sibafutukuri

ゲームの攻略情報・感想、音響系音楽、文学、アニメ、映画などについて書こうかなとおもっています。

the album leaf

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  the album leaf(アルバムリーフ)のライブをSHIBUYA-AXで観た。前座にtoeが出演していた。


  toeは観ていて面白かった。技術的に凄く、感心するという意味で。凄すぎるのと自分のやりたいこととはかけはなれていることから勉強になるという意味で参考にはならないが、面白かった。
  それで、toeは以前アルバム二枚分くらいを聴いたことがあり、パカスカ鳴っているドラムの音に腹が立ったし(嘲笑されているような気分で)オシャレ音楽のような気がしてどうでもよくなった(ライブの際にもあのポカスカに近い音でドラムは叩かれる)。そんな訳で、それ以来ほとんどまともにこの音楽を聴いてはいなかったわけだが、改めて生でライブとして観てみて思ったのが、こいつらはポストロックではなくて、音響派でもなくて、ただのマスロックだな、ということであった。
  マスロックを音源で聴く意味は音響的にはほぼ皆無であり、ライブや映像で観ることに意義があるし実際に生で音響を耳にしてみても然程気持ちよくはない。が、観る面白さはあったということ。単独ライブを観に行くことは決して有り得ない。

  the album leafはステージ上やステージ奥のスクリーンの映像などは、私にとってほとんど観る必要がなかった。目を向ける必要がなかった。

  彼らの演奏はライブとしての再現度が思っていたよりも高く、そしてクオリティーも音源に限りなく近いという意味で高く感じられた。演奏の一部は録音を流すことで補っていたが、それでも九割ほどが生の音であった。
  以前は、好きな曲を好きな音量で流せる環境が私にはあったが、今やその環境を失ったということと、あのLiving Dead(化石あるいは石ころ)なクラウス・シュルツェのライブを観たあとということもあって、アルバムリーフをAXであの大音量で聴けたというより身体全体で体感できたことがとても気持ちよかった。
  解放感があった。私も生きていたし音響も生きていた。私が音響であり、音響が私であり、双方の間に「私」があった。世界内存在的な感覚を味わった。ここまで悟りに近い感覚に陥ることが出来たのは、軽く酔ってたという要因は大きい。酔っていなかったならば、今回ほど素直に音響を与ることは無理だ。

  セットリストとしては、新曲を数曲をやっていたが過去の曲が多かったと思う。聴いたことのない曲が一曲だけあった。ライブだからビートが強調されている選曲なのかもしれないが、ほとんどの曲がビートから始まった。そして、その始めのビート数拍分で、私のレコードからその曲が再生され共鳴していたように思う。今年リリースされたばかりの"A Chorus Of Storytellers"は、音源で聴いてみるとどの曲もいまいちでありアルバム一枚としても悪い意味で空気のようであったが、ライブでやったものを聴いてみると過去のものには流石に一歩劣るものの、なかなか良い曲に聞こえた。
  ポストロックという言葉を知ったのは、the album leafのせいかepic45のせいだ。どちらもほぼ同時期に出会い衝撃を与えられた。私のなかの音響系音楽の黎明期において、その二つの存在感はとても大きい。アルバムリーフは今となってはほとんど音源を聴くことはないのだが、今回のライブでその存在感を思い出させられた。
  だから、私にはこのライブを客観的に評価することは難しいし、ただ気持ちよかったとしかいいようがない。けれども公演終了後、三々五々と会場を出ようとする中、或る女性のこういう言葉が耳に入った。「どれも同じに聞こえた」と。これは、おそらく音源を全く聴いたことがなかったのならば至極妥当な意見だと思える。この女性の言葉は否定的ではあるが、そういう見方をすると、確かに今回演奏したものはBPMがほとんど同じだろうし、2ndアルバム以降にいままで曲調は大きく変わっていないのだから、言われてみれば当たり前だ、と思う。否定的なケースとして、この女性のような感想に至ることがあるだろう。けれども、音源をほぼすべて聴いたことがあるような人であれば間違いなく、一度でもライブを観に行ったほうがいいと思う。

  音響的観点からすれば、ライブにおいて最も意義があるのは音響が身体中にぶつかってくることである。それは聴くというよりも全身で感受することであり、それは各々の観客がオリジナルの作者になることに他ならない。そういう見地からすると、ライブでジミーたちがステージ上で演奏していようが、スクリーンに映像が映っていようがそういうった視覚的なものは二の次であり、最優先すべきことは放たれる大音響を精一杯受け止めることである。

  とはいえ、ジミーたちthe album leafやサポートの演奏者など、誘ってくれた友人への感謝の気持ちでいっぱいだ。

The Album Leaf - On Your Way


In a Safe Place

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