成長にかかわる挿話など、話のリアリティを増すための細部の描写がうまい。あなどれない児童文学。こどもたちの通過儀礼のようなお話。
読了日:10月27日 著者:湯本香樹実





アポリネール詩集 (新潮文庫)アポリネール詩集 (新潮文庫)感想
  何カ月もかけて読んでいた。藤沢周さんの小説の主人公がアポリネールの詩集を読んでいて、それをきっかけに手にしてみたが。内容をあまり覚えていなくて、意外に恋文みたいな詩が多くて女々しいなぁというのが第一印象。第二以降の印象は薄すぎて言葉にするまでもない。
読了日:10月27日 著者:アポリネール





去年の冬、きみと別れ去年の冬、きみと別れ感想
  芥川賞作家の書いたミステリー。おもしろくなかったが『銃』だけ読んだことがあった。科学技術が発達した現代ではうまく行きそうにない計画された犯罪だが、読者としてはうまく騙されてしまって、すごくがんばって仕掛けを仕込んであるな、という感想。まぁしかしミステリーとしは物足りず、芥川賞作家としての作家性も物足りず、純文学とミステリーの途中で足踏みしているような本だ。新鮮味とか狂気とか凄みとか、いま一歩届かず。
読了日:10月5日 著者:中村文則





ぶらりぶらこの恋ぶらりぶらこの恋感想
  いつも軽口を叩いておどけて、本音や核心を必死に隠そうとするタイプの人がいる。自分もそれにあてはまるところがあるが、主人公のぶらこがそうだ。そしてぶらこの父も。そういった道化の心の中を覗くのは勇気がいる。おそろしい。道化を目の前にして、この人は事情に踏み入ってほしくないのだろうな、とこちらも遠慮してしまう。ぶらこはクズみたいな女だが、この本が懺悔録のようになっていて共感し憐れまずにはいられない。すぐれた小説とは思えないが、後半は特に心を揺さぶられた。そういうものをすぐれた小説と言うのかもしれないが。
読了日:10月3日 著者:吉川トリコ





■ノンフィクション


アップデートする仏教 (幻冬舎新書)アップデートする仏教 (幻冬舎新書)感想
  これはぼくにとって革新的な本だった。二人の僧侶の対談本で、根底にあるテーマは形骸化した現代日本の仏教1.0でも現代アメリカで受容され実践的に使われている仏教2.0でもない新たな仏教3.0を目指そうというもの。その中でぼくが感銘を受けたのが座禅による瞑想についての二人の語りだった。体の中で体を見ること、涅槃に入ること、自分の呼吸に気づくことなど、それらについて大真面目に語っている。部外者から見ればそれらに何の得もない。得はないが彼らは自分の中に目を向けている。外ではなく欲を内に向ける。それが素晴らしい。
読了日:10月27日 著者:藤田一照,山下良道





森林彷徨 (熱帯林の世界)森林彷徨 (熱帯林の世界)感想
  シリーズ「熱帯林の世界」の一巻目。著者の伊谷純一郎さんはサルなどの霊長類研究で著名な方らしい。始めの方に意外にもゴリラの観察記録があって驚いた。他にもボノボ(ピグミーチンパンジー)や見たこともない鳥など、数々の動物が登場する。森というよりは山の印象が強く、植物よりも動物を観察している。舞台はアフリカだが、かなり標高の高い山の登山もしていて意外にも寒さの厳しい土地でもある。森に住む人々は原始的に暮し、動物の中でもピグミーは知能が高い。サルと人間の差なんて紙一重なんだろう。他の巻も読む予定。
読了日:10月30日 著者:伊谷純一郎





解読「地獄の黙示録」 (文春文庫)解読「地獄の黙示録」 (文春文庫)感想
  映画を観ただけでは伝わってこないがこういう解説を読むと、原作がコンラッドの『闇の奥』でありカーツ大佐が朗読している詩はT.S.エリオットの「虚ろな人々」であったりと実に文学的要素が強いことがよく伝わってくる。他に『金枝篇』から発想を得ていたり。でもやっぱりこの映画の思想性というのは映画だけでは混乱をもたらすだけで、批評がなければわからない。それでもこの映画の狂気的な演出は素晴らしく、その映像の意味がわかった瞬間というのは貴重だ。映画そのものだけでなく製作過程も追っている。なかなかいい本だとおもう。
読了日:10月7日 著者:立花隆





ニッポン西遊記 古事記編ニッポン西遊記 古事記編感想
  女優の鶴田真由さんとその仲間たちが、『古事記』にまつわる「聖地巡礼」をした旅の記録。アニメの「聖地」のようなファン的な意味でも本当の意味でも聖地巡礼。舞台となったのがそうなのだろうけど、関西から西の西日本ばかりで九州が多いか。神社への道中や山を登っているとき、着いた時の様子が書かれていて風景や鶴田さんの写真も多め。特に、「天岩戸開き」の舞台、高千穂にある天安河原の写真は一見の価値あり。まさに「黄泉の入り口のような雰囲気」が漂う河原の景色。『古事記』の内容をさらりと復習できたので読んでよかった。
読了日:10月4日 著者:鶴田真由





一瞬で100のアイデアがわき、一瞬で1000人の心がつかめる本一瞬で100のアイデアがわき、一瞬で1000人の心がつかめる本感想
  広い範囲での哲学もしくは思想をツールとして、アイデア術とプレゼン術を身につけようという試みの本。引用される人物はアリストテレスからロラン・バルトにまで及ぶので、哲学的な思考法や発想法も幅広くて、内容が濃くはないがその網羅的なところがすごいとおもう。一方で少ない紙面で多くのテーマを語ってしまっているので、頭には入りにくくパーッと読んだだけではまったく身につきそうにもないのだが。哲学の思考法などを実践的に応用する、という方法に馴染みがなかったので新鮮で面白かった。しかし、身についてはいないだろう……。
読了日:10月3日 著者:小川仁志





密教の思想 (歴史文化ライブラリー)密教の思想 (歴史文化ライブラリー)感想
  密教(=タントリズム)の歴史などを概説した本。密教とは、という内容だが言葉がむつかしく入門向けではなかった。基本的に教科書みたいな書き方だが、後半の空海密教の関係の部分は著者独自の考えが控えめに主張されている。大学の頃から興味の片隅に仏教などがあって最近はいろいろ本を読んでいた。そういう流れで、宗教、特に身近なのは仏教やそこから派生した密教は奥深い世界だな、と足を踏み入れることが嬉しくもあり引き返したくなるような気持にもなる。宗教などで語り継がれてきた世界観に度々感心する。
読了日:10月2日 著者:立川武蔵




読書メーター




陽炎の。 (文春文庫)

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アップデートする仏教 (幻冬舎新書)

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去年の冬、きみと別れ

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