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『川面を滑る風』(アニメ)

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病む月 (集英社文庫)

病む月 (集英社文庫)


  夜中、起きる。腹が減ったと気づく。昨日は晩飯を食べたのが普段に比べ早かったからか。カップラーメンを持って居間にお湯をいれに行く。テレビを点ける。


  点けた瞬間、画面に映ったのはアニメだった。実写ではなくアニメの絵であることに驚いた。アニマックスかカートゥーンネットワークかな、と思ったが、その作品の絵柄はそういうものではなかった。


  チャンネルを確認するとNHKだった。NHKで放送されているアニメは良質なものが多い。だから、ちょっと期待してしまうものだ。たしかに、絵柄はNHKらしいものだったかもしれない。


  『川面を滑る風』


  というアニメで、「大人女子のアニメタイム」枠での再放送だったみたいだ。35分くらいで完結する話。


  俺はこの作品は、たぶんすでに10分か15分くらいすぎて観始めたというのもあって、中身にはあまり関心が向かなかった。やはり、絵の調子が好きだった。

【ものがたり】
金沢で生まれ育った乃里子は33歳。夫と4歳の息子と共に5年間の海外生活から帰国した。地方に埋没する平凡な人生を拒否した彼女は、東京の大学に進学し、就職し、エリート商社マンと結婚し、子供をもうけ・・・まさに思い描いた「幸福」を手にしたはずだった。しかし5年ぶりに帰郷した彼女は心に大きな空洞を抱えていた。
そんな彼女の頭から離れない一人の男がいる。指の美しいあの男…
乃里子は彼との間に大きな秘密を抱えている―。
(http://www.nhk.or.jp/tamago/program/20110107_doc.html)


  という女性が主人公の恋愛物語だ。背景などの絵は透き通って綺麗なのに対して、主人公の心情(直接は語られないが)などは結構ドロドロしていて気持ち悪くなりそうだった。結婚生活でのストレスによって、過食症になって食いまくって吐きまくりの日々を送る、など。すすっていたラーメンが少し不味くなった。たしかに「大人女子」だな、と思える物語だった。


  でも、やっぱり絵が好きだ。恋愛話というのもあるけれども、ジブリの『耳をすませば』、『海がきこえる』などを、内容からも絵からも思い出した。番組の企画の「女子」的な面では、『東のエデン』にも少し近いものを感じた。


  キャラクターデザインも昨今流行っている萌え系のようなものではなく、アニメなりにリアル路線だし、主人公の色白なかんじがキャラクターとして作品に合っていて良かった。作中で実際のセリフは少なく、主人公の回想での述懐で場面が淡々と進んでいくかんじも、萌え系を見慣れたあとだと新鮮だった。


  キャラ以上に、背景画などが淡泊な色使いで透き通るようだった。背景画を観ているだけで俺は満足かもしれない。『耳をすませば』が東京都西部の多摩、『海がきこえる』は主に高知県、『川面を滑る風』は石川県の金沢が舞台だ。『東のエデン』は東京の都心が主な舞台だからここでは除外する(他にはニューヨークとかもあるし)。そういう地方の土地をアニメの絵で観られることが、これらの作品での俺として特に推したい点だ。


  別に、地方の風景を眺めたりすることが日ごろから好きなわけではないが、リアル路線のアニメの背景画で風景を眺めることが好きだ。ただ写真を模写したようなものでも、絵で描かれた風景に俺は安心する。


  『川面を滑る風』は、原作が唯川恵の短編小説で、映像制作会社のキュリオスコープが作ったようだ。こじんまりとした作品だったが、思いがけない出会いだった。観られてよかった。




  参考になるような動画を載せようかと思ったが、YouTubeに予告編のようなものも一切なかったので断念…。画像検索をかけるもあまり良い感じのものはなかった。もうちょっと知名度があがっても良い出来だなあ。もったいない。これじゃあパッケージ化もされないのかな。


■追記
  背景は「実写とアニメの合成」のようなものだったらしい。俺の目は節穴か、と自身に問いたくなる。でも綺麗だったことは間違いない。


■追記2
「皮桃スメル壁」(2011年01月11日)
http://d.hatena.ne.jp/sibafu/20110111/1294720386