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sibafutukuri

音響系音楽、文学、アニメ、映画あるいはゲームの感想、攻略などについて書こうかなとおもっています。

2013年5月の読書

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2013年5月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:3415ページ
ナイス数:76ナイス





一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)感想
  絶望的で暗黒な監視社会の世界観に魅了される。物語というより学問というイメージで、社会学的な考察がよくなされている。でも、解説のトマス・ピンチョンが書いているような見方だと、政治運動のための実用書みたいなイメージが強く、小説としては疑問に思うところではあるし、小説としてはあまりにも絶望的でただただ下り坂なだけで面白みにかける。アニメ『サイコパス』に触発されて読み始めたけど、本書がモデルになっていると思える部分が多く、後世に与えた影響や現代社会との比較を考えるのは面白い。
読了日:5月29日 著者:ジョージ・オーウェル





SAT^ORI (河出文庫文芸コレクション)SAT^ORI (河出文庫文芸コレクション)感想
  94、5年発表の三篇所収。若くて尖ってて、粗い。でも未熟という言葉は似合わない。小説として拙いかもしれないが、痛々しい青さとハードボイルドな雰囲気が混ざっている。表題作の名前でもある「サトーリ」は作中の(プログラム的なデジタル?)ドラッグ。SF好きとしては目を見張る中編だった。ウィリアム・ギブスンの『ニューロマンサー』から始まり、『攻殻機動隊』、『マトリックス』などのサイバーな電子空間をイメージさせて、それが藤沢周の文体で書かれているものだからなかなかに新鮮だった。分かりにくいが「マイナス天国」も良い。
読了日:5月22日 著者:藤沢 周





心中抄心中抄感想
  小説みたいなエッセイか、エッセイみたいな小説か?未だにどちからわからない。舞台が作者の出身地である新潟であり、主人公の男が幼少時に「シュウちゃん」と呼ばれている。ストーリーとしては、男とその愛人らしき女性が一夜飲み歩きながら、男の回想を語るというようなもの。その回想が幼少の頃の思い出で、破滅的で物凄く細かい点まで小説なら必要ないようなところまで描写されている。だからエッセイのようなのだけれど。すこし気取ったエッセイとしてなら、読みごたえはあった。自分の子供の頃を時々思い出した。
読了日:5月19日 著者:藤沢 周





水中都市・デンドロカカリヤ (新潮文庫)水中都市・デンドロカカリヤ (新潮文庫)感想
  高校一年の現代文の授業で「闖入者」(後の戯曲「友達」の基)を扱っていて周りの高校生たちには面白いと評判だったが、(今でも)中二病気味のぼくは「はー?カフカのパクリだろうが」みたいに思っていて少し不満だった。まあしかし今読み返してみると、他の安部作品と比べると遥かにプロットが分かり易く、確かに面白い。その分、この短編集では浮いている気がする。本書は全体的に非現実性が強くおとぎ話や寓話というような作品が多い。求職中の男が「空中楼閣」という会社を探す話は今の境遇に近いから面白かったが、他はちょっと物足りない。
読了日:5月22日 著者:安部 公房





タイムスケープ〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)タイムスケープ〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)感想
  時間風景(タイムスケープ)。「未来から来た手紙」というテーマは魅力的だ。でも、この物語、特に下巻はあまりにも退屈で結末も判然としなくて、娯楽としてのSF小説としては面白みに欠けて残念だった。あまりにもハードで現実味にこだわったことと、科学者たちの日常風景が多すぎるせいだろう。とはいえ、終幕でのゴードンの「時間はここであり(中略)一つのものなのだと感じた」という意識は、何か心に迫るものがあった。未来からの手紙を描いた物語だけれど、そのコアさ、ハードさからこの本はあまり遠い未来へは届きそうにない。
読了日:5月14日 著者:グレゴリイ・ベンフォード





震える牛震える牛感想
  殺人事件と牛肉偽装問題などを巡る社会派ミステリー。なかなかおもしろく、登場人物の多さとその絡み合いがかなり複雑で、それを一つの物語にまとめきれていることに感心する。あまり読み進めたくなるような文章ではないけど。食べ物などに関しては安ければいい、と思いがちだけど安い裏にはなにかある、という危険性を考えさせられる。同作者の『血の轍』を読んでいても思ったけど、こういう小説は登場人物表を付けたほうがいいんじゃないのか。ルポルタージュのようなもので、文学性よりも実利性の方が強いということもあり。
読了日:5月29日 著者:相場 英雄






レンタルマギカ 魔法使いVS錬金術師! (角川スニーカー文庫)レンタルマギカ 魔法使いVS錬金術師! (角川スニーカー文庫)感想
  シリーズ完結したけど今さら二巻目を読む。アニメでも見たことあった話だけど、錬金術師ユーダイクスは先代のアストラルを繋ぐ大事な存在であり、そのホムンクルスのラピスは作り物でありつつも持つ感情の切なさが伝わってきて、どちらも印象深い。まだ二巻目なのにいつきは色々と経験していて、濃密な時間を感じさせる。
読了日:5月13日 著者:三田 誠





文学界 2013年 05月号 [雑誌]文学界 2013年 05月号 [雑誌]感想
  感想:藤沢周さんの短編を読みたくて。中村文則さんと沖田修一さんのエッセイが面白かった。特に沖田さんの映画監督を捨て犬みたいに描いた小説っぽい文章が良い。 読んだ:藤沢周「千秋」、西村賢太「跼蹐(きょくせき)の門」、小祝百々子「卵割」、長野桃子「僕の足元にはうさぎがいる」、ジュディ・バドニッツ「ナディア」、中村文則「海外エロ動画」、沖田修一「映画監督も家族の一員」、星野博美「みんな彗星を見ていた」、上野千鶴子、女たちのサバイバル作戦 ──ネオリベ時代を生き抜くために」、穂村弘「も詩も詩」など。
読了日:5月19日 著者:





群像 2013年 06月号 [雑誌]群像 2013年 06月号 [雑誌]感想
  感想:筒井康隆さんの「創作の極意と掟」を初めて読んだけど、執筆話という感じで面白かったので他の回も読みたい。小説当選作の「鶏が鳴く」は何も面白くなかった。 読んだ:第56回群像新人文学賞小説部門当選作、波多野陸「鶏が鳴く」、評論部門優秀作、①木村友彦「不可能性としての〈批評〉――批評家 中村光夫の位置」、②多羽田敏夫「〈普遍倫理〉を求めて――吉本隆明『人間の『存在の倫理』論註』」、片岡義男「酔いざめの三軒茶屋」、筒井康隆「創作の極意と掟」、神慶太「趣味は回文です。」、穂村 弘「現代短歌ノート」。
  「『群像 2013年6月号』を傍らに、すこし文学の話 - sibafutukuri アニメとか音響音楽とか」 http://d.hatena.ne.jp/sibafu/20130522 ブログ更新しました。文学と政治とか。
読了日:5月19日 著者:





絶対移動中 vol.13 開拓せよ!最前線絶対移動中 vol.13 開拓せよ!最前線感想
  本誌初の公募「絶対移動(中)大賞」に後藤芝生名義で「ピストル六本木」という短編小説で応募させていただき、掲載には至らなかったものの四人もの方に選評を書いていただいた。大変参考になり感謝しています。公募作品で好きだったのは涌井学さんの「声」。最後の「」の空白は選考では評判がよくなかったようだけど、ぼくは良くも悪くも同人文学的かつ実験的で面白いと思い、ここに一番刺激された。掌編企画「東京以外」ではくりまるさんの「船橋遊郭炎上」が好き。犬と散歩しながら眺める変わりゆく街並みが不思議な時間遡行を感じさせる。
読了日:5月26日 著者:青砥 十,秋山 真琴,有村 行人,囲寂 ゆう,伊藤 なむあひ,霧島 外,くりまる,佐藤,志方 尊志,支倉 面太郎,霜月 みつか,高橋 百三,高村 暦,業平 心,松下 繭,三糸 ひかり,吉永 動機,radicalOta,涌井 学





プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))感想
  個人の生き方、働き方に焦点を当ててドラッカーの著作から引用したりしてまとめた一冊。初ドラッカー読書。難しい部分もあったけど、すんなりとそしてグサッと身に刺さるような名言もあり、ためになった。「貢献を重視する」、「権限に焦点を合わせてはならない」、「成果をあげるためには、貢献に焦点を合わせなければならない」や、「何によって憶えられたいか」などの言葉は仕事をしていく上で、忘れてはいけない重要なことだと思った。
読了日:5月26日 著者:P・F. ドラッカー





大麻入門 (幻冬舎新書)大麻入門 (幻冬舎新書)感想
  意外と真っ当な本だった。大麻の歴史に沿って、断片的に世界の歴史を知ることもできる。大麻世界に入門しよう、という主旨なので著者も大麻解放派側の主張をしている。しっかりと調べて書いているけれど、どこか大麻のメリットばかり並べ立ててデメリットはひた隠しにしている印象を受ける。「ドラッグ」とひとくくりにしたとき、大麻は他と比べ遥かにマシなのだろうけど、酒、タバコと同じくその周辺をめぐる利権などの政治的な動きまで考えるとうさんくさく思えて、まだまだ好意的には受け入れられない。とはいえ、興味はある。
読了日:5月15日 著者:長吉 秀夫





ユーモアのレッスン (中公新書)ユーモアのレッスン (中公新書)感想
  読んでいて面白かった。そして、難しくもあった。ユーモア(諧謔)が面白いのは当然だけど、この本の特に良い所は社会や言語という点から見た難しさも書いているところ。著者は第一部の「ユーモア問答」で、「ユーモアは社会の成熟を示すバロメーター」だと述べている。これは、国家が閉鎖的なことによってその文化や国語がどんどん局地的に進化していき、成熟することによってユーモアもまた発展する、という意味。だから島国であるイギリスでユーモアは発達し、日本も明治頃までの外来文化が輸入される以前はそういう素養のある国だった。
読了日:5月13日 著者:外山 滋比古





段ボールハウスで見る夢―新宿ホームレス物語段ボールハウスで見る夢―新宿ホームレス物語感想
  同じく中村さんの『新宿ホームレスの歌―「放浪歌人」の70余年』を読んでから。『新宿ホームレスの歌』が一人に視点を当てているのに対して、こちらは複数のホームレスが登場しそれぞれの人生が記されている。生きて死ぬ。国の援助は受けたがらない、故郷へは家族の迷惑になったり恥ずかしいから帰らない。そんなこんなで死んでしまう。読んでいてとても切なかった。中村さんの二冊を読み、ホームレスに文学性を感じた。文学が好きだからホームレスになるのかホームレスだから文学に嵌まるのか……。
読了日:5月11日 著者:中村 智志,〓 昭





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一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

絶対移動中 vol.13 開拓せよ!最前線

絶対移動中 vol.13 開拓せよ!最前線

  • 作者: 青砥十,秋山真琴,有村行人,囲寂ゆう,伊藤なむあひ,霧島外,くりまる,佐藤,志方尊志,支倉面太郎,霜月みつか,高橋百三,高村暦,業平心,松下繭,三糸ひかり,吉永動機,radicalOta,涌井学,伊藤鳥子
  • 出版社/メーカー: 密林社
  • 発売日: 2013/04/14
  • メディア: 雑誌
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