sibafutukuri

音響系音楽、文学、アニメ、映画あるいはゲームの感想、攻略などについて書こうかなとおもっています。

オディロン・ルドンと新宿西東

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オディロン・ルドン
「蜘蛛」




買い物に行こうと思い電車に乗った。
新宿に向かう途中で、
損保ジャパンのビルの東郷青児美術館
オディロン・ルドン」をやっていることを思い出した。
紀伊國屋書店でもらった展示会の割引付きの
ピンクの栞を持っていたのだけれど、
それは持ってくるのを忘れていた……。
でも、こういう勢いで行ってみないと後々行かなさそうなので、
すこし損した気分だけれど行ってみることにした。




新宿に着いた。
新宿はよく来るけれど東口ばかりで西口は滅多に行かない。
まず、改札を出る前の都庁方面の西口に向かうところから新鮮で、
どう行こうかとすこし迷う。
改札を出てからはひたすら迷いながら高層ビル群っぽい通路を進む。
近頃は中村智志さんという方のホームレスの本をよく読んでいて、
新宿などがよく登場する。
そういう現場を歩く機会でもあった。
やたら長いどこへ向かうかわからない直線の通路を歩きだしてしまった。
困って焦った。
考えて、ふと横を見たら新宿ブックファーストがある。
名前は知っていながら場所は知らなかった。
入ってみて、本を眺めている心の余裕はない。
変にビジネスマン好みに見える変な空間を変な気分で彷徨いながら
地上に出られそうな出口を探す。
螺旋風の階段を上ると、三時頃の日照りが逆光で眩しい。
周りはソフィスティケーテッドなビル街。
コンビニも見当たらないような街並みで、
ビルの従業員はどこで昼飯を食うんだろうか、
なんてどうでもいいことを気にしてしまう。




エレベーターで損保ビルの42階に到達。
新宿の街並みや東京タワーのその向こうまで展望。
コクーンタワーはすごく手前に見えて、
近くで見ても奇抜な形。
そして、「オディロン・ルドン展」に入る。




オディロン・ルドンという画家はこれまで全く知らなかった。
知らなかったからこそ、これは来てよかった。
やはり、展示会のポスターなどで使われている
蜘蛛」などのモノクロで描いた化け物たちが印象的。
「蜘蛛」を見たら『となりのトトロ』に登場する
まっくろくろすけ(ススワタリ)を想像する人が多そうだ。
他に、
目玉の植物「おそらく花の中に最初の視覚が試みられた」など、
歩いて見ながら胸が苦しくなった。
恐怖とインスピレーションと創造性と歓喜とか。
その想像力と表現が、現代への繋がりを感じさせていて、
観られているその今が嬉しかった。





オディロン・ルドン
「おそらく花の中に最初の視覚が試みられた」




ルドンはボードレールの詩集『悪の華』を題材にした画集を作った。
今季の新作アニメ『惡の華』は、
ボードレールの『悪の華』に心酔している青年を描いたもののようで、
作中にルドンの「おそらく花の中に最初の視覚が試みられた」のような目玉だけの
主人公の心情を表現するようなキャラクターが登場する。
ルドンと詩集とアニメ(原作漫画)の関連性はあまり明言されていないけれど、
アニメスタッフはルドンをしっかりと意識しているのだろう。
「ルドン展」がこの時期というのも、偶然ではないのだろう。
それにしては東郷青児美術館には
アニメの宣伝物のようなものが一切なかったのだけれど。
たしかにアニメのようなものが似合わない場所ではあるけれど。




「ルドン展」に満足し、天界から地上に戻り
本来の目的である買い物をしに新宿東口を目指す。
面白いことに西から東へ歩いてみると、
はっきりと高層ビル街からごちゃごちゃした雑居ビル街の境界がある。
その境界を一歩またぐだけで、東、西、東、西、というふうに
二つの新宿を行き来できるような気がする。
そのくらい明確に西と東の新宿は対極的に存在している。
ぼくにとって新宿と言えば雑多な東のほうだけれど、
西と東どっちも含めて新宿なのだろう。




昼間の時間だけ、スタジオアルタ前の通りは
自動車通行止めで歩行者天国になっていて
ゴールデンウィーク中の賑わいと合わさって、
東口もいつもと違っていて不思議な感覚を味わった。




新宿は映画館が多い。
それはそれでいい。
でも、美術や写真などの展示会を見られる場所が、
もっと増えればいいな、と贅沢かもしれないけれど思っている。





オディロン・ルドン
「眼は奇妙な気球のように無限に向かう」






悪の華 (新潮文庫)

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段ボールハウスで見る夢―新宿ホームレス物語

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