sibafutukuri

音響系音楽、文学、アニメ、映画あるいはゲームの感想、攻略などについて書こうかなとおもっています。

2013年6月の読書

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  今回、「フィクション」と「ノンフィクション」という区切りを付けてみた。以前からそういう並べ方をしたいたけれど、明記はしていなかった。忘れていなければ次回からこれでやっていこうとおもう。


  『ジョジョの奇妙な冒険』の作者の荒木飛呂彦さんによる映画論を二冊読んでしまったせいで、6月から今に至るまで映画ばかり観ている。一週間で5本くらいは観ているかもしれない。本も読みたいけれど、たまにはこういう期間もいいだろう。荒木飛呂彦映画論二冊、おすすめ。




2013年6月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:4200ページ
ナイス数:99ナイス



■フィクション



共喰い共喰い感想
  「共喰い」と「第三紀層の魚」収録。「共喰い」は文体や描写は細かくて凝っていてとてもいい。でも話は父親と息子が穴兄弟だとかそういう性的でふしだらな感じで気持ちいいものではない。そういう貞操の緩さは、偏見かもしれないが、田舎らしさの一部かもしれないが。この本の二篇はどちらも家族とか家系の話だけど、「第三紀層の魚」の家族は温かみがあり、なぜだか江國香織山田詠美よしもとばなななどの女性が書く家族を思い出した。
読了日:6月5日 著者:田中 慎弥





サイゴン・ピックアップ (河出文庫―文芸コレクション)サイゴン・ピックアップ (河出文庫―文芸コレクション)感想
  「サイゴン・ピックアップ」、「白ナイル」、「ベナレス・クロス」の三篇収録ですべて繋がっている話。意味と内容との関連性がよくわからないけど惹かれるタイトル。俗世間から逃げて寺に入った新人坊さんが主人公。坊さんでありながら内面はいつもの藤沢作品の人物らしく俗っぽくて尖っている。でも、周りは仏教的で本気で悟りを開くことを目的としたような環境、そして文体。妄想混じりで進むのでストーリーの理解がちょっと難しい。でも、仏教世界と90年代の現代日本文化の混ざり合った世界観は独特でクセになる。悟り=諦め……?
読了日:6月5日 著者:藤沢 周





人間そっくり (新潮文庫)人間そっくり (新潮文庫)感想
  自称火星人に自宅に乗りこまれた放送作家の話。映画で言えば宇宙人もののSFであり、なおかつ密室劇でCGも特殊メイクもいらない、という発想は面白い。企画段階ではとても興味深いのだけど、実際読んでみると実に退屈。ほぼ団地?の一室で自称火星人と自称地球人が会話しているだけ、というのは長編としては無理があったか。場面が少ないことから戯曲向けに書いたのかも。退屈とはいえ、狂人の書き方がうまい。実際、頭がよくて(頭の回転が速くて)頭がおかしい人というのは、屁理屈だけはうまくて突っ込みを逸らすのもうまい。
読了日:6月10日 著者:安部 公房





あたしはビー玉あたしはビー玉感想
  ビー玉が恋人(比喩でなくそのままの意味)とは……、なかなかブッ飛んでる。基本的には高校生の恋愛や青春の話なんだけど、主人公の男の子の宝物だったビー玉が言葉をしゃべりだして、いつの間にか人間に変身できるようにもなって、っていうファンタジーなのかシュールなギャグなのかよくわからないヤケクソで書いたのか?とも思わせる小説。面白さはあるんだけど、書いた本人の心境が謎で気になる。なぜかたまにジブリアニメを思い出して読んでいた。ビー玉との会話は『魔女の宅急便』で、結末は『崖の上のポニョ』みたいだった。
読了日:6月21日 著者:山崎 ナオコーラ





リトル・バイ・リトル (講談社文庫)リトル・バイ・リトル (講談社文庫)感想
  はやくセックスしちゃえばいいのに、と思いながら読んでいた。10代後半?の女子視点で語られる淡い恋愛と複雑な家庭の話とか。日常的すぎるけど、なんとか読ませる文章と展開が用意されている。暗い話だし現実的に考えれば輝かしい未来は想像できない人物たちだけど、読者に明るく前向きに思わせるように書かれていて良い。純愛っぽくてリアル充実者なかんじが羨ましく妬ましく。10代の少女が好みそうな作風。
読了日:6月13日 著者:島本 理生





アフターダークアフターダーク感想
  なんか仄めかすだけして終わってるかんじ?昔人に勧められたので持っていて、20ページくらい読んでまともに読む気がしなかったのでてきとーに読んでしまったけど。変に気取った会話がいちいち気色悪く、どこの場所で誰のなんて曲がかかっているとかどうでもよくないか?、と思いながら読んでいた。理解しがたい。
読了日:6月10日 著者:村上 春樹




神去なあなあ日常 (徳間文庫)神去なあなあ日常 (徳間文庫)感想
  田舎で林業に挑む都会っ子の青年が成長していく話。読みやすく分かり易く、ほどほどに面白かった。林業や樹木などについての細かい知識が詰め込まれていて、しっかり取材されていることがわかり、その仕事の細かさに終始感心しながら読んでいた。林業、大変そうだけど憧れる。ぼくも都会育ちなので、山や森の中の生活に馴染んでいく平野勇気がうらやましくもある。自然の美しさに感激する場面がいくつかあるが、そこは作りものっぽさが出てしまう。これは作者の問題ではなくジャンルの問題だろう。小説としての軽さが売りでもあるのだろうから。
読了日:6月9日 著者:三浦しをん





泳ぐのに、安全でも適切でもありません (集英社文庫)泳ぐのに、安全でも適切でもありません (集英社文庫)感想
  大学受験の模試で出題されて読んだ、江國香織の『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』収録の同名の短編を改めて読んだ。受験勉強でいくつもの小説を断片的に読んだはずだけど、これが一番記憶に残っていて他はほとんど覚えてない。やっぱり、二度読む価値のある小説だった。危篤で入院した祖母の見舞いに来た娘二人とその母。喋ることも難しい祖母を囲みながら病室で思い出話などをして談笑する。常識的な行動とは言えないけど不謹慎とか冷たい、というようには感じない。むしろ、家族の繋がりの強さを感じさせる。あっさりした雰囲気が良い。
読了日:6月9日 著者:江國 香織





彼女は存在しない (幻冬舎文庫)彼女は存在しない (幻冬舎文庫)感想
  登場人物たちと音楽の趣味が重なりすぎていた。おそらく作者が好きなのだろう。Aphex Twin、Brian Eno、Orbital、レーベルのWarpR&Sなど。大ざっぱに言えばテクノ系。ぼくが中学、高校生くらいの頃によく聴いていた。懐かしさと、内輪話を公の場で披露するような気恥ずかしさと気持ち悪さがあった。音楽を小説に登場させる作家と言えば村上春樹がまず思い浮かぶが、アーティストの名前を並べるだけみたいな書き方は疑問に思う。知らなければ記号に過ぎない。曲の雰囲気などを伝えるだけでいいのではないか。
読了日:6月25日 著者:浦賀 和宏


Aphex Twin - 4





動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)感想
  おとぎばなしや寓話風に語られる、人間の農場を豚が指揮を取って動物たちが乗っ取る話。その農場の名前が「動物農場」。政治体制の批判のための物語、という点で好きではない。人間は豚であり、豚は人間であるというようなことを警鐘として語っている。これの4年後に書いた『一九八四年』と重なる部分が多すぎて、こんなにも同じ小説を続けて書いていいものなのかと作家としての意識を疑う。当時の読者は『動物農場』の4年後に『一九八四年』を読んで呆れなかったのか疑問だ。
読了日:6月9日 著者:ジョージ オーウェル






床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫)床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫)感想
  二度目の『借りぐらしのアリエッティ』を観て、この本が家にありながら読んでいないことを思い出してやっと読んだ。これは子供の頃に読んでおきたかった。大人になったいま読んでも、新鮮味も楽しさもほとんど感じられない。ジブリがアニメを作ったのでそれと比較するのは面白いけど。アニメは原作の設定と大筋だけを使っていて、ストーリーの細かいところはいろいろ違っているような感じで驚いた。『アリエッティ』は観るに値するアニメであるし、うまく原作をアレンジしたアニメだった。原作の続きが気になるけど……読まなさそう。
読了日:6月13日 著者:メアリー ノートン





アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)感想
  名作なのだろう。展開が一直線で大きな驚きや感動はなかったけれど、しんみりと切なくなってくるものではあった。しかし、頭が良くなる実験を受けた精神遅滞の被験者による手記で物語るというのは、なぜか小説らしい文章という不自然さから言って無理があるように思えるが。最後の一文で題名にある深い意味がわかって、ここは素晴らしいとおもった。全体的には別に読まなくても損はない。
読了日:6月20日 著者:ダニエル キイス





■ノンフィクション


友がみな我よりえらく見える日は (幻冬舎アウトロー文庫)友がみな我よりえらく見える日は (幻冬舎アウトロー文庫)感想
  仕事の来なくなったネガ編集者、小説を書かなくて貧乏な芥川賞作家、雑誌を拾って生活するホームレス、登校拒否で漫画を描くのが救いな高校生、見た目に自身のない40代独身女性。そういった不運な弱者たちを取材したノンフィクション短編集。色物が多く出ている印象のある幻冬舎アウトロー文庫だが、これは節々に文学性を感じさせる。読んでよかった。いろいろな人生があって、辛いけれどそれぞれにちょっとした救いがあったり絶望的だったり。村上龍さんの解説も、「普通」とは何かを考えさせられて良い。他の二冊もぜひ読みたい。
読了日:6月24日 著者:上原 隆





荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)感想
  おもしろい!読んでていろいろ映画を観たくなり、荒木さんの創作へのこだわりが表れていたり『ジョジョ』の名言がたまに文中に使われていたり。この本は三人の荒木飛呂彦によって書かれているように思える。ホラー映画好きとして、マンガ家として、批評家としての三人の荒木飛呂彦。読んでいて一番意外だったのは、映画をメタ的あるいは別角度から捉えたような批評的な部分もあったこと。例えば『セブン』のスタッフロールが上から下に流れるのは、書かれた名前が全部下につまり地獄に堕ちて、誰もが「七つの大罪」を犯している暗示だ、など。
読了日:6月3日 著者:荒木 飛呂彦





荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟 (集英社新書)荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟 (集英社新書)感想
  前著『奇妙なホラー映画論』と比べると面白みに欠け、紹介されているサスペンス映画などをいくつか観たがあまり良いとは思えなかった。それは、僕自身がサスペンス映画を観慣れていることと、逆にホラー映画はほとんど知らなかったからかもしれない。しかし、実はこの新書はただのサスペンス映画論だけではなく、物語創作の方法論の本でもある。荒木さんは昔から、映画を観てそれを分析して漫画制作に活かしているとのこと。前著は創作論の要素はほぼなかったと思うが、本書は創作をする者へ向けられた本でもあり、その点で意義があるだろう。
読了日:6月17日 著者:荒木 飛呂彦





旅の窓旅の窓感想
  見開きの左ページに旅の写真、右にその写真の解説。素敵な装丁で半分写真集のようなところもあり、こういう本は紙書籍でこそ意味のあるものだろう。1ページでは旅の物語として短すぎること、写真が小さくオリジナリティがあまりないこと、という二点が個人的には不満だった。でも、すぐ読める本でもあるので、なにかのプレゼントにあげるには丁度良い本かもしれない。プレゼントに本というのは物によっては相手への負担が大きすぎるが、こういう手軽さと装丁などの素敵さを兼ね備えた本は適しているのではないか。
読了日:6月9日 著者:沢木 耕太郎






読書メーター




共喰い (集英社文庫)

共喰い (集英社文庫)

あたしはビー玉

あたしはビー玉

友がみな我よりえらく見える日は (幻冬舎アウトロー文庫)

友がみな我よりえらく見える日は (幻冬舎アウトロー文庫)

荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)

荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)

旅の窓

旅の窓

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