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宮沢賢治作 「犬」 一、作品

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一、作品



なぜ吠えるのだ、二疋とも
吠えてこっちへかけてくる
 (夜明けのひのきは心象のそら)
頭を下げることは犬の常套〔じゃうたう〕だ
尾をふることはこわくない
それだのに
なぜそう本気に吠えるのだ
その薄明〔はくめい〕の二疋の犬
一ぴきは灰色錫
一ぴきの尾は茶の草穂
うしろへまはってうなってゐる
わたくしの歩きかたは不正でない
それは犬の中の狼のキメラがこわいのと
もひとつはさしつかえないため
犬は薄明に溶解する
うなりの尖端にはエレキをある
いつもあるくのになぜ吠えるのだ
ちゃんと顔を見せてやれ
ちゃんと顔を見せてやれと
誰かとならんであるきながら
犬が吠えたときに云ひたい
帽子があんまり大きくて
おまけに下を向いてあるいてきたので
吠え出したのだ


(初出『春と修羅』一九二四年四月二十日刊行)




宮沢賢治作 「犬」 二、語釈
http://d.hatena.ne.jp/sibafu/20100605/1275665242





■リンク
宮沢賢治作 「犬」 一、作品

宮沢賢治作 「犬」 二、語釈

宮沢賢治作 「犬」 三、先行文献と参考資料

宮沢賢治作 「犬」 四、連ごとの分析

宮沢賢治作 「犬」 五、鑑賞と感想

宮沢賢治作 「犬」 六、参考文献・資料

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