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sibafutukuri

音響系音楽、文学、アニメ、映画あるいはゲームの感想、攻略などについて書こうかなとおもっています。

『借りぐらしのアリエッティ』を観ました

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  『借りぐらしのアリエッティ』を観た。たぶんネタばれも含まれるだろうから、まだ観ていない人は読まない方がいいだろうし、個人的には読まないで欲しい、でもせっかくだから読んでほしい。本作には原作があるが読んだことが無く、それとネットでの情報などは情報の氾濫が頭の中で起きかねないので、一切見ずにまず印象批評的に初見での感想を述べたいと思う。

借りぐらしのアリエッティ 予告 (30秒 ver.)


Arrietty's Song / Cecile Corbel ( セシル・コルベル )


  ずば抜けて完璧な映画だ、とは言わないまでも全体的に無難に上映時間94分で主人公の世界からしても、小さく良くまとまった作品だと思った。だから、どこから話を始めればいいかが難しい。なにかを鑑賞する際に、それ以前の歴史にあって自分が観てきたものが今回の鑑賞の評価前提となるのだが、今回の『アリエッティ』の前提となる最も近い作品は『崖の上のポニョ』だ。私個人としてもそうだが、『ポニョ』を観て本作も観るひとは必然とそうなるだろう。

  安直に言ってしまえば、『ポニョ』と比べれば遥かに「おもしろいアニメ」だろう、これは。これは作品の舞台となる世界の規模として、小さすぎるくらいだからそれに不満な人もいるのだろう。言ってしまえば、ゴキブリやアリやムカデやクモから見た世界だから。その小ささによる作品としてのまとまりの良さは疑い得ないのだが。それとは対照的に、『ポニョ』は月の影響で海に異変が起きたり、最終的には地球規模の事件に物語は広がる。だが、その広さとは裏腹にポニョと宗介の少女と少年二人の恋物語というものも内包されているのだが、拡張しすぎた物語が尻すぼみの縮小される様子を不満におもう人もいるだろう。だから、『ポニョ』は「ふろしきを広げ過ぎた」という評価を下される。評価前提となる『ポニョ』がふろしきを広げ過ぎたアニメであるから、『アリエッティ』はまとまりの良いアニメだ、と私は言うのである。

  『ポニョ』を観た当時の私は、不安で恐くて不満足で浮足立った気分であった。扱い方のわからないおもちゃを、お父さんから渡された様な面持ちだったに違いない。それと比べれば本作は遥かに地に足の着いた気分になれるアニメなのだ。だが、これだって問題がないというわけではなく、いくつもある。しかし、その気に掛かる面を書く前に、よかった部分を書こうとおもう。

  背景の美術の豊かさ。これはジブリであれば相変わらずだが、心も豊かになる気になるのだから。だが、全体的な作画はあまりクリアではなくぼやけたように見えた。二時間映画のクオリティーとテレビアニメシリーズのクオリティーの中間くらいだろうか。それでも、背景だけは素晴らしかった。あとは、借りぐらしの小人たちが人間の家に侵入するまでの、クギ、両面テープ、豆電球(?)などを工夫したり、様々なギミックが、見ていてわくわくすること。物語の中盤にでてくるスピラーというキャラクターが、『未来少年コナン』のコナンとジムシィを混ぜ合わせたような野生児キャラクターで、見ているだけで嬉しかった。ただ、声を聞いてすこしがっかりした。

  私がこれを観る前にもっとも心配していたのが、声優陣が声優としてではなくタレントや俳優として知っている名前ばかりだったことだ。「また『ポニョ』の二の舞か・・・」と思わざるを得なかった。だが、その予想はだいぶ外れて杞憂に終わった、と今ではおもっている。スピラーの声は合っていなかったが、ほとんど喋らないキャラなので大した問題は無い。とにかく、主要キャラの声は、声優ほどではないかもしれないがほぼ違和感なく聞いていられた。人間の青年の翔とアリエッティの父ポッドの声は、大して上手くはなかったがどちらも無口で素朴なほうなので、なんとかなっていたようにおもう。特に良いと思ったのが、大竹しのぶ樹木希林だ。大竹しのぶはヒステリックな母親をしっかり演じていたし、樹木希林は観客からぼろくそに嫌われるくらいに人間の悪しき部分を強調させて演じていた。

  なぜ、そこまで声優について心配するかというと、言うまでもなく『ゲド戦記』や『ポニョ』という前例があったからだ。だが、『アリエッティ』において芸能人をそろえておきながらまともな演技をさせられるという実例を見てしまうと、『ゲド』はすべてが話にならないからともかくとして、『ポニョ』のあの下手くそな某演技のアニメは、あれは演出としてわざとやっていたのではないか?と考えることができるのである。この実例がなくとも私はそういう捉え方をして作品を解釈しようとしていたが、『ポニョ』においては某演技が全く以って無駄であるとは言えないものだから、こう考えてしまう。

  あとは、音楽だが今回は久石譲が参加していないようで(不確か)セシル・コルベルというアーティスト(バンド)の音楽が、全編を通して流れている。主題歌の「Arrietty's Song」も彼女らの楽曲だ。この主題歌も申し分ないのだが、ほかの曲名もわからないし不明瞭にしか覚えていないのだが、作中で見事に世界観を作るのに役立っているケルト的音楽が(映像のための音楽として)素晴らしい。『アリエッティ』は舞台が現代の東京都小金井市であるわけだけれども、その世界観が大好きになってしまったものだからまた本編を観られるまで、CDでも聴いていたいとおもうほどに作品に合っていた。

  以上の音楽に関しては、あくまでも音楽的音楽についてだが、音響的音楽としての音の使い方も興味深いところはあった。これはジブリでは珍しい演出かもしれない。水滴、蛇口をひねるおと、物を置くときのおと、ドアを閉めるおと、隙間風のおと、などなど小人からした音響が演出されていた。こういうものはジブリとしては珍しく思えたし、音響効果に気を使った実写映画を思いだした。

  さて、良かった点をなるべく書き連ねたわけだが、いまは疲れたので問題点は後日書ければ、ということにしたいとおもう。最後にひとこと、ジブリアニメなどが好きなひとは映画館で観ても損はしないと思います。

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