- 作者: 太宰治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/10
- メディア: 文庫
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太宰治の『晩年』を読み終えた。太宰の第一創作集で、十五編の短編が収められている。全体として、面白いと一度目の読みで思えるものは、数えるほどしかなかった。だから、退屈でもあった。が、太宰の文体は作品によってバラバラだが、好きな文体もあるからそういうところで面白い面はあった。
最も印象に残っているのは、「猿ヶ島」という作品だ。これを読んだのは二回目で、実は中学生の頃に一度どこかで読んだ記憶があるのだ。昔、或る白い女の子には、そのあらすじを雑に、物知りぶって話したことがあるが、簡単に言ってしまえば動物園のサル山の猿の話だ。これを読んだあとには、動物園へ滅多に行かない人でも(普段いかないからこそか)サル山を「見物」しに行きたいとおもうのではないだろうか。
『晩年』をすべて終えると、書かれたものよりも、太宰の生き様と死に様が面白く、感銘を受ける。それを真似したいとかいう意味ではなくて、彼自身が小説か伝説かのようにさえ思えてくる。そういう意気込みが、『晩年』の作品群のテクストのみから伝わってくるかは、技術的な結果としてあまり巧くはいっていないのではないかとおもうが、文庫最後の解説に目を通していると、太宰はやはりすごいと思ってしまう。彼自身がテクストとして、そのテクストを愉しみたい。
太宰の廃頽的な雰囲気には、blgtz(ビルゲイツ)がとても合うのではないか。けたたましくがなり鳴り響くblgtzと太宰治の合奏を記念して、これを残す。
blgtz - MySpace
http://www.myspace.com/blgtz
「影響を受けた音楽」に“Marcel Duchamp”(マルセル・デュシャン)とだけ書いてあって、笑った。
blgtz - パラード (Rare Promotion Video)