俺が音楽のような曲のようなものを作るときは、一応、趣旨とかコンセプトとかジャンルを目標として作り始めることがあるけれど、その狙い通りにならないことが多い。もともと狙いを何も考えないで、ただ楽しくてやっていることもあるが。
狙いから外れていようと、結果として自分が気にいれば俺は満足でそれでいいとおもっている。そりゃあ狙い通りに作れたほうが便利だろうし、楽でもあるだろうけれども。
でも、俺はできない。だから作曲において偶然性に頼っているともいえるかもしれないが、偶然性を崇拝し強調して売り出そうとする作り手は嫌いだ。君らがセッションやなんやらして「たまたま生まれたー!わー、すごーい」みたいな「感動」はどうでもいいのです、音響の聴き手にとっては。
音楽において、ヒューマンドラマで感動させないで音響で感動させていただきたい。
とはいえ、創作においての偶然性は重要だとおもいます。そして俺も好きです。
出来る出来ないにかかわらず、「こういう感じの音にしたい!」とかの目論みはあるんだな。一応。たぶん。普段あまり考えていないが。それは一つ一つの作業で、ではなくて曲をつくる上でのもっと根底にあるものなんだろう。平生ものごとの下に埋もれているが上位概念であるもの。
まぁ、で、それとは少し異なるけれど、豊田徹也の『アンダーカレント』を思い浮かべるような音響ができればいいなぁと、音作りの生活の全体において目標としたいと思った。
目標といっても、こんなのこれを書いた直後に忘れていてもいいわけだ。今後、百個の曲をつくったとしてそのなかの一つを聴いていて、「あ、『アンダーカレント』読みたいな」と思い出せればいいのだから。
さっき知ったこと。
ジャズ・ピアニストのBill Evansのアルバムに“Undercurrent”(1962年)があるらしい。そして、そのジャケットと豊田徹也の『アンダーカレント』(2005年)のカバーイラストがそっくり。パロディーなんだろうな。
Bill Evansの方は聴いたことがないが、豊田さんの『アンダーカレント』では表紙の水に浮かんでいる様は作中にも出てくるし、タイトルでもあるように物語の重要な象徴にもなっている。
豊田さんは音楽好きのようだが、数十年前のものが多いようにおもえて世代のちがいがそこでハッキリしてくる。俺としては、そういう部分が楽しめないのですこしもったいない。
Darn That Dream - Bill Evans & Jim Hall
『カウボーイビバップ』を思い出す。
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