『ミスト』。俺はなんでこんな映画を観たのだろう。なんでこんな映画を作ろうと思ったのだろう。物語としても、一つの作品の出来としても、この救いようのなさは逆に素晴らしい。ひさしぶりに、観ている間、胸糞悪くなる映画だった。女教祖にいらつくのもあるが、映画全体としても存在意義がわからない。
でも、あそこまでイラつかせる女教祖役の人の演技はすごいとおもう。キリスト教も批判されるべき点はあるだろうが、それを材料に弄んで悪役に仕立てました感がものすごい気色悪い。黒人の弁護士のひとも見ていてイラッとする。
登場人物はみんなどうしようもない馬鹿だし、集団心理を描いたとしても演出が無理やりすぎて見ていて痛々しい。主人公のおじさんはなんであんなに日常的にも野蛮人的なのかが謎だ。
そのおじさんの棒の構え方が、宇宙人が侵略してくる映画『サイン』のバットを振り回す青年(?)の姿と被ってしまって、それにしか見えなかった。『サイン』は結構叩かれている作品だが、『ミスト』のひどさには遠く及ばないだろう。
クライマックスで流れる神々しいような歌が聴いていられないほど腹が立った。主人公たちがキリスト狂信者から逃れたあとだから、皮肉としか思えないし気持ち悪い歌だしで。映画館で観るようなことがなくて、ほんとうによかった。
ほんとうになんなんだこれは…。夢か。
『ミスト』(The Mist)
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