sibafutukuri

ゲームの攻略情報・感想、音響系音楽、文学、アニメ、映画などについて書こうかなとおもっています。

2013年2月の読書

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2013年2月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3405ページ
ナイス数:48ナイス





文学界 2013年 03月号 [雑誌]文学界 2013年 03月号 [雑誌]感想
  藤沢周の短編「月岡」を読みたくて。『文学界』はあまり読んだことはなく、自分で買ったのは初めてだとおもう。他に、阿部和重「In A Large...」、玄侑宗久「拝み虫」、中原昌也「憎しみの蒸気機関車」、ジュディ・バドニッツ「準備」などを読んだ。「月岡」がとてもよくて、「準備」は滑稽さが面白かった。震災関連と黒田夏子の「abさんご」関連が多い号という印象。「abさんご」は少し前は読みたいと思っていたけど、文体の特殊さばかりが取り沙汰されているのを見ていると、別に読まなくてもよさそうな感じ。
「藤沢周 『月岡』 (『文學界 2013年3月号』掲載)」(2013.2.25)
読了日:2月27日 著者:





波羅蜜波羅蜜感想
  葬儀屋に務め葬儀ディレクターとして看護師と寝て死体を「転が」して葬式を開いて生活する主人公の倉木。相変わらず職業特有の描写にリアリティがあって感心する。死と近い職業の話にも関わらず、読み終わると死からの距離を感じてしまう。それは、葬式がごてごてに仏教的に飾られることで物語化してしまうことや、主人公の死体への接し方があまりにモノ的であったり、主人公が死を楽観的に見ていて死から遠い存在だから、なのかもしれない。終始悪趣味な物語で、装丁も悪趣味さが出ていて良い。ただ、売れる見た目とは思えないけど。面白い。
「藤沢周 『波羅蜜』 ―途中の感想―」(2013.1.28)
読了日:2月28日 著者:藤沢 周





マダム・グレコ―フリーク・ストーリーズマダム・グレコ―フリーク・ストーリーズ感想
  今まで読んできた藤沢さんの本の中では異色の短編集。装丁が変にダサかったり、SFな話があり性的なものが強調されていたり、ポルノ的にエロい話もあったり。あとがきで本人が書いているように、同人時代の習作などの割と初期の短編が収められているからだろう。各々の作品の初出は86年から98年と幅広いけど、現代でありながらの古さと若さが際立つ。それでも「誰か、がいる」(これが最も新しい98年初出)は傑作だ。短編集『幻夢』にある「袋」に並ぶ傑作。「誰か、がいる」も「袋」も「なにも起こらない文学」を確固たるものにしている。
「なにも起こらない文学―藤沢周 『誰か、がいる』―」(2013.2.5)
読了日:2月2日 著者:藤沢 周





黒曜堂黒曜堂感想
  マガジンハウスから刊行されているのが意外だった。かつてマガジンハウスから刊行されていた『鳩よ!』という文芸雑誌で連載されていた作品。ミステリアスであり、謎を追っていく形式は光文社からの『雨月』みたいで、藤沢さんの作品は鎌倉などの神奈川県が舞台のことが多いのに対して、『黒曜堂』は主に神保町が舞台で他に高円寺や吉祥寺などと、割と都心が多く、そういうところで異質な作品だった。でも、謎が気になるのでそれなりに面白い。名刺がキーワードとなる小説では安部公房の『壁』も確かそうだったけど、面白い小道具だとおもう。
読了日:2月25日 著者:藤沢 周





インディヴィジュアル・プロジェクション (新潮文庫)インディヴィジュアル・プロジェクション (新潮文庫)感想
  スパイ養成塾を出た青年が渋谷でヤクザの抗争に巻き込まれそうになるなど。スパイモノなどのアクション映画にありそうな非現実的な話を現実的に書いているので、バカなことを真面目にやっている風で、その滑稽さが面白い。また、中盤までは展開が気になる面白さもある。ただ、後半が残念だった。ここは評価の分かれどころだろう。純文学要素もあるのかと思って読み始めたら、硬めの文体のエンタメ小説だったが、それはそれでよかったけど、終盤で無理に錯綜させてきたので純文学っぽくはなってるのかもしれないけど、面白くはない。
  解説を東浩紀さんが書いていて驚いた。阿部さんとは友人として仲がいいらしい。ただ、「投影」とかいかにも批評っぽい言葉を使って語っているのがちょっとアホっぽいな、と思ってしまったけど。『インディヴィジュアル・プロジェクション』は前半が良かっただけに、終盤の崩し方に違和感が残りもやもやとする。ただ、阿部さんの他の例えば『グランド・フィナーレ』は読んでみたいとおもう。初阿部和重
  他の人のコメントを読んで思い出した。スパイ私塾の高踏塾はオウム真理教あさま山荘事件などを起こした連合赤軍を思い出させた。閉鎖された集団での、「異常」を「常識化」させてしまう力みたいなものが高踏塾でも起こっている。
読了日:2月9日 著者:阿部 和重





教室へ教室へ感想
  2008年のフランス映画『パリ20区、僕たちのクラス』の原作。映画がすごくよかったので小説を読んでみた。パリ19区にある中学校の教室、職員室、他学校内での出来事がストーリー性はほぼ無い状態で淡々と進んでいく。セリフが多く、説明や心理描写などが少ないのでフランス文化に疎い自分としてはわからない部分が多かった。日本人が読む小説としてはあまりよくない。19区というのは移民が多い地区らしく、だからこそフランス語の学習が不得手。移民の生徒たちを感情的に教育するフランス語教師、という構図は文化の植民化に見える。
読了日:2月16日 著者:フランソワ ベゴドー


映画『パリ20区、僕たちのクラス』予告編





清須会議清須会議感想
  それなりに面白い。ただ、演劇や映画などで観たほうが意義がありそうな内容だった。書き込み、描写の少なさなどが脚本に近く、良くも悪くもある。いろいろな意味で予想よりすこし軽かった。同じ会議ものとして、三谷さんが脚本を書いた『12人の優しい日本人』に近いとおもった。
読了日:2月8日 著者:三谷 幸喜





小説 PSYCHO-PASS サイコパス (上)小説 PSYCHO-PASS サイコパス (上)感想
  アニメ版を虚淵玄などと共に脚本を担当している深見真によるノベライズ本。大体アニメ通りの内容。端折られている話もあって、その代わり半分小説オリジナルの話が加わっていたり。アニメでは設定部分を出し切れないだろうから、小説での補足というのがこの本の大きな役割かな。第一話とかで言えば見たのはずいぶん前で忘れているので、じっくり文字を追いながら読めるのはよかった。下巻との二冊でまとまりきる内容か謎だけど。現在アニメ版は第16話「裁きの門」を終え、ものすごく盛り上がっているところ。
読了日:2月13日 著者:深見真,ニトロプラス





初版金枝篇(下)   ちくま学芸文庫 フ 18-2初版金枝篇(下) ちくま学芸文庫 フ 18-2感想
  フレイザーは『金枝篇』において答えなければならない問いとして、「第一に、なぜ祭司は前任者を殺さなければならないのか?そして第二に、なぜ殺す前に、『黄金の枝』を折り取らなければならないのか?」(第一章第一節より)の二つを挙げている。膨大な量の民族の風習などを列記しつつ、その二つの問いに答える試みが遂げられる。下巻では第四章第三節の「民話における外在の魂」が最も分かり易く、そして面白かった。ある人物は魂を遠くの木や、髪の毛の一本として外部に置いておくので普通に殺しても死なない、というような類型の話。
読了日:2月13日 著者:ジェイムズ・ジョージ フレイザー





シャーマニズム 上 (ちくま学芸文庫)シャーマニズム 上 (ちくま学芸文庫)感想
  膨大な先行研究の資料から、シャーマンの儀式例などを引用して構成されている。フレイザーの『初版金枝篇』(ちくま学芸文庫)に近い形式。一応通読したけど、読むのがけっこうしんどくてあまり頭に入っていない。シャーマンは呪医として医療にも関わることがあり、死者を蘇らせることができると信じられているとか。魂を天界から連れ戻してくる、というイメージか。「エクスタシー」という状態がどういうものなのか気になる。憧れる。本物の儀式を見てみたいものだ。がんばって下巻も読むとする。
読了日:2月28日 著者:M=エリアーデ





森を読む (自然景観の読み方 新装ワイド版)森を読む (自然景観の読み方 新装ワイド版)感想
  森や山の主に樹木の植生などについての教科書的な本。日本のことについての記述が多い。教科書のような本だけど、たまに著者の思想や主義が抑えられならがらも熱く込められていることが感じられる。植物の種類が豊富な日本が誇らしい。ただ、この日本でもしっかりと森や山を大切にしているとは言えないのだろうけど。それが残念。
読了日:2月8日 著者:大場 秀章





「質問力」で仕事は9割うまくいく (「ドリームスキル・クラブ」シリーズ)「質問力」で仕事は9割うまくいく (「ドリームスキル・クラブ」シリーズ)感想
  先輩から借していただいた本で、タイトルなどにあまり魅力を感じずずっと読まずにおいていたけど、読んでみたら予想外に面白いしためになる本だった。質問をすることによって、そして上手い質問をすることによって、人間関係を円滑にし、そして自分に有利に話を進めたりする、というようなことが書かれている。確かに、質問をすること自体もその内容も、意識して変えていけばコミュニケーションがやりやすくなりそうだと思った。上手く理想通りに実践するのはなかなか難しそうだけど。
読了日:2月19日 著者:秋庭 道博





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波羅蜜

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清須会議

清須会議

小説 PSYCHO-PASS サイコパス (上)

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