気付いたら知らない曲が流れていて、それを曲と言っていいのかも曖昧な風な曲なのだけれど、それは流れていた。
昼間に中古で買ったCDの内の一枚で、それはパソコンに入れて取り込もうとしてもアーティスト名もアルバム名もなにも出てくることがなかったCD。
音としてはノイズ。あるいはアンビエント、詳しく言えばドローン・アンビエント。
意味が全くないような。無意味になんども繰り返されるノイズの音響。
でも、徐々にそれは変わっていくようで耳を澄ますことを促される。
Antimatter / Zbigniew Karkowskiの“Divide By Zero”というアルバム。
アルバムと言っても、一曲しか入っていない。
一曲が、52分間。
静かに変化しつづけるノイズ、アンビエント。
扇風機が首を振っている。強い風が5秒に一度、身体に当たるのがわかる。
汗が自然と液体として滴るくらいに暑いのだけれど、なんとなく冷房はまだつけていない。
なにかへの罪悪感。財布への?自分への?単純にお金がかかるからか。
やせ我慢か。
人工的な冷たさというのが最近、苦手だ。お腹に悪いように思えるから。
さすがに暑い。Tシャツを脱ぐ。半ズボンを履いているけれど、なぜこれを履いているのかわからなくなる。なぜなら暑いから。半ズボンも脱ぐ。パンツは残る。
サイダーで割ったウィスキーをマグカップですすりながら本を読む。
なんで氷を入れなかったのか、と後悔するけれど、氷を作ることも入れることも習慣にないからだろう。
読むのは『すべて真夜中の恋人たち』。
暑いのだけれどヘッドフォンをつけて、そこではノイズまたはアンビエントが流れていて。
座っていると落ち着かなくて集中できないので、なんとなく立って読む。
立っているとスピーカーの一つの上に置かれて電気スタンドの明りに近づいて明瞭になる。
立って本を読むのはそんなに悪くない。
立って本を読んでいると電車の中を思い出す。
座っていると眠くなるので、読書としては意外に立っていたほうが良いのかもしれない。
サイダーで割った酒を飲む。
- 作者: 川上未映子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/10/13
- メディア: 単行本
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