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『友情』武者小路実篤著

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  夏目漱石による『こゝろ』の先生の手紙の部分は、読み手にとって先生である「私」の主観として語られる。武者小路実篤の『友情』は、といえば神の視点から物語られる。

  『友情』のほうはまだ三分の二ほどを読んだところだが、どちらも片思いや簡略化すれば三角関係の恋愛模様を描いている。ともに男を中心として。『こゝろ』はそれはそれで巧く片思いの心境を述べているのだが、「私」の主観を中心としているのでどこか脆くもある。けれども『友情』の場合、野島を中心としてはいるが第三者の客観的視点を強く感じさせるので、とてもうまくできた表現がある。

  どちらの作品も、友情と愛欲を秤に掛けて、自身のエゴイズムに苦しむ。二つのちがいはあるのだがそれをここに示すのは難しい。が、それを試みると、一方で人の死を、およそ三度の死を、物語る深刻な恋や人生の話であるのに対して、もう一方はそれと比べるとどうも軽々しい「遊び」の延長のような恋愛物語にみえてくる。けれども、それが悪いとはいわない。だからこそ、『友情』は我々にとって現実味があり、近現代から現代が地続きだとか人間関係の普遍性を感じるのだ。

  出来ることならば、本作品を現代に置き換えたものを書いてみたい。誰かが書いたものを読めればいい。それを読みたい。

友情 (新潮文庫)

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