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sibafutukuri

音響系音楽、文学、アニメ、映画などについて書こうかなとおもっています。

波の鳥、空の魚

音響 創作物語
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逆さにもなれる景色
ときに透きとおり、ときに反映する


飛翔する者が言って、遊泳する者が応えた
「もっと見て」
「もっと見るよ」


遊泳する者が言って、飛翔する者が応えた
「もっと映って」
「もっと映るよ」


「こっちが夏でそっちは冬だね」
「ちがうよ、そっちが冬でこっちが夏だよ」


「ぼく飛んでいるよ、まさしく空に」
「うん、きみは飛んでいるよ。ぼくは泳いでいるよ。まさしく水に」
「見える?見えるの?影がさ」
「見える、見えるよ。影がね」


「ちがうよ、影じゃない。鳥だよ」
「うん、そうだ。鳥にちがいない」
「そうだよ」
「でも、鳥が泳いでいるよ」
「うん、鳥は水に泳ぐんだ」
「そうだよ。知っているよ」


「見て、あそこ。飛び魚だよ」
「うん、飛び魚だね。ひょんひょん泳いでいるからね」
「飛び魚だよ。でも違うよ、飛び魚は飛ぶんだ」
「そうだよ。知っているよ」
「すごいね」
「うん、飛んでいるね」


「見て、もっとむこう」
「大きいね、木琴だ」
「うん、木琴だ。どうして」
「きっと、飛び魚がもうすぐ着くよ」
「そうなの。分かった、もうすぐ五時だから」
「そうだね。知っていたよ」
「こんなに近くで聴くのは初めてだ」
「前にもっと近くで見たことがあるよ」
「ぼくは聴くよ」
「ぼくは見る」
「きみは見る」
「きみは聴くよ」


「鳴ったね」
「うん、綺麗に響いた」
「トントタンと鳴った」
「ちがうよ。タントタンと鳴った」
「そうは聞こえなかった」
「ぼくもそうは聞こえなかったのだから」


「今度の飛び魚はタントタントンと鳴った」
「ちがう。今のはトンタントタンと鳴った」
「そっちが水の中だからだ」
「そっちが空の中に居るからだ」
「どれも同じだよ」
「どれもちがう」
「じゃあ、どれも同じだし、ちがうの?」
「ちがうよ。どれもちがうし、同じなの」

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