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sibafutukuri

音響系音楽、文学、アニメ、映画あるいはゲームの感想、攻略などについて書こうかなとおもっています。

『100万回生きたねこ』を構造分析せねばならない

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  「構造分析」という用語を自分で使っておきながら、これがどういった方法でなされるのかいまいち分かっていない。
  それで、グーグルにぶちこんだところ、一番目に出てきた結果におどろき、二番目もまたおなじようなもので笑えてきた。この後の三つ目には「ポニョの構造分析」とでも出てきても可笑しくないとさえおもえる。『エヴァ』は聖書の内容が部分的に含まれていて、『ポニョ』は元が民話の「人魚姫」であるから、そういう意味では構造分析の対象になるのは当然だといえるのだろうが。

エヴァンゲリオンの構造分析」
http://homepage3.nifty.com/mana/kozou1.htm

ウルトラマンの構造分析」
http://www5a.biglobe.ne.jp/~gegebo/ultra.htm

  ふたつともちらりと、読んでみたところなんとなく姿が見えてきた。特に後者のサイトが分かり易い。後者のサイトで解説に用いられているのが、ロシアの民話研究者であるウラジーミル・プロップの構造分析で、このサイトの解説が分かり易いので引用させていただく。

  プロップによれば,同一の類型に属する昔話を同一のものたらしめているのは、登場人物たちの行為である。プロップはこれを『機能』と呼んだ。『機能』とは、物語の筋の中でいかなる意義をもつか、という観点から規定された登場人物の行為のことである。


  例えば、実母が死に継母の下で暮らす継母や、継母に奴隷のようにこき使われることや、超自然的(魔法の)力で援助を受けることや、ガラスでも木でも皮でも靴を失くすなど、これらが各々の「機能」であり、現代の日本人ならばこれら機能の集まりを見て「シンデレラ」だと類型化するだろう。こうして物語を「登場人物の行為」などのモチーフを明確に区切りを付けていく作業が、「構造分析」である、ということでいいとおもう。
  おそらくプロップの用いた「機能」という語は言語学でもまた同じように使われているとおもう。構造主義という見地はおなじだということだろう。

  『100万回生きたねこ』を先ほど2/3ほど読み進めたところで、ふとおもいついたのが、「これはただ読むよりテクストの分析をしなければならない。テクストの分析?テクスト分析?構造分析かなぁ」というようなことで、私がそうおもったのも理由があって、この作品は極めて記号的でつまり民話的な寓話なのだ。童話というよりは寓話ではあるが、寓話も少しちがう気がするのだが、やはり昔話のほうが近いかもしれない。
  絵本と昔話というのは、近代以降互いに影響し合ってきた語り口であろうから、そのカタリの方法が似通っているのは当然だといえるだろう。『100万回生きたねこ』を読んでいると、本編すべてがそうだとはいわないが、どことなく民話のなかに類話があるとか、いろんな話型をつぎはぎしたものだとか、方法はわからないけれど作者の佐野洋子さんはこれを創作したというよりかは、アレンジしたという印象を受ける。
  だから、昔話に沿った構造分析の方法としては似た様なモチーフを民話から探してきて解釈の材料として使うことができればいいのかもしれない。だが、そこまで今は本格的にやるつもりもないし、そういう構造分析なら正直つまらなさそうに思えてきてだめだ。

  『100万回生きたねこ』をひと通り読んだ。全く以って別に、「良い話」でもないし「悲しい話」でもなく私には思えた。それは意識として、テクストを記号としてしか認識していないからかもしれないが、書かれている文字と絵自体から意味が全く伝わってこない。まだ私にこれは解釈できていない。
  子供が読んでこれを楽しむことがあるのかも疑問だが、「大人も読める」というように言われている理由が分かるようで分からず釈然としない。これではまるで『ポニョ』かはたまた宮沢賢治の「犬」の再来である。「大人」はどうしてこの作品を解釈してきたのかが、わからない。

  こういう沈思は簡単にいえば「深読み」であり、そうさせるにはテクストに付随された権威が大いに働いていることを忘れてはならない。


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「自身が如何に異質な方向から穿つような見方を絵本に向けているかということ」(2010.06.30)
http://d.hatena.ne.jp/sibafu/20100630/1277842024

「『100万回生きたねこ』というテクストの読解」(2010.06.30)
http://d.hatena.ne.jp/sibafu/20100630/1277842428

「100万回ねこを殺して生かした話」(2010.07.17)
http://d.hatena.ne.jp/sibafu/20100717/1279309927

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