『男はつらいよ』(「寅さん」)シリーズなどの山田洋二監督の『家族』(1970)と『故郷(ふるさと)』(1972)を観ました。この二つは「民子三部作」と呼ばれる内の一作目と二作目で、三作目は『遙かなる山の呼び声』(1980)です。これはまだ観られていませんが。
山田洋次さんの映画は今まで特に興味があったわけではなかったのだけれど、なにかの本で『家族』のあらすじが書いてあって気になったので借りてみたらこれがなかなか良かったのです。なにかの批評の本だった気もするけれど未だに思い出せません。
最近亡くなってしまった森田芳光さんが監督の映画『家族ゲーム』と混同して記憶していたこともあったのだとおもうけれど。これは観たことがないので観てみたい映画です。
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■あらすじ
風見精一の一家は、故郷である長崎県伊王島から、開拓のため北海道標津郡中標津町へ移住することとなった。酪農を夢見ていた精一の決断によるものであった。妻の民子の反対により、当初は、精一が単身で移住することになっていたが、精一の固い意思のまえに民子が翻意し、結局子供2人を含む家族で移住することになったのである。
(「家族 (映画) - Wikipedia」http://p.tl/c9HO、より)
これは予想外に暗い映画で観ていてちょっとテンションが下がりましたが、最後はすこし明るくてよかったです。若い頃の倍賞千恵子さんがかわいい。これは「民子三部作」の一作目ということで、それを知るとつづきが気になる映画でした。
旅の途中、大阪万博のシーンがあるのですが物語や本の中くらいでしか知らない自分としては新鮮な映像でした。入口付近くらいしか映りませんが、当時の一般人もたくさん映っていてその場の空気が伝わりました。全体的にドキュメンタリータッチで撮られていてそのほかの場面も、一般人が多く映っていたり役者の演技も自然だったりと良い意味で映画らしさを感じにくいです。これは次の『故郷』でも同じことが言えます。
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■あらすじ
瀬戸内海の小島、倉橋島に住む精一、民子の夫婦は小さな古い砂利運搬船で石を運び、生計を立てていた。しかし、船のエンジンの調子が悪く、さらに荒れた海に出た日に船体も壊れてしまう。すでに耐用期間も過ぎた船体の修理には精一にとっては多額の費用が必要であった。今後の生活を悩む中、尾道市にある鉄工所を見て、故郷を捨てる決心をする。
(「故郷 (映画) - Wikipedia」http://p.tl/Yjjh、より)
『故郷』は『家族』よりも後に制作、公開された映画ですが時系列として『家族』→『故郷』となっています。しかし、『故郷』は『家族』と全く同じキャラクターや設定ではなくてパラレルワールドのようになっていて、ここが少しややこしいです。民子役の倍賞千恵子、その夫の井川比佐志、その父のお爺さんの笠智衆は二作品とも同じで、物語も繋がりを持っているのでほぼ同じ一家の話として観ることはできますが。
『故郷』は『家族』よりも暗さはなく、気軽に観賞できるのですがそれだからこそ少し映画としてのインパクトは劣るかな、とおもいました。でも、山から切り崩した石を石船に移して海に豪快に捨てる一連のシーンなど、全く見たことのない未知の映像だったのでおもしろかった。
船長の夫が終盤で、機関長である妻と一緒に最後の仕事として船に乗りながら言った言葉が非常に印象的でした。「時代の流れとか大きなもんには勝てんとか、それは何のことかいのう」。「大きなものとはなんだろうなあ」ということを何度も繰り返していて、自分の頭にもある疑問でもあったように思えて考えさせらました。
『故郷』の場合、「大きなもの」とは小さな木造船に対しての金属製の大きな新造船でもあり、なによりも時代の流れや社会、世界のことだったのでしょう。
『家族』で特に若い頃の倍賞千恵子さんが可愛らしかったのだけれど、失礼ですがすこしお婆さん顔にも見えます。倍賞さんはぼくとしては馴染みが薄く、唯一馴染み深いのはジブリの『ハウルの動く城』のソフィーの声優としてですね。この配役は専業として声優ではなく、しかも若い頃の声もあてているということで公開当時に物議を醸しましたが。
しかし、『家族』、『故郷』と観続けてみると若い頃も老婆の時もソフィーは倍賞さんにけっこう似ているな、とおもえてきます。キャラデザインからして倍賞さんをモデルにして作られているのでしょうかね。『ハウルの動く城』を初めて観た時はやはり若い頃の声は違和感がありましたが、今ではこれもありかなとおもえます。声はすこし意外でも演技が好きです。特に雨の中、湖畔で大泣きするところは名シーンだとおもいます。
また、お婆さんのときのどこか人生に対して投げやりのような演技も良くて、最近ダイアナ・ウィン・ジョーンズの原作を読んだのですが、ソフィーのセリフが倍賞さんの声で脳内で見事に再生されながら読んでいました。
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